悪役令嬢は推し活中〜殿下。貴方には興味がございませんのでご自由に〜

みおな

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ゲーム補正というやつかしら

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 ランスロットとリリアナが婚約するかどうかは、とりあえず前向きに検討しますという、何とも便利な言葉で先送りになった。

 というのも、ライアンが立太子するかどうかで、ランスロットの立場も変わるので、少し考えさせて欲しいと言われたのだ。

 ルーナとしては、ランスロットなら王配になれると思うのだが、本人が嫌なものを押し付けるつもりはない。

 ライアンが立太子するには、シシリーが相手では難しいということを本人が理解しているのか。

 そもそもシシリーのことを本気で好きなのか。

 本人の真意をどうやって知るかと頭を悩ますリリアナたちに、ルーナはあっけらかんと言った。

「直接、聞けばよくないですか?」

 なまじ何でも出来る故に、脳筋なのかもしれない。

 何だか可哀想なものを見るような目で、リリアナ達はルーナを見た。

 ライアンとはクラスは同じだが、会話さえしない状態だ。

 リリアナも最近は、王宮ででも避けられているのか話をすることがなかった。

 そんな話しかけにくい中、直接聞く?とみんな心の中でツッコミを入れる。

 クラスメイトではあるが、相手は王族。
 学園内は基本的に平等をうたってはいるが、あくまでも『一応』である。

 身分が下の者が話しかけてもマナー違反だとは言われないが、度を越して馴れ馴れしくしたり、婚約者でもない異性の体に触れたりなどは論外だ。

 ちなみに、シシリーのしていることは『論外』の行動である。

 つまりは、シシリーやカイル、アナ達が話しかけることは可能だが、ライアンのプライベートに関する話題を出すには『親しさ』が足りないのだ。

 どうするべきか、いっそ不敬と言われようと無視されようと全く気にしないルーナが突撃するべきかと悩んでいたが、意外な解決を迎えた。

 魔法学の授業で、男女ペアを組むことになったのだ。

 普通、優秀で優しい王子殿下の相手には、婚約者のいないご令嬢は喜んで立候補するものである。

 だが、普段のシシリーとの様子を見ていた周囲は、ライアンの相手になることを避けてしまった。

 ちなみに、クラスの違うシシリーがライアンのパートナーになることは不可能だ。

 となると、ここは妹であるリリアナか、身分的にもルーナが相手をするべきなのだが、ルーナがカイルを、そしてリリアナがランスロットを好きなことを理解したアナは、二人を気遣ったのか自分がライアンに相手役をお願いすると言い出した。

 この魔法学のパートナー。
実はルート分岐の攻略イベントなのである。

 同じクラスの攻略対象全員の中から、ヒロインがパートナーとなった相手との攻略イベントが発生するのだ。
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