悪役令嬢は推し活中〜殿下。貴方には興味がございませんのでご自由に〜

みおな

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大切なのは見誤らないこと

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「セドリック様」

「え?あ?アマリア・・・どうしてここに」

 それはもちろん、ルーナの指示でアナが呼んできたのである。

 だが、アマリアが好きだと公言したのを聞かれたセドリックは恥ずかしく、またそれを聞いたアマリアも恥ずかしくて、二人して顔を赤らめるばかりだ。

「大切なことはキチンと言葉にしてお伝えしないと、失ってしまってからでは遅いですわよ。アナ様、ありがとうございます」

「いえ、お役に立てたのなら良かったです」

「アデライン様。アマリア様に感謝して下さいませね。アマリア様がアデライン様と婚約を解消は絶対しないとおっしゃるからお力になることにしたんですのよ」

 ルーナにとって大切で守るべきなのは、カイルとランスロットのみ。

 それでも、アナやアマリアがどうなってもいいなどとは考えていない。

 もっとも、その他大勢や自分の大切な人に悪意のある人間はどうなろうと知ったことではないが。

「これを」

 ブレスレットをセドリックに差し出す。

「これ、は?」

「魔道具ですわ。ランス兄様とカイルも同じモノを付けています。おそらくですが、リゾーラ様は魅了系の魔力を持っていると思われます」

「え?でも、王家には魅了封じの魔法がかけられているはずですのに」

 ルーナの言葉にリリアナは首を傾げた。

 リリアナの言う通り、アデライン王家にはセドリックの父親である神官長が魅了封じの魔法をかけている。

 つまりは、息子であるセドリックにもその魔法はかけられているわけで。

「そ、そうだよ。父上がかけている」

「ええ。だから、あの程度で済んでいるんです。殿下もリゾーラ様に触れられることは避けていて、アデライン様も不快に感じられましたわね。リゾーラ様が意図してその魔法を使っているのかは分かりません。ですが、彼女の持つ力は絶大です。だからこそ、アデライン公爵様の魔法ですら防ぎきれない」

「それ・・・は、じゃあこの魔道具は」

 神官長がかけた魔法をも上回るというシシリーの魔法の力。

 なのに、それを理解した上で渡される魔道具。

「ルーナの魔道具を持てば、神官長殿の魔法も相まって、あのリゾーラ嬢の力に打ち勝てるはずだ。信じる信じないは自由だけど、婚約者を失いたくないなら受け取るべきだと僕は思う」

「私からもお願いします、セドリック様。ルーナ様は真摯に私のことを心配して下さったのです。私は、セドリック様のことを信じております。それでも、他のご令嬢と共にいらっしゃる姿を見るのは悲しかった」

 婚約者アマリアの言葉に、セドリックは渡されたブレスレットを左腕に装着した。

 効く効かないではない。
婚約者の憂いが晴れるなら、何でもするべきだ。

 そう思ったのだ。
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