悪役令嬢は推し活中〜殿下。貴方には興味がございませんのでご自由に〜

みおな

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邪魔はしないし、協力だって惜しまない

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 「そう・・・なのですね」

 ルーナは驚きから立ち直り、貴族令嬢の仮面を被った。

 正直なところを言えば、リリアナの恋心を応援したい。

 リリアナはキツいところはあるけれど、社会人だった前世の月子から見れば、素直で可愛い女の子だった。

 まだ十六歳の女の子が、五歳の頃からの初恋を大切にしている。

 リリアナ自身に対する好意もあり、ルーナとしては応援したい。

 だが、リリアナを公爵夫人にしようとするなら、あのシシリーを王太子妃にしなければならなくなる。

 いや。太陽が西から昇っても無理でしょ、と思うルーナである。

 別にアデライン王国に未練はないが、ランスロットがフィオレンサ公爵家を継ぐのならカイルもこの国に残ることになる。

 となると、できればこのアデライン王国に留まりたい。

 それに、ランスロットの暮らすアデライン王国が荒れるのもルーナの望むところではなかった。

 おまけに、今のところライアンのことも嫌いではない。

 あんなシシリーなんかに引っかかって、とは思うし、王妃様の叱責に反論した話には呆れたが、確かに友人の枠は超えていないようだからだ。

 リリアナの言う通り、王太子となるべく努力はしていたのだろう。

 漫画の中でもライアンは、王太子の仕事はちゃんと出来ていた。

 だから、ライアンが正当なヒロインを選ぶのなら・・・いや、シシリーではなくちゃんと王太子妃になれる相手を選ぶのなら、リリアナの恋もライアンの恋も応援するのに、と思う。

 もっとも、ランスロットの気持ちもあるから、あくまでも応援でしかないが。

 ルーナにとって大切なのは、推しであるカイルと家族だけである。

 少々、今回母親には無理を言われたが、ルーナは両親のことを大切だと思っている。

 育ててくれた恩も感じてるし、貴族令嬢なのに政略結婚を拒否したのに認めてくれたことにも感謝していた。

 同じように、ツラい目にあって後ろ向きだったランスロットが、カイルの手を借りながら前向きになっていることにも好感を持っている。

 漫画の中と違い、ルーナのことを憎々しげに睨んだりしてこないし、どちらかといえば犬が飼い主にシッポを振るような、好意も見て取れる。

 優先順位は、カイル→家族→友人となるが、出来るなら一途なリリアナの恋が叶えばいいのに、とは思う。

「ランス兄様には言いません。リリアナ様がご自身で言うことでしょうし、ランス兄様自身のお気持ちも私には分かりませんから。ですが、邪魔はしません。それに、ランス兄様がリリアナ様をお好きだと言うのなら協力しますわ」

 もし両想いなら、二人が結ばれるように協力はする。

 ルーナはにっこりと微笑んだ。
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