悪役令嬢は推し活中〜殿下。貴方には興味がございませんのでご自由に〜

みおな

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恋バナ好きは社蓄故?

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「リリアナ様は、好きな方はいらっしゃるんですか?」

 ルーナは何気なく、そう、自分が好きな人の名を言ったから、ごく自然にそう口にした。

 貴族令嬢として生まれ、貴族令嬢として育ったルーナだが、根底に月子としての意識がある。

 もちろん無理矢理聞き出すつもりなわけではなく、自分が言ったから自然に口に出た、そんな感じだ。

 ライアンとの婚約を打診されているルーナは、リリアナに婚約者が決まっていないことも、その理由も理解している。

 ライアンがちゃんと婚約者を迎え、その婚約者が王太子妃に相応しい人間だったら、王太子妃教育が終わった時点で、リリアナにも婚約者が決まる。

 だが、その相手が王太子妃になれない資質の場合は、ライアンではなくリリアナが王太女となり王配を迎えることになるのだ。

 貴族の間でも、基本的に婚約解消は推奨されない。

 正式に婚約を結ぶ前にお互いを知り、婚約した限りは余程のことがない限りその婚約を遂行する。

 それがアデライン王国の風習だった。

 もちろん、事情があり婚約を解消する場合もあるが、乙女ゲームのラノベでよくある「婚約破棄だ!」なんていうのは、どんな事情があろうと悪と見られる。

 婚約破棄をしなければならないような相手と婚約をした方が悪い、ということである。

 だから、リリアナの婚約者がまだいないことはルーナも理解している。

 降嫁するのと王配にするのとでは、相手が変わるからだ。

 だからといって、好きな人がいないとは限らない。

 幸いにもアデライン王国は爵位が釣り合わないから婚約できない、ということがない。

 本人の資質は問われるが、努力し王太子妃になれる資質があれば男爵令嬢でも王太子妃になれるのだ。

「わ、私ですか?すっ、すっ、好きな方・・・」

 いないと言うと思えば、リリアナはその頬を赤く染め、狼狽えだす。

 それを見て、ルーナはニヤリと公爵令嬢らしくない笑みを浮かべた。

 いや、本人の精神的なものとしてのニヤリで、表情は変わっていないのだが。

 しかし、精神的にはニヤリ!なのである。
 実はルーナ、恋バナが大好きであった。

 見た目儚い美少女が、綺麗な笑みを浮かべて自分の恋バナを熱心に聞いてくれる。

 フィオレンサ公爵家の侍女たちが雇い主のご令嬢至上主義になるきっかけ、それがこの恋バナ好きだったのである。

 侍女たちは恋バナついでに悩みなどを話し、それをルーナが時には両親に相談して解決に導いていく。

 月子はブラック企業に勤める、ある意味社蓄だったため、円滑な職場環境のための情報収集が染みついていたのだった。




 
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