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別に嫌いなわけじゃない
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お母様のお願いとはいえ、ライアンには関わりたくないルーナは、とりあえずリリアナと話してみることにした。
いや。別にライアンと話すのはいいのだ。
彼がルーナを婚約者にしたり、悪役令嬢として見たりさえしなければ。
単に友人として、臣下としてなら、別にここにいるライアンのことは嫌いではない。
漫画の中の、婚約者がいるのにヒロインと懇意になるライアンは別として。
ルーナがヒロインをいじめたとか、色々理由はつけてたけど、結局のところ浮気だよね?
ヒロインが聖女だったから、結ばれることができたけど。
実際、漫画の中のルーナは立派?な悪役令嬢だったけど。
でも、浮気だよね?
ないわぁ。先に婚約解消しろよ、と思うルーナである。
しかし、ここにいるライアンは、ルーナの中ではとりあえず許容範囲だ。
偽ヒロインであるシシリーと仲良くしているが、彼女が触れてきたりするのはさりげなく避けているし、友人の範囲は出ていない。
ランスロットと話したいというヒロインのために声をかけてきたが、それを権力で強要したりはしない。
まぁ、一応王家の嫡男としての教育は受けているわけだし、王妃がルーナと婚約を結ばせようと思っている程度には優秀なのである。
実際、入学試験の成績も良いし、今のところ授業での態度もいい。
ルーナがカイル推しでなければ、婚約者になることもやぶさかではないというレベルだった。
自分を婚約者候補から外し、かつ他の王子妃に相応しいご令嬢と婚約し、自分や従兄、推しと家族に迷惑をかけないのなら、友人にならなってもいいと思う程度には、ルーナはライアンを嫌ってはいなかった。
シシリーなんかに引っかかって馬鹿だと思っていたが、自分の両親が甘やかして守っていた王妃様では、あんな姑息な手腕を使う令嬢の対策までは教えられなかったのだろう。
人には向き不向きがある。
王妃様がそれで良いのかといえば、良くないだろうが、今回のことはいい勉強になっただろう。
「ごきげんよう、リリアナ様」
「・・・ごきげんよう、フィオレンサ公爵令嬢様」
ポツンとひとり、図書室で本を読んでいたリリアナに声をかける。
斜め後ろに、侍女兼護衛が座っていたが、声をかけてきたのがフィオレンサ公爵令嬢と分かり、近付いて来ようとはしなかった。
リリアナにも、いつもの覇気がない。
相当、王妃様に叱られたのかもしれない。
「元気がありませんのね?」
「・・・お母様にキツく言われたわ。私がいながら、お兄様にあんな子を近づけさせるなんて、って」
いや。別にライアンと話すのはいいのだ。
彼がルーナを婚約者にしたり、悪役令嬢として見たりさえしなければ。
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実際、漫画の中のルーナは立派?な悪役令嬢だったけど。
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人には向き不向きがある。
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