23 / 120
聖女と悪役令嬢
しおりを挟む
この乙女ゲームにとって、聖女とはとても稀有な存在である。
例えば、王族のライアンは火属性。
王弟で神官長子息のセドリックは水属性。
騎士団長の子息のダグラスは火属性。
宰相子息のアレックスは風属性。
ランスロットとカイルは水属性だ。
瞳の色が属性を表していると言われている。
魔法を使える貴族は多いけど、聖の魔力持ちはヒロインのみ。
黒目だから聖属性というより闇属性と言われそうだけど、この乙女ゲームには闇属性は存在しない。
正確にいうならば、闇属性は魔物や魔獣が所持するもの、とされている。
前世の記憶のあるルーナからすると、黒髪黒目で、白衣に緋袴を身に付ければ巫女として違和感がないので、黒目で聖属性と言われても文句はない。
逆に、あのピンクの瞳は何属性なんだと聞きたい気分である。
魅了?もしかして魅了系?
偽ヒロインの属性が気になって仕方ないルーナであった。
それはさておき、聖属性持ちは聖女と呼ばれる。
聖女の力は、魔獣や魔物の力を打ち消すと言われていて、結界魔法なども使える。
聖女は国にとって、とても重要な存在である。
だからこそ、男爵家という下位貴族でありながら、王太子と結ばれることが出来たのだ。
「オフリー様は入学式はどのあたりにいらっしゃいましたの?」
「私は早めに来ましたから、前列に」
ということは、ヒロインは出会いイベントを華麗にスルーしたということである。
ルーナはヒロインが嫌いだが、アナ・オフリーのことは好感が持てる気がした。
何しろ、攻略対象であるランスロットを見ても、全く無関心なのだ。
そこがピンポイントで気に入ったルーナであった。
「そう、ね。遅く来るのは褒められたことじゃないですものね。ねぇ、オフリー様。今度、フィオレンサ公爵家においで下さいませ。お茶をいたしましょう?」
「フィオレンサ公爵令嬢様。私は男爵家の、しかも元平民です。お声がけは嬉しいのですが・・・」
「私はそういうのは気にしませんの。うちの両親も使用人も気にしませんわ。私がお誘いしたいのです。オフリー様がどうしても嫌だとおっしゃるのなら、無理強いはしませんが」
「嫌だなんて。ありがとうございます。お誘い嬉しいです」
ルーナが爵位を気にするわけがない。
ライアンと婚約するくらいなら、公爵家から廃籍してくれと言ったくらいなのだから。
それに、ルブラン公爵家に籍は入れてあるとはいえ、カイルも平民だ。
推しであるカイルの身分を、ルーナがどうこう言うわけがない。
そしてルーナ至上主義の、フィオレンサ公爵家の使用人がルーナの意思に従わないわけがないのだ。
こういう時、従わないのは・・・
例えば、王族のライアンは火属性。
王弟で神官長子息のセドリックは水属性。
騎士団長の子息のダグラスは火属性。
宰相子息のアレックスは風属性。
ランスロットとカイルは水属性だ。
瞳の色が属性を表していると言われている。
魔法を使える貴族は多いけど、聖の魔力持ちはヒロインのみ。
黒目だから聖属性というより闇属性と言われそうだけど、この乙女ゲームには闇属性は存在しない。
正確にいうならば、闇属性は魔物や魔獣が所持するもの、とされている。
前世の記憶のあるルーナからすると、黒髪黒目で、白衣に緋袴を身に付ければ巫女として違和感がないので、黒目で聖属性と言われても文句はない。
逆に、あのピンクの瞳は何属性なんだと聞きたい気分である。
魅了?もしかして魅了系?
偽ヒロインの属性が気になって仕方ないルーナであった。
それはさておき、聖属性持ちは聖女と呼ばれる。
聖女の力は、魔獣や魔物の力を打ち消すと言われていて、結界魔法なども使える。
聖女は国にとって、とても重要な存在である。
だからこそ、男爵家という下位貴族でありながら、王太子と結ばれることが出来たのだ。
「オフリー様は入学式はどのあたりにいらっしゃいましたの?」
「私は早めに来ましたから、前列に」
ということは、ヒロインは出会いイベントを華麗にスルーしたということである。
ルーナはヒロインが嫌いだが、アナ・オフリーのことは好感が持てる気がした。
何しろ、攻略対象であるランスロットを見ても、全く無関心なのだ。
そこがピンポイントで気に入ったルーナであった。
「そう、ね。遅く来るのは褒められたことじゃないですものね。ねぇ、オフリー様。今度、フィオレンサ公爵家においで下さいませ。お茶をいたしましょう?」
「フィオレンサ公爵令嬢様。私は男爵家の、しかも元平民です。お声がけは嬉しいのですが・・・」
「私はそういうのは気にしませんの。うちの両親も使用人も気にしませんわ。私がお誘いしたいのです。オフリー様がどうしても嫌だとおっしゃるのなら、無理強いはしませんが」
「嫌だなんて。ありがとうございます。お誘い嬉しいです」
ルーナが爵位を気にするわけがない。
ライアンと婚約するくらいなら、公爵家から廃籍してくれと言ったくらいなのだから。
それに、ルブラン公爵家に籍は入れてあるとはいえ、カイルも平民だ。
推しであるカイルの身分を、ルーナがどうこう言うわけがない。
そしてルーナ至上主義の、フィオレンサ公爵家の使用人がルーナの意思に従わないわけがないのだ。
こういう時、従わないのは・・・
99
お気に入りに追加
705
あなたにおすすめの小説

【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。
やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。
落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。
毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。
様子がおかしい青年に気づく。
ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。
ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
最終話まで予約投稿済です。
次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。
ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。
楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。
性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~
黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※
すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!
愛されない王妃は、お飾りでいたい
夕立悠理
恋愛
──私が君を愛することは、ない。
クロアには前世の記憶がある。前世の記憶によると、ここはロマンス小説の世界でクロアは悪役令嬢だった。けれど、クロアが敗戦国の王に嫁がされたことにより、物語は終わった。
そして迎えた初夜。夫はクロアを愛せず、抱くつもりもないといった。
「イエーイ、これで自由の身だわ!!!」
クロアが喜びながらスローライフを送っていると、なんだか、夫の態度が急変し──!?
「初夜にいった言葉を忘れたんですか!?」
ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
ヒロインがいない。
もう一度言おう。ヒロインがいない!!
乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。
※ざまぁ展開あり

いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。

愛のない貴方からの婚約破棄は受け入れますが、その不貞の代償は大きいですよ?
日々埋没。
恋愛
公爵令嬢アズールサは隣国の男爵令嬢による嘘のイジメ被害告発のせいで、婚約者の王太子から婚約破棄を告げられる。
「どうぞご自由に。私なら傲慢な殿下にも王太子妃の地位にも未練はございませんので」
しかし愛のない政略結婚でこれまで冷遇されてきたアズールサは二つ返事で了承し、晴れて邪魔な婚約者を男爵令嬢に押し付けることに成功する。
「――ああそうそう、殿下が入れ込んでいるそちらの彼女って実は〇〇ですよ? まあ独り言ですが」
嘘つき男爵令嬢に騙された王太子は取り返しのつかない最期を迎えることになり……。
※この作品は過去に公開したことのある作品に修正を加えたものです。
またこの作品とは別に、他サイトでも本作を元にしたリメイク作を別のペンネー厶で公開していますがそのことをあらかじめご了承ください。
我慢するだけの日々はもう終わりにします
風見ゆうみ
恋愛
「レンウィル公爵も素敵だけれど、あなたの婚約者も素敵ね」伯爵の爵位を持つ父の後妻の連れ子であるロザンヌは、私、アリカ・ルージーの婚約者シーロンをうっとりとした目で見つめて言った――。
学園でのパーティーに出席した際、シーロンからパーティー会場の入口で「今日はロザンヌと出席するから、君は1人で中に入ってほしい」と言われた挙げ句、ロザンヌからは「あなたにはお似合いの相手を用意しておいた」と言われ、複数人の男子生徒にどこかへ連れ去られそうになってしまう。
そんな私を助けてくれたのは、ロザンヌが想いを寄せている相手、若き公爵ギルバート・レンウィルだった。
※本編完結しましたが、番外編を更新中です。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※独特の世界観です。
※中世〜近世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物など、その他諸々は現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません
れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。
「…私、間違ってませんわね」
曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話
…だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている…
5/13
ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます
5/22
修正完了しました。明日から通常更新に戻ります
9/21
完結しました
また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる