悪役令嬢は推し活中〜殿下。貴方には興味がございませんのでご自由に〜

みおな

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聖女と悪役令嬢

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 この乙女ゲームにとって、聖女とはとても稀有な存在である。

 例えば、王族のライアンは火属性。
王弟で神官長子息のセドリックは水属性。
騎士団長の子息のダグラスは火属性。
宰相子息のアレックスは風属性。

 ランスロットとカイルは水属性だ。

 瞳の色が属性を表していると言われている。

 魔法を使える貴族は多いけど、聖の魔力持ちはヒロインのみ。

 黒目だから聖属性というより闇属性と言われそうだけど、この乙女ゲームには闇属性は存在しない。

 正確にいうならば、闇属性は魔物や魔獣が所持するもの、とされている。

 前世の記憶のあるルーナからすると、黒髪黒目で、白衣に緋袴を身に付ければ巫女として違和感がないので、黒目で聖属性と言われても文句はない。

 逆に、あのピンクの瞳は何属性なんだと聞きたい気分である。

 魅了?もしかして魅了系?
偽ヒロインの属性が気になって仕方ないルーナであった。

 それはさておき、聖属性持ちは聖女と呼ばれる。

 聖女の力は、魔獣や魔物の力を打ち消すと言われていて、結界魔法なども使える。

 聖女は国にとって、とても重要な存在である。

 だからこそ、男爵家という下位貴族でありながら、王太子と結ばれることが出来たのだ。

「オフリー様は入学式はどのあたりにいらっしゃいましたの?」

「私は早めに来ましたから、前列に」

 ということは、ヒロインは出会いイベントを華麗にスルーしたということである。

 ルーナはヒロインが嫌いだが、アナ・オフリーのことは好感が持てる気がした。

 何しろ、攻略対象であるランスロットを見ても、全く無関心なのだ。

 そこがピンポイントで気に入ったルーナであった。

「そう、ね。遅く来るのは褒められたことじゃないですものね。ねぇ、オフリー様。今度、フィオレンサ公爵家においで下さいませ。お茶をいたしましょう?」

「フィオレンサ公爵令嬢様。私は男爵家の、しかも元平民です。お声がけは嬉しいのですが・・・」

「私はそういうのは気にしませんの。うちの両親も使用人も気にしませんわ。私がお誘いしたいのです。オフリー様がどうしても嫌だとおっしゃるのなら、無理強いはしませんが」

「嫌だなんて。ありがとうございます。お誘い嬉しいです」

 ルーナが爵位を気にするわけがない。
ライアンと婚約するくらいなら、公爵家から廃籍してくれと言ったくらいなのだから。

 それに、ルブラン公爵家に籍は入れてあるとはいえ、カイルも平民だ。

 推しであるカイルの身分を、ルーナがどうこう言うわけがない。

 そしてルーナ至上主義の、フィオレンサ公爵家の使用人がルーナの意思に従わないわけがないのだ。

 こういう時、従わないのは・・・
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