悪役令嬢は推し活中〜殿下。貴方には興味がございませんのでご自由に〜

みおな

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乙女ゲームの攻略対象って馬鹿だと思う

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「ライアン殿下に、ランス兄様。騎士団長のロックベル侯爵家の嫡男のダグラス。宰相の息子でセルビア公爵家の嫡男のアレックス。王弟の息子でライアン殿下の従兄弟の神官セドリック。全員がヒロインに夢中になるのよね」

 ルーナは頭の中で、乙女ゲームが元になった漫画を思い出す。

 普通、婚約者がいる相手を攻略するゲームを『乙女ゲーム』とは言わないのよ。そういうのは『掠奪ゲーム』なの。

 そうブツブツ言いながら、鍵付きの日記に登場人物の名前を書き出す。

 漫画のストーリーでは、学園入学時にはライアン殿下と悪役令嬢であるルーナは婚約していた。

 当然、転生したルーナは幼い頃から前世の記憶を頼りに、殿下との婚約をはっきりと両親に断り、婚約者を回避したけど。

 この場合、悪役令嬢って不在になるの?

 それにランスロットも漫画では両親の仇だと言わんばかりに、ルーナを嫌っていた。

 ランスロットは現在、ルーナの飼い犬・・・のようである。

 ルーナに話しかけられれば、嬉しそうに振られるしっぽが見える。

 この場合、ヒロインはどうやってランスロットを攻略するのだろうか?

 漫画の中でのランスロットは、氷のように冷たく、誰も寄せ付けようとしない。

 唯一、ヒロインだけが何度冷たくあしらわれようとも、ランスロットに話しかけ、その心を溶かしていくのだけど。

 他の三人には婚約者がいる。
フィオレンサ公爵家にはその類の情報も入ってくる。

 婚約者がルーナへ、ロックベル侯爵家からもセルビア公爵家からも釣書が届いた。

 さすがにライアンの婚約者にと王家が求めているのが分かっているから、王弟のところからは届かなかったが。

 で、丁寧にお断りをしたら、それぞれ身丈に合う婚約者が決まった。

 アレックスには、侯爵家のご令嬢が。
ダグラスには、別の侯爵家のご令嬢が。

 ちなみに、王弟子息の婚約者は伯爵家のご令嬢である。

 王弟殿下は公爵位を賜ったけど、神官長をしている。
 その息子の婚約者には、治癒魔法などに優れている伯爵令嬢が望まれたのだ。

 ルーナは、ヒロインが嫌いである。
理由は簡単。

 人を好きになるのは、どうしようもないことである。

 だけど、高位貴族、つまり身分が高くて将来贅沢できる家の、しかも婚約者がいる相手に擦り寄る行為がムカつくのである。

 大体、学園は貴族のみが通う。
一応は、身分を振りかざすことは禁止とされてはいるが、侍従や侍女を同行できる時点で、身分制度があるのは歴然。

 そんな相手に自ら話しかけたり、馴れ馴れしくする事自体が問題なのだ。

「転生者でも、違っても、要注意ね」

 ルーナは日記の鍵を閉めると、鍵付きの引き出しにと仕舞い込んだ。

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