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従兄と推しの来訪
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「まぁまぁまぁ!ランスロット、大きくなったわね!」
「叔母上。お久しぶりです」
フィオレンサ公爵家に着いた馬車からおりると、ランスロットはマーガレットから抱擁を受けた。
フィオレンサ公爵夫妻はここ一年ほどランスロットと会っていなかったので、彼の元気そうな様子にホッとする。
五年前に兄夫婦が亡くなり、その時の怪我と精神的なもので、領地で静養していたランスロット。
フィオレンサ公爵家の嫡男であり、父親から公爵の地位を引き継いだシリウスより八歳年上の兄、その彼の遅くにできた子供。それがランスロットだ。
シリウスは自分に嫁いだマーガレットの実家、ルブラン公爵家が所持していた伯爵位を譲り受け、伯爵として暮らしていた。
それが五年前の悲劇により、ランスロットが継ぐまでの中継ぎとしてフィオレンサ公爵を名乗ることになった。
ランスロットは・・・
同い年の従妹が苦手だった。
正直に言うなら、嫌いとすら言えた。
魔力量が多く、全魔法持ち。
幼い頃から聡くて、叔父の伯爵家や王家に多くの利を産む『金を産む鶏』
ランスロットが従妹に勝てるところは、公爵家という身分だけだった。
だがそれでも、直接従妹にキツくあたるようなことは公爵令息としてのランスロットの矜持が許さなかった。
それに『金を産む鶏』などと周囲に言われていることも、かわいそうとすら思えた。
それなのに。
両親を失い、自分も大怪我を負った事故の後、見舞いに訪れたルーナにランスロットは敵意を向けてしまった。
「お前がッ!お前が父上と母上を殺したんだっ!お前が何度もうちを訪れていたから!この不幸を招く魔女ッ!返せっ!父上と母上を返せっ!」
ランスロットは本気で、ルーナが不幸を招いたなどとは思っていない。
だがいきなり両親を失い、その抑えきれない悲しみが、ルーナへの罵倒となった。
シリウスやマーガレットは、ランスロットの罵倒に戸惑いながらも嗜めようとしたが、それをルーナは止めた。
実はルーナは、ストーリー通りに公爵夫妻が亡くなるのを防ぎたくて、何度も伯父夫婦のもとを訪れていたのだ。
漫画では、単なる説明文として「ランスロットの両親はランスロットが十歳の時に事故で亡くなった」としか書かれていない。
あくまでもランスロットの生い立ちの説明でしかなく、ランスロットがルーナを嫌っているという原因として語られていただけだ。
だから、ルーナは十歳になってから頻繁にフィオレンサ公爵家を訪れるようになった。
なんとか助けられないか、模索していたのだ。
結局助けることができず、ルーナはいくら全魔法が扱えても前世の記憶があっても、なんの役にも立たなかったと自分を責めていた。
「叔母上。お久しぶりです」
フィオレンサ公爵家に着いた馬車からおりると、ランスロットはマーガレットから抱擁を受けた。
フィオレンサ公爵夫妻はここ一年ほどランスロットと会っていなかったので、彼の元気そうな様子にホッとする。
五年前に兄夫婦が亡くなり、その時の怪我と精神的なもので、領地で静養していたランスロット。
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だがそれでも、直接従妹にキツくあたるようなことは公爵令息としてのランスロットの矜持が許さなかった。
それに『金を産む鶏』などと周囲に言われていることも、かわいそうとすら思えた。
それなのに。
両親を失い、自分も大怪我を負った事故の後、見舞いに訪れたルーナにランスロットは敵意を向けてしまった。
「お前がッ!お前が父上と母上を殺したんだっ!お前が何度もうちを訪れていたから!この不幸を招く魔女ッ!返せっ!父上と母上を返せっ!」
ランスロットは本気で、ルーナが不幸を招いたなどとは思っていない。
だがいきなり両親を失い、その抑えきれない悲しみが、ルーナへの罵倒となった。
シリウスやマーガレットは、ランスロットの罵倒に戸惑いながらも嗜めようとしたが、それをルーナは止めた。
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だから、ルーナは十歳になってから頻繁にフィオレンサ公爵家を訪れるようになった。
なんとか助けられないか、模索していたのだ。
結局助けることができず、ルーナはいくら全魔法が扱えても前世の記憶があっても、なんの役にも立たなかったと自分を責めていた。
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