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偽善かもしれない

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「コンフェルト嬢に友達になりたいと言われるなんて、羨ましい限りですよ」

 ジェライトはそう言って、にっこりと微笑んだ。

 ジェライトも攻略対象なだけあって、中々のイケメンさんだ。

 まぁ、普段からクリス様の美形を見慣れてるから、ドキドキはしないけど。

「アーシュリー様はお上手ですこと。それで、アーシュリー様にお願いがあるんですが」

「何なりと」

「私がチェリーさんに関わることに、殿下はヨシとされないと思いますの。そこで、アーシュリー様にチェリーさんの望みを聞いていただきたいのです」

「チェリーの・・・望み?」

 ジェライトの言葉に頷く。
私は、チェリーさんと友達になれたらと思っているし、今のままのチェリーさんでは、いずれ何かの問題が起きると思っている。

 だけど、チェリーさんは貴族相手の振る舞いを覚えたいと思わないかもしれない。

 それに、第2王子や他の攻略対象も、チェリーさんのが失われることをヨシとしないかもしれない。

 チェリーさんは、決してお花畑な考えの人じゃない。
 貴族相手の振る舞いを知れば、第2王子や他の攻略対象と親しくすることに問題があると気付くはず。

 そうしたら、第2王子たちと距離を空けると思う。
 少なくとも、今のように名前呼びや特に親しげな行動はやめるわよね。

 そしてそれは、彼女の奔放さ、明るさ、少女らしさが失われるということ。

 いいえ。
それを、表面に出さなくなるというのが正しい。

 攻略対象である彼らはそれを、ヨシとしない。
 だって、チェリーさんの魅力は、あの平民らしさなんだから。

 私のしようとしていることは、結局は私の独りよがりなのかもしれない。

 チェリーさんの、あの平民らしさに惹かれているのは私も同じで、惹かれているのにそれを消してしまおうとしている。

「私は、チェリーさんのあの明るくて誰にでも変わらない態度を取る姿が、とても好ましく思えます。ですが、私の言う貴族相手の振る舞いを覚えたら、それは失われてしまうかもしれません。ただ、今のままでは、いずれあなた方の目を盗んで、チェリーさんに接触してくるご令嬢も出てくるでしょう。だから、チェリーさん自身がどうなさりたいのか、聞いていただきたいのです」

 私は、悪役令嬢になりたくないと言いながら、結局は攻略対象から見たら悪役令嬢な行動をしようとしているんじゃないかしら?

 このまま放っておいた方が、攻略対象である彼らも、そしてチェリーさんも幸せなんじゃないかしら?

 だってそんな知識を与えたところで、チェリーさんは平民。
 いじめからだって、第2王子たちが守るだろうし。

 私のしようとしていることは、ただの自己満足ではないの?私は、こんなに良い子なんですよ、って。


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