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そういえば、他に道もあったわ
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「あの家に私の居場所なんて、ありませんでした。それにあの人たちは、私の家族だったこともありません」
それは、とでも悲しい言葉だと思う。
今のエレンは、きっぱりと、そして涙も見せずに言ったけれど、幼いエレンは何度も涙も流したはず。
どれほど、彼らの愛を望んだのかしら。
そして、そのたびに裏切られてきたのね。
諦めるほどに。
絶望して、諦めるしかなかったほどに、彼らはエレンを傷つけたのだわ。
私はずっと、エレンが望むなら、セレズノア侯爵家をエレンに継がせたいと思っていた。
もちろん、邪魔なあの人たちを排除したあとで。
でも、エレンにとって辛い場所でしかないなら。
侯爵家もあの人たちも、全て消えてしまった方がいいわ。
ならば。
クリス様に。王妃様に。国王陛下に。そしてお父様とお母様に。
お願いしよう。
もうあの人たちも、セレズノア侯爵家も必要ない。
エレンの中から、セレズノア侯爵家を消してしまおう。
そうよ。
すっかり忘れていたけど、我がコンフェルト公爵家には後継がいないのよ。
それなら、エレンを養女にして、我が家を継いで貰えば良いんだわ。
どうして気づかなかったのかしら。
エレンは今でこそ令嬢としてでなく、女性騎士として過ごしているけど、騎士の座を自力で手に入れれるほどの頑張り屋さんだもの。
公爵家の令嬢として、やっていけると思う。
社交界にほとんど出させてもらえていなかったみたいだけど、そこはお母様にお願いすればどうにかなるわ。
ただ。
私の護衛の任は解かなきゃ駄目ね。
これからは、姉と妹として過ごしていきたいわ。
私の身勝手な考えで、エレンはそんなこと望んでないかもしれないけど。
私はエレンのことが大好きだから、幸せになって欲しいの。
「クリス様」
「うん?」
「お父様にお話がありますの。会えますかしら?」
お父様は宰相だから、毎日王宮でお仕事されている。
筆頭公爵家の当主でもあるから、毎日とても忙しそうだ。
ただ、この国は王族がとても優秀で、現国王陛下も優れた方だから、帰れないほど忙しいことはないみたい。
「急ぎの用件?」
「・・・そうですね。お母様もみえるみたいですし、早めにお話して、国王陛下に許可をいただきたいのですわ」
お父様たちなら断らないとは思うけど。
セレズノア侯爵家からエレンの籍を抜くことは、国王陛下が許可されてないって言っていたのよね。
それなら、お父様から許可を取って戴かなきゃ。
あの人たちを処罰するなら、先にエレンの籍を抜いてもらわないと。
利をひとつも与えてくれてないのに、害だけをエレンに背負わせられないわ。
それは、とでも悲しい言葉だと思う。
今のエレンは、きっぱりと、そして涙も見せずに言ったけれど、幼いエレンは何度も涙も流したはず。
どれほど、彼らの愛を望んだのかしら。
そして、そのたびに裏切られてきたのね。
諦めるほどに。
絶望して、諦めるしかなかったほどに、彼らはエレンを傷つけたのだわ。
私はずっと、エレンが望むなら、セレズノア侯爵家をエレンに継がせたいと思っていた。
もちろん、邪魔なあの人たちを排除したあとで。
でも、エレンにとって辛い場所でしかないなら。
侯爵家もあの人たちも、全て消えてしまった方がいいわ。
ならば。
クリス様に。王妃様に。国王陛下に。そしてお父様とお母様に。
お願いしよう。
もうあの人たちも、セレズノア侯爵家も必要ない。
エレンの中から、セレズノア侯爵家を消してしまおう。
そうよ。
すっかり忘れていたけど、我がコンフェルト公爵家には後継がいないのよ。
それなら、エレンを養女にして、我が家を継いで貰えば良いんだわ。
どうして気づかなかったのかしら。
エレンは今でこそ令嬢としてでなく、女性騎士として過ごしているけど、騎士の座を自力で手に入れれるほどの頑張り屋さんだもの。
公爵家の令嬢として、やっていけると思う。
社交界にほとんど出させてもらえていなかったみたいだけど、そこはお母様にお願いすればどうにかなるわ。
ただ。
私の護衛の任は解かなきゃ駄目ね。
これからは、姉と妹として過ごしていきたいわ。
私の身勝手な考えで、エレンはそんなこと望んでないかもしれないけど。
私はエレンのことが大好きだから、幸せになって欲しいの。
「クリス様」
「うん?」
「お父様にお話がありますの。会えますかしら?」
お父様は宰相だから、毎日王宮でお仕事されている。
筆頭公爵家の当主でもあるから、毎日とても忙しそうだ。
ただ、この国は王族がとても優秀で、現国王陛下も優れた方だから、帰れないほど忙しいことはないみたい。
「急ぎの用件?」
「・・・そうですね。お母様もみえるみたいですし、早めにお話して、国王陛下に許可をいただきたいのですわ」
お父様たちなら断らないとは思うけど。
セレズノア侯爵家からエレンの籍を抜くことは、国王陛下が許可されてないって言っていたのよね。
それなら、お父様から許可を取って戴かなきゃ。
あの人たちを処罰するなら、先にエレンの籍を抜いてもらわないと。
利をひとつも与えてくれてないのに、害だけをエレンに背負わせられないわ。
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