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学園卒業編

過保護と溺愛コンボ

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「アニエス!冷えるといけないから、ほらっ、膝掛け」

「・・・・・・ありがとうございます、マリ様」

 どうしよう。
マリウスの過保護と溺愛がパワーアップしている。

 どうして、こんなことになったんだっけ。

 マリウスと夫婦になった夜ー
私は翌朝、ベッドから起き上がることさえできないほど、マリウスに翻弄された。

 マリウスのことは好きだ。
だから、彼と心身ともに夫婦になれたことは、とても嬉しい。

 だけど、その・・・処女だった花嫁を気絶するまで抱くというのはいかがなものかと思う。

 なので、抗議を込めて1週間ほど閨を拒否した。

 いや。王太子妃として、子を授かるのは責務だけど、あんなに何回も、しかも延々とされると、私の体が保たない。

 なにあの、乙女ゲームの攻略対象は絶倫的なの。
 しかも、マリウス本人も初めてだって言ってたのに、なんであんなに手際がいいの!

 と、とりあえず、拒否した結果、マリウスが涙ながらに謝罪してきた。
 うん。泣かないでね。反省して欲しかったというか、ちょっと手加減して欲しいだけだから。

 別に私は、マリウスとその、致したくないわけではないので、謝罪を受け入れ、その夜から再びベッドを共にしたわけだけど・・・

 回数は減った。
とりあえずだけど、朝まで延々と続けられて気絶することもなくなった。

 マリウスが絶倫なのは、まぁ、うん。きっとそういう決まりなんだと諦めるしかない。

 なので、仲睦まじい夜が3ヶ月繰り返された結果ー

 私の懐妊が告げられた。

 えーと。
私、17歳にして母親になるの?
ついこないだ、妻になったばかりなんだけど。

 いや。国としては喜ばしいことだと思う。男の子が女の子かはわからないけど、国王陛下や王妃殿下、うちのお父様お母様にとっては初孫にあたるわけだし。

 一応、これで私もマリウスも子を授かる能力があることがわかったわけだから、生まれたのが姫だったとしても、お世継ぎはまた授かれば良いことになる。

 1姫2太郎というくらいだから、子育て的には、女の子の方がいいのかもしれない。

 お世継ぎは早めに産みたいけど、国王陛下・・・お父様はまだお若いから、マリウスが後を継ぐのはまだ先だろうし。

 というわけで、子供を授かったわけだが、それを聞いたマリウスの過保護に拍車がかかった。

 あの1週間のあとから、いや、結婚式を終えた後から、マリウスの溺愛モードは加速してたけど、その上に過保護までコンボして来た。

 とにかく、世話を焼きたがる。
歩こうとすれば抱き上げるし、王太子妃の仕事もさせてくれない。
 挙句に、目の届くところにいないと、心配して探し回る始末だ。

 安定するまでは、安静にする必要があるそうだけど、マリウスのはちょっと過保護過ぎると思う。

 私は妊娠経験もないし、知り合いにもそういう相手がいなかったから、よくはわからないけど、お母様たちが言うには、そうらしい。

 まぁ、それも愛されているということなのだろう。

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