「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい

みおな

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聖女覚醒編

カイとマリアの初デート?

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 カイのイケメン過ぎる告白に、マリアと、ついでに私まで赤面したあの日から1週間がたった。

 あの日、マリアは「自分もカイのことを気になってはいるけれど、これが好きという気持ちなのかはわからない」と素直に告げた。

 あー。私も、こんな風に素直に気持ちを言えたら良いのに。
 私、今はちゃんとマリウスのこと、好きなんだけど、伝わってるのかなぁ。

 カイは、マリアの気持ちが決まるまで待つって答えて、そのままこの話は終わりってことになるはずだった。

 カイにお礼を言ったマリアが、カイの友人であるセリオ?って人にもお礼を言いたいと言い出すまでは。

 マリウスが近付くだけでも怯えるくせに、絶対そのセリオって人に会うのだって怖いはずなのに。
 マリアってば本当に真面目で義理堅くて、良い子なんだから。

 そしたら、クランが「それって初デートだね」とか言い出した。

 初デート。
なんて甘美な響き。
み、見守りたい!恥ずかしそうにするマリアと、イケメン過ぎるカイのデート。

「姉上・・・表情に出てますよ」

「え?」

「まぁまぁ、クラン。そこがアニエスのいいところだよ」

 クランが呆れたように言うのに、マリウスが苦笑しながら答えている。

 あ。ちなみに、初デートと言われたマリアは真っ赤になってるし、カイは・・・うーん、無表情だわ。大人の余裕ってやつ?

 こんな可愛いマリアを見て、無表情って。
カイ、本当にマリアのこと好きなの?って問い詰めたくなるわ。

「あ、あのっ、私はその、お礼を言いたいだけで・・・」

「せっかくだから、2人で出かけてきたら?自分の気持ちが分かるきっかけになるかもしれないよ。ね?アニエス」

「そうですわね。カイ、そのご友人へのお礼の品も持って行ってくれるかしら?わたくしの大切な友人を守って下さったんですもの。何でも望むものをお届けしてちょうだい」

 自分の気持ちを知るきっかけなんて、案外すぐそこに転がっているものかもしれない。

 私は、マリアのことも大好きだし、カイのことも大好きだ。

 特にカイには、ずっとずっと支えてもらって来た。
 カイがいたから、私はこの世界から逃げ出さずにいられた。

 イレギュラーな存在のカイがいたから、破滅コースに入らずに済むと思っていられたし、もしも破滅コースに入ったとしても、カイがいてくれるなら、公爵家から飛び出して他国へ逃げてもいいと思えたのだ。

 大切な侍従と大切な友人。
彼らには幸せになって欲しいと思う。

 マリウスと私の進言で、カイとマリアは、10日後に街デートをすることになった。

 






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