「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい

みおな

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聖女覚醒編

姫様来襲

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 突然、扉が開いたことに驚いた私は、思わずマリウスに抱きついてしまった。

「アニエスお姉様がいらしてるって・・・って・・・まぁ!仲良しですわね」

「ローラ。ノックもせずにお前は」

 私をぎゅっと抱きしめて、マリウスがため息を吐く。

 ぎぎぎぎっと音が立ちそうなスピードで振り返ると、確かにそこにはローラ様が立っていた。

 初めて出会った頃より、少し大人びたローラ様。
 確か3歳年下だったから、今は11歳ね。

 紫色の髪はハーフアップにされ、碧眼の瞳の色と同じドレスを纏われていた。

 あの頃はピンクの、可愛らしい系をよく着られていたけど、国王陛下によく似たローラ様には、シンプルなデザインのドレスの方がよく似合う。

 ローラ様は、9歳の時に友好国の王太子殿下と婚約され、その国は10歳から学園に通うそうで、留学されていたのだ。

 帰られていたのね。
マリウスの腕を振り解いて、膝から急いでおりた。

「ローラ様。お久しぶりですわ。前はお可愛らしかったですけど、とてもお綺麗になられましたね」

「アニエスお姉様!お会いしたかったです!!お姉様の足元にも及びませんけど、カール様に好きになってもらえるように、頑張ってお洒落も勉強してるんです」

「まぁ。ローラ様の婚約者様は、お幸せですわ。こんな健気なローラ様にそんなに思われているんですもの」

 ローラ様は7歳の頃は、お転婆というか、なんというか、とても元気いっぱいの女の子だったけど、こんな風に頬を赤らめて・・・

 婚約者様のことを本当に好きなのね。
確か、あの国のカール王太子殿下から望まれての婚約だと聞いたわ。

 良かった。
ローラ様が本当に想いあえる相手と、婚約することが出来て。

 あの頃の私は、乙女ゲームやラノベに囚われ過ぎていた。
 その上、前世の自分がアラサーだったこともあって、婚約者であるマリウスのことを恋愛対象とは見れないって思い込んでた。

 きっと、ローラ様と出会わずにいたら、マリウスと時間を取ることもなく、マリウスの良さを知らないまま学園に入学しただろう。

 あの時、ローラ様がマリウスのことを熱弁してくれたからこそ、私はマリウスと友達としてだけど仲良くなったし、今こうしてマリウスと心を通わせることが出来たのだ。

 だから、ローラ様が幸せな婚約をしたことを心から嬉しいと思う。

「幸せそうで、良かったですわ。わたくし嬉しいです」

「お姉様!」

「それで、今日はどうなさいましたの?留学は確かあと2年あったのでは?」

 13歳で、ハイドランジア王国の学園に入学するまで、あちらの国で学んでいる予定だったのでは?

 




 
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