「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい

みおな

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聖女覚醒編

ここは現実なのに

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 関わることはないだろうと思っていた男爵令嬢が、いきなり私たちのクラスに突撃してきた場合、高位貴族の令嬢であり王太子殿下の婚約者である私が対処するのは、まぁ、仕方のないことである。

「ベラドンナ様でしたかしら?貴女の教室はこちらではありませんわ」

 まぁ、わかってて来てるんだろうけど、なんだか面倒だから、すんなりと帰って欲しい。

「何で私がDクラスなのよっ!おかしいじゃない!」

 何もおかしくないからね?あなたの編入試験の結果が最悪だから、Dクラスになったのだとマリ様言ってたわよ。

 先日、引き取られたと言ってたから、まぁ貴族令嬢としての振る舞いが出来てないのはヨシとして、編入を考えるレベルの成績ってどうなの?

 平民にも学校はあるわよ。
この国は、誰もが読み書きや計算が出来るようにと、無償で平民は学校に通わせているもの。

「学年トップを1年間継続なされば、Sクラスへの編入も認められましてよ」

 マリアがそうだもの。
たまに、マリ様や私に首位を明け渡すことがあるけど、編入試験も満点だったって聞いたわ。

 その後もぎゃあぎゃあ喚いていたけど、先生が現れて彼女を教室の外へと放り出した。

 放り出される直前に「ピンクの髪は私しかいないはずなのに。なんなの、アレ」って言ってたのが聞こえた。

 チェリー・ベラドンナ男爵令嬢も、ピンク色の髪と瞳をしている。
 ただ、マリアのはストロベリーブロンドだけど、チェリー嬢のはベージュピンクで色味が薄い。

 色んな乙女ゲームの中のヒロインは、ピンク色の髪と瞳の少女が多いけど、チェリー嬢の言ってた「私しかいないはず」って、やっぱりそういうことなのかな。

 私はチェリー嬢が、婚約者のいる相手にちょっかいを出したり、私の友人たちに迷惑かけたりしなければ、別に彼女が誰と付き合おうと口出しするつもりはない。

 それこそ彼女の自由だし、彼女にだって好きな人と親しくなろうとする権利はあるから。

 だけど、それが婚約者のいる相手となると、放置はできない。
 彼女は、もう平民でなく貴族になったのだから、政略結婚とかそういうことも理解する必要がある。

 そのあたりは、平民のマリアだって理解してるし、転生者の私だって理解できてるんだから、彼女にできないわけはない。

 というわけで、できればこのまま大人しくしていて欲しいところだ。

 それこそ勉強を頑張れば、彼女の望み通りSクラスへの編入も可能なのだから。

 できることなら関わりたくはないけど、もしも彼女が転生者だというのなら、ここは現実の世界だって理解って欲しいと思う。
 ザマァなんてしたくないしね。







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