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悪役令嬢回避編
大好きな人《マリア視点》
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私は、あまり裕福な暮らしをしていない。
たまたま、聖なる魔力を目覚めさせたことで、魔法学園に無償で通わせて貰えることになったけど、貴族の方々とうまくやっていける自信がなかった。
だけど、アニエス様は、いつも私に優しく話しかけて下さった。
本当なら、お話しすることすら叶わない、高位貴族であるアニエス様。
この国の王太子殿下の婚約者で、筆頭公爵家のご令嬢。
見た目だけじゃなく、心まで美しい。
そんなアニエス様のことが大好きになったの。
だから、街に買い物に出かけた時に、偶然アニエス様とお会いできて、一緒にって誘われて、嬉しくて・・・
婚約者である王太子殿下とのデートの邪魔だということは、本当は理解していたの。
だけど、学園を卒業したら、アニエス様とはもう、お話することなんてできなくなるから、今だけ、今だけはって思った。
そんな私に、多分腹立たしいだろうに、王太子殿下は髪飾りを買って下さった。
私が普段は、立ち入ることすらしないお店。
アニエス様は公爵家のご令嬢だから、本当ならこんなお店入ることなんてないだろうけど、私がご一緒出来るのは、せいぜいこのお店が限度だった。
髪飾りだって、アニエス様ならもっと、宝石の付いた物をお使いだと思うのに、私に合わせて一緒に見て下さったの。
それでも、私にはやっぱり買うことは出来なくて、でも、アニエス様に気を遣わせたくはなくて・・・
だから、王太子殿下がアニエス様と私の分の髪飾りを買って下さった時、何故だかとても嬉しかった。
本当はずっと、大好きなアニエス様のお隣に、当然のように立つことができる王太子殿下のことが羨ましかった。
私は平民で、学園にいる間しかそばに居れないのに、この人はずっとずっとアニエス様と居られるんだって、羨ましかった。
だから、ほんの少し意地悪したの。
アニエス様がお優しいから、私のことを邪険にしないことわかってたから、王太子殿下より側にいられるようにって。
だけど、渡された髪飾りに、胸の奥が痛くなった。
大好きな大好きな、アニエス様。
たくさんの人に愛されていてる、誰よりも素敵な人。
学園を卒業したら、王太子殿下と結婚されて王太子妃、いずれはこの国の王妃になられるアニエス様。
そんな偉い方なのに、平民の私にも優しくて。
アニエス様のおかげで、普通に生きていたらお話することなんて叶わなかったご令嬢方と仲良くさせていただけてる。
私に、たくさんの幸せを与えてくれるアニエス様のことが、大好き。
だから、きっとこの胸の中の痛みは、アニエス様を大好きなせいなの。
たまたま、聖なる魔力を目覚めさせたことで、魔法学園に無償で通わせて貰えることになったけど、貴族の方々とうまくやっていける自信がなかった。
だけど、アニエス様は、いつも私に優しく話しかけて下さった。
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この国の王太子殿下の婚約者で、筆頭公爵家のご令嬢。
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だから、街に買い物に出かけた時に、偶然アニエス様とお会いできて、一緒にって誘われて、嬉しくて・・・
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それでも、私にはやっぱり買うことは出来なくて、でも、アニエス様に気を遣わせたくはなくて・・・
だから、王太子殿下がアニエス様と私の分の髪飾りを買って下さった時、何故だかとても嬉しかった。
本当はずっと、大好きなアニエス様のお隣に、当然のように立つことができる王太子殿下のことが羨ましかった。
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だから、ほんの少し意地悪したの。
アニエス様がお優しいから、私のことを邪険にしないことわかってたから、王太子殿下より側にいられるようにって。
だけど、渡された髪飾りに、胸の奥が痛くなった。
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そんな偉い方なのに、平民の私にも優しくて。
アニエス様のおかげで、普通に生きていたらお話することなんて叶わなかったご令嬢方と仲良くさせていただけてる。
私に、たくさんの幸せを与えてくれるアニエス様のことが、大好き。
だから、きっとこの胸の中の痛みは、アニエス様を大好きなせいなの。
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