「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい

みおな

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悪役令嬢回避編

話の流れと舞台

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 ハイドランジア王立魔法学園。
魔力を持つ者は、必ず通わねばならないとされる。

 基本、この国では、魔力を持つのは貴族のみで、平民に魔力を持つ者はいない。
と、乙女ゲームの設定にも、ライトノベルの説明にもあった。

 その中で、初めて平民の中に魔力を持つ者が現れる。
 13歳の、魔法学園入学式の1ヶ月前に、突然魔力をその身に宿した少女、それがヒロインだ。

 その魔力は稀有な聖の魔力で、少女は教皇から聖女と認定され、魔法学園に特別枠で入学して来るのだ。

 肩のあたりで揺れるストロベリーブロンドの髪に、ピンク色の瞳。
 明るく誰にでも優しい性格で、攻略対象たちはみんな、ヒロインに惹かれていく。

 乙女ゲームでは、名前は任意で決められたけど、ラノベではマリアという名だった。

 聖女マリア。
いかにも!って思ったのを覚えている。

 この入学式までは、マリウス殿下は私に優しかった。クランともいい関係だったと思う。

 だけど、この後ー
入学式に向かうマリア(仮)に、何人かの貴族たちがやっかみから文句を言い、それをマリウス殿下が諌めるのだ。

 それが、ヒロインと攻略対象のマリウス殿下との出会いイベントである。

 ちなみにアニエスはその時、すでに入学式の会場に入っている。
 マリウス殿下は、新入生の代表の挨拶があるため、たまたま会場から出ていたところ、その場面に遭遇するのだ。

 まぁ、いわゆるお約束というヤツである。

 アニエスは決して、悪役令嬢などではなく、ヒロインをいじめるようなことはしない。ただ、助けもしない。

 アニエスにとって、マリウス殿下は誰よりも大切な存在で、彼が懇意にするヒロインの存在を憎いとは思うのだが、かといって手出ししたりして殿下に知られるのが怖くて、ただ心の中で嫉妬心を燃やすしかなかったのだ。

 だから、やってもいないイジメを断罪され、婚約破棄されたショックで、死を選ぶのだけど。

 ちなみに、私はそんなことをするつもりはない。
 別にマリウス殿下がヒロインを好きになったなら、それで構わない。

 婚約破棄とか言い出す前に、解消を持ちかけるつもりだし、一応、その書面も交わすつもりだ。

 実は今までも何度か、婚約解消に関する話をしようとしたのだが、何故かマリウス殿下から「アニエスは僕と婚約解消したいのですか?」と黒い笑みで聞かれて、首を横に振るしかなかったのだ。

 うーん。あの笑みは黒かった。
あんなキャラだったかなぁ、王子って。
 もっと、無駄にキラキラしてたと思うんだけど。

 婚約者様。お姉さんとしては、一応仲良くなった君が破滅する未来は、回避してあげたいのだよ。
 私は自殺するつもりはないけど、強制力が働いても困るしね。ここは、無難に婚約解消しとかない?
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