「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい

みおな

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悪役令嬢回避編

それから

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 それからの3年間ー
家族とも、クランとも、それからマリウス殿下とも『それなり』に良い関係を築けていたと思う。

 あ。ローラ様は、なんだかブラコンではなくシスコンになってしまった。

 あの力説以来、王太子妃教育に王宮に向かうと、必ずローラ様からお茶かお昼のお誘いがあるようになったのだ。

 当然?のことながら、マリウス殿下からもお誘いがある。
 そうして、始まるのが兄妹喧嘩だ。

 おかしいなぁ。確か、婚約者様と『語らい』の時間を持つようになったのって、ローラ様が「お兄様はお姉様にもっと好かれる努力をするべきだと思います」って言ったのが、発端だったような。

 それが「お兄様はあとでお2人でお話し出来るのだから、私にお譲りください」って何?

 そりゃ、私もローラ様とお話するの楽しいけど、不思議とマリウス殿下と話すのもそれなりに楽しくなっていた。

 なので、交代でお茶やお昼をとるようになった。

 ローラ様は、もうなんていうか、超絶可愛い。「お姉様」なんて言って、ぎゅっと抱きついて来るもんだから、もうお持ち帰りしたくなってしまう。

 いいな~王妃様。
私もこんな可愛い子供欲しい。

 え?婚約者様と結婚したら、可愛い子供できるだろうって?

 いや。ないないないない。
話するのは楽しくなってきたし、悪い子じゃないっていうのもわかった。

 少なくとも、ラノベのようにアニエスには冷たくないし、どちらかというと、ご本舗の乙女ゲームの中のマリウスっぽい。

 でも、ヒロインと出会ったら、どうなるかわからないし、もしヒロインにマリウス殿下が傾倒しなかったとしても、さすがに恋愛対象として見ることができない。

 そういえば、クランもラノベのクランというより、乙女ゲームの中のクランっぽくなった。

 何故か王太子妃教育にしょっちゅう付いて来るようになって、これまた何故かマリウス殿下とのお茶やランチに同席するようになった。

 マリウス殿下と仲良く話してる感じから、きっとブラコン?になったのだろう。
 うちは男兄弟はいないから、きっとマリウス殿下のことお兄ちゃんだと思って、慕ってるのね。

 こんな風に、みんなと仲良く過ごしていけるのは、楽しかった。

 それなりに、良い関係だとすら思える。
このまま何も起こらずに、過ごしていけたなら・・・そう思う程度には。

 だけど、時間は止まってくれない。
明日、乙女ゲーム、そしてライトノベル『青の箱庭』の舞台、ハイドランジア王国王立魔法学園の入学式を迎える。

 ヒロインが、現れるー







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