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悪役令嬢回避編
王妃様の嘆き《王妃視点》
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娘であるローラと、息子のマリウスの婚約者、アニエス・リリウム公爵令嬢と一緒に食事を摂ることになりました。
今日は、突然ローラが、アニエスと話がしたいと言い出したので、王太子妃教育をお休みすることにしたのです。
マリウスの婚約者であるアニエスは、さすが筆頭公爵家の令嬢らしく、淑女教育も完璧に終え、王太子妃教育も順調に進んでいます。
1日くらいお休みしたからといって問題はないでしょう。
そう思い許可した私の元へ、ランチを一緒にというローラからの願いが届けられました。
本当に、ローラは困った子です。
よく言えば素直なのですが、自分の感情に素直すぎて、周囲は振り回されてばかりです。
王女としても淑女としても、もう少ししっかりと教育をし直さなければいけませんね。
その点、アニエスが良い見本になると思い、今日は許可を出したのですが。
「お兄様はもっとお姉様に好かれる努力をするべきだと思います」
ローラの言葉にため息が漏れます。
言っていることは、間違ってはいません。ですが、それを今ここで私に言うことがどういうことか、ローラは理解していないのでしょうか。
それはアニエスが、マリウスのことを好いていないということなのですよ?
それを母である私の前で言われるアニエスの身になってみなさい。
ローラはあとでお説教ですね。
しかし、今日会ったときから思っていましたが、アニエスの様子が少し変わったように感じます。
以前は、マリウスのことをとても好いてくれているように感じたのですが。
マリウス、あの子、何かやらかしたのではないでしょうね?
いえ。マリウスはローラとは違い、その点は大丈夫だと思うのですが。
マリウスは、よくできた子です。
勉強も剣の訓練も、どれも卒なくこなし、いつも笑顔で、人に恨まれるようなことがありません。
使用人たちにも差別なく声をかけているようで、ローラのように侍従を困らせるようなこともありません。
王太子に立太子してからも、厳しい教育も淡々とこなしているようです。
ですが、あの子は幼い頃から何かを切望したことがありません。
何でも卒なくこなせるせいか、自分から何かが欲しいとか、何かをしたいとかを願うことがありませんでした。
別にローラのように、我儘を言えというのではありません。
ですが、何も切望しないということは、何も必要としないということです。
それでも、アニエスが恋をしてくれているなら、マリウスのことを慕ってくれているならと思っていたのですが。
恋はしろと言ってできるものではありません。ですが、マリウスとアニエスの婚約婚姻は決定事項です。
これから、長い時を共に歩む2人なのです。
ローラの言う通り、2人で過ごす時間を強制的に作る必要がありそうですね。
今日は、突然ローラが、アニエスと話がしたいと言い出したので、王太子妃教育をお休みすることにしたのです。
マリウスの婚約者であるアニエスは、さすが筆頭公爵家の令嬢らしく、淑女教育も完璧に終え、王太子妃教育も順調に進んでいます。
1日くらいお休みしたからといって問題はないでしょう。
そう思い許可した私の元へ、ランチを一緒にというローラからの願いが届けられました。
本当に、ローラは困った子です。
よく言えば素直なのですが、自分の感情に素直すぎて、周囲は振り回されてばかりです。
王女としても淑女としても、もう少ししっかりと教育をし直さなければいけませんね。
その点、アニエスが良い見本になると思い、今日は許可を出したのですが。
「お兄様はもっとお姉様に好かれる努力をするべきだと思います」
ローラの言葉にため息が漏れます。
言っていることは、間違ってはいません。ですが、それを今ここで私に言うことがどういうことか、ローラは理解していないのでしょうか。
それはアニエスが、マリウスのことを好いていないということなのですよ?
それを母である私の前で言われるアニエスの身になってみなさい。
ローラはあとでお説教ですね。
しかし、今日会ったときから思っていましたが、アニエスの様子が少し変わったように感じます。
以前は、マリウスのことをとても好いてくれているように感じたのですが。
マリウス、あの子、何かやらかしたのではないでしょうね?
いえ。マリウスはローラとは違い、その点は大丈夫だと思うのですが。
マリウスは、よくできた子です。
勉強も剣の訓練も、どれも卒なくこなし、いつも笑顔で、人に恨まれるようなことがありません。
使用人たちにも差別なく声をかけているようで、ローラのように侍従を困らせるようなこともありません。
王太子に立太子してからも、厳しい教育も淡々とこなしているようです。
ですが、あの子は幼い頃から何かを切望したことがありません。
何でも卒なくこなせるせいか、自分から何かが欲しいとか、何かをしたいとかを願うことがありませんでした。
別にローラのように、我儘を言えというのではありません。
ですが、何も切望しないということは、何も必要としないということです。
それでも、アニエスが恋をしてくれているなら、マリウスのことを慕ってくれているならと思っていたのですが。
恋はしろと言ってできるものではありません。ですが、マリウスとアニエスの婚約婚姻は決定事項です。
これから、長い時を共に歩む2人なのです。
ローラの言う通り、2人で過ごす時間を強制的に作る必要がありそうですね。
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