11 / 128
悪役令嬢回避編
お姉様と呼ばれました
しおりを挟む
「あ、アニエス様っ」
ローラ姫様に連れられて、姫様の自室と思しきお部屋へとお邪魔することになった。
うーん。可愛らしいお部屋だわ。
ピンクの壁紙に、真っ白なテーブル。家具も真っ白で、カーテンも白のレースとピンクの花柄。
えーと。ローラ姫様、可愛いもの好き?
もしかしてヒロインとか言わないよね?
頭の中に、ピンクの髪に瞳で、ピンクのドレスを着てる乙女ゲーム定番のヒロインのイメージが・・・
侍女がお茶の準備を終えて、部屋を出て行くと、向かいの席に座ったローラ姫様が、意を決したように口を開いた。
「アニエス様っ!お、お兄様のことをどう思われますか?」
は?婚約者様のことを?
どうって、やたら顔のいい・・・子供?
今は私のことを嫌ってないみたいだから、普通に何とも思わないけど・・・
はっ!
もしやこれは、兄を取られたくない、ブラコン妹の牽制?
「どうとは?マリウス殿下は、ご立派な方だと思いますわ」
「そうではなくて、アニエス様はお兄様のこと、お好きですか?」
「・・・何故、そんなことを?わたくしは殿下にとって政略結婚の相手です。そこにわたくしの意思など必要ありませんわ」
まさか、学園に通い出したら、貴女のお兄様は好きな方が出来て、私を捨てるんですよとは言えない。
かといって、好意を持ってるように受け取られて、王宮に来る度に関わられたくない。
ここは無難に答えておこう。
私がそう思って答えた言葉に、ローラ姫様は顔を真っ青にさせた。あれ?
「お兄様ってば・・・!アニエス様。いいえ、お姉様っ!お兄様はちょっとばかりお顔がよろしくて、お勉強もできますが、少々情緒が不足しているのです!色々と欠落しているのです!大丈夫ですっ!私がっ、私がっ・・・」
「落ち着いて下さいませ?ローラ姫様。さあ、お茶を飲んで」
なんだか7歳の子供らしからぬ、兄を褒めてるのか貶してるのか分からない単語が出てきたけど、とりあえず、落ち着いてもらおう。
私はローラ姫様の隣に移動して、その背中をさすりながら、紅茶のカップを姫様に持たせた。
「ふぅ。ごめんなさい、興奮してしまって。アニエスお姉様・・・お姉様と呼んでもいいですか?」
「かまいませんよ?ローラ姫様」
婚約を解消するまでですけどね。
7歳の子供が、近所のお姉さんのことを「○○お姉ちゃん」と呼ぶのと大差ない。
「私のことも、ローラって呼んでくれませんか?」
「・・・それは」
「お願いします。お姉様、私のことお嫌いですか?」
うーん、ローラ姫様、それはズルい。
7歳の可愛い女の子に、瞳うるうるでお願いされたら、アラサーのお姉さんは断れないよ。
それに、なんだか、ブラコンというよりシスコンぽくない?
さっき、婚約者様のこと、色々と欠落してるって言ってたような・・・
ローラ姫様に連れられて、姫様の自室と思しきお部屋へとお邪魔することになった。
うーん。可愛らしいお部屋だわ。
ピンクの壁紙に、真っ白なテーブル。家具も真っ白で、カーテンも白のレースとピンクの花柄。
えーと。ローラ姫様、可愛いもの好き?
もしかしてヒロインとか言わないよね?
頭の中に、ピンクの髪に瞳で、ピンクのドレスを着てる乙女ゲーム定番のヒロインのイメージが・・・
侍女がお茶の準備を終えて、部屋を出て行くと、向かいの席に座ったローラ姫様が、意を決したように口を開いた。
「アニエス様っ!お、お兄様のことをどう思われますか?」
は?婚約者様のことを?
どうって、やたら顔のいい・・・子供?
今は私のことを嫌ってないみたいだから、普通に何とも思わないけど・・・
はっ!
もしやこれは、兄を取られたくない、ブラコン妹の牽制?
「どうとは?マリウス殿下は、ご立派な方だと思いますわ」
「そうではなくて、アニエス様はお兄様のこと、お好きですか?」
「・・・何故、そんなことを?わたくしは殿下にとって政略結婚の相手です。そこにわたくしの意思など必要ありませんわ」
まさか、学園に通い出したら、貴女のお兄様は好きな方が出来て、私を捨てるんですよとは言えない。
かといって、好意を持ってるように受け取られて、王宮に来る度に関わられたくない。
ここは無難に答えておこう。
私がそう思って答えた言葉に、ローラ姫様は顔を真っ青にさせた。あれ?
「お兄様ってば・・・!アニエス様。いいえ、お姉様っ!お兄様はちょっとばかりお顔がよろしくて、お勉強もできますが、少々情緒が不足しているのです!色々と欠落しているのです!大丈夫ですっ!私がっ、私がっ・・・」
「落ち着いて下さいませ?ローラ姫様。さあ、お茶を飲んで」
なんだか7歳の子供らしからぬ、兄を褒めてるのか貶してるのか分からない単語が出てきたけど、とりあえず、落ち着いてもらおう。
私はローラ姫様の隣に移動して、その背中をさすりながら、紅茶のカップを姫様に持たせた。
「ふぅ。ごめんなさい、興奮してしまって。アニエスお姉様・・・お姉様と呼んでもいいですか?」
「かまいませんよ?ローラ姫様」
婚約を解消するまでですけどね。
7歳の子供が、近所のお姉さんのことを「○○お姉ちゃん」と呼ぶのと大差ない。
「私のことも、ローラって呼んでくれませんか?」
「・・・それは」
「お願いします。お姉様、私のことお嫌いですか?」
うーん、ローラ姫様、それはズルい。
7歳の可愛い女の子に、瞳うるうるでお願いされたら、アラサーのお姉さんは断れないよ。
それに、なんだか、ブラコンというよりシスコンぽくない?
さっき、婚約者様のこと、色々と欠落してるって言ってたような・・・
119
お気に入りに追加
8,023
あなたにおすすめの小説
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります
結城芙由奈
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
悪役令嬢、猛省中!!
***あかしえ
恋愛
「君との婚約は破棄させてもらう!」
――この国の王妃となるべく、幼少の頃から悪事に悪事を重ねてきた公爵令嬢ミーシャは、狂おしいまでに愛していた己の婚約者である第二王子に、全ての罪を暴かれ断頭台へと送られてしまう。
処刑される寸前――己の前世とこの世界が少女漫画の世界であることを思い出すが、全ては遅すぎた。
今度生まれ変わるなら、ミーシャ以外のなにかがいい……と思っていたのに、気付いたら幼少期へと時間が巻き戻っていた!?
己の罪を悔い、今度こそ善行を積み、彼らとは関わらず静かにひっそりと生きていこうと決意を新たにしていた彼女の下に現れたのは……?!
襲い来るかもしれないシナリオの強制力、叶わない恋、
誰からも愛されるあの子に対する狂い出しそうな程の憎しみへの恐怖、
誰にもきっと分からない……でも、これの全ては自業自得。
今度こそ、私は私が傷つけてきた全ての人々を…………救うために頑張ります!
攻略なんてしませんから!
梛桜
恋愛
乙女ゲームの二人のヒロインのうちの一人として異世界の侯爵令嬢として転生したけれど、攻略難度設定が難しい方のヒロインだった!しかも、攻略相手には特に興味もない主人公。目的はゲームの中でのモフモフです!
【閑話】は此方→http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/808099598/
閑話は最初本編の一番下に置き、その後閑話集へと移動しますので、ご注意ください。
此方はベリーズカフェ様でも掲載しております。
*攻略なんてしませんから!別ルート始めました。
【別ルート】は『攻略より楽しみたい!』の題名に変更いたしました
【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
私はモブのはず
シュミー
恋愛
私はよくある乙女ゲーのモブに転生をした。
けど
モブなのに公爵家。そしてチート。さらには家族は美丈夫で、自慢じゃないけど、私もその内に入る。
モブじゃなかったっけ?しかも私のいる公爵家はちょっと特殊ときている。もう一度言おう。
私はモブじゃなかったっけ?
R-15は保険です。
ちょっと逆ハー気味かもしれない?の、かな?見る人によっては変わると思う。
注意:作者も注意しておりますが、誤字脱字が限りなく多い作品となっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる