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悪役令嬢回避編
美しき青百合《マリウス視点》
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僕の名前は、マリウス・ハイドランジア。現在10歳だ。
僕は、ハイドランジア王家の嫡男として、5歳の歳に立太子の儀を終えた。
僕には3歳年下の妹がいるが、男兄弟はなく、早くに立太子しておいた方が、もし弟が出来ても跡目争いなどが起こらないだろうという、父上の配慮だ。
それに、僕には生まれた時からの婚約者がいる。
ハイドランジア王国の筆頭公爵家のご令嬢、アニエス・リリウム嬢だ。
僕が王太子になるということは、彼女は王太子妃、未来の王妃となる。
王太子妃教育や王妃教育を施すためにも、早めに立太子する必要があった。
僕は、自分で言うのも何だが、それなりに見目はいい方だと思う。
国王陛下である父上は、武人のような厳めしい方だが、王妃である母上は、女神のようにお美しい方だ。
僕は、母上似である。
幼い頃は天使のようだと言われた。多分、母上譲りの金髪と、父上譲りの碧眼のせいだろう。
ちなみに、妹は、父上と同じ紫色の髪に碧眼で、僕からしたら可愛らしいのだが、本人は父上に似ていることが不満らしい。
父上も、厳ついけれど、美形の部類に入るのだけど、女心は複雑らしい。
その、妹のコンプレックスに拍車をかけたのが、僕の婚約者であるアニエス嬢だ。
リリウム公爵家の青百合と呼ばれる彼女は、絵画の中の天使のように美しいご令嬢だ。
僕と彼女が初めて会ったのは、僕たちが4歳の時だ。
立太子目前に、一応顔合わせをした方がいいだろうと両親に言われて、設けたお茶会の席で、愛らしくカーテシーをしてみせたご令嬢、それがアニエス嬢だった。
正直言って、美形の母上を常に見ている僕は、容姿に関して全く興味がない。
顔なんか付いていれば別にいいだろうと思うが、まぁ、王妃となるなら他国相手の公務もある。印象はいい方が良いだろう。
彼女とは、政略結婚の関係だ。
王家にとって、リリウム公爵家と繋がりを持つことは政略的に意味を持つ。
だからこそ、生まれてすぐに僕と彼女は婚約者となったし、この先に婚姻を結ぶことも決定事項だ。
だが、今朝出迎えた彼女は、昨日までの彼女とどこか違うような、そんな気がした。
初めて顔合わせをした日から、僕のことを眩しいものでも見るように、見ていた彼女。
僕は、そんな目で見られることには慣れていたし、何とも思わなかった。
いや、この先も婚約者として過ごし、いずれ婚姻する関係なら、彼女に思われているのは都合がいいとすら思ったくらいだ。
僕は、ある意味、歪んでいるのかもしれない。
愛情を向けてくれる家族も、思いを寄せてくれる令嬢も、そして婚約者も、別に煩わしいと思ったりしないのに、興味が持てない。
そんな僕だけど、初めて見る僕に素っ気ない素振りの婚約者に、僅かな興味がわいた。
僕は、ハイドランジア王家の嫡男として、5歳の歳に立太子の儀を終えた。
僕には3歳年下の妹がいるが、男兄弟はなく、早くに立太子しておいた方が、もし弟が出来ても跡目争いなどが起こらないだろうという、父上の配慮だ。
それに、僕には生まれた時からの婚約者がいる。
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僕が王太子になるということは、彼女は王太子妃、未来の王妃となる。
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ちなみに、妹は、父上と同じ紫色の髪に碧眼で、僕からしたら可愛らしいのだが、本人は父上に似ていることが不満らしい。
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その、妹のコンプレックスに拍車をかけたのが、僕の婚約者であるアニエス嬢だ。
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立太子目前に、一応顔合わせをした方がいいだろうと両親に言われて、設けたお茶会の席で、愛らしくカーテシーをしてみせたご令嬢、それがアニエス嬢だった。
正直言って、美形の母上を常に見ている僕は、容姿に関して全く興味がない。
顔なんか付いていれば別にいいだろうと思うが、まぁ、王妃となるなら他国相手の公務もある。印象はいい方が良いだろう。
彼女とは、政略結婚の関係だ。
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だからこそ、生まれてすぐに僕と彼女は婚約者となったし、この先に婚姻を結ぶことも決定事項だ。
だが、今朝出迎えた彼女は、昨日までの彼女とどこか違うような、そんな気がした。
初めて顔合わせをした日から、僕のことを眩しいものでも見るように、見ていた彼女。
僕は、そんな目で見られることには慣れていたし、何とも思わなかった。
いや、この先も婚約者として過ごし、いずれ婚姻する関係なら、彼女に思われているのは都合がいいとすら思ったくらいだ。
僕は、ある意味、歪んでいるのかもしれない。
愛情を向けてくれる家族も、思いを寄せてくれる令嬢も、そして婚約者も、別に煩わしいと思ったりしないのに、興味が持てない。
そんな僕だけど、初めて見る僕に素っ気ない素振りの婚約者に、僅かな興味がわいた。
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