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前向きに考える
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「ティア嬢・・・こう呼ばせて欲しい。ティア嬢は、シキのことをどう思っているんだ?」
グレンの問いに首を傾げる。
シキのこと?
「予想外に息も合うし、魔法の能力も高いし、皇帝陛下じゃなかったら一緒に冒険者できたのになぁって思いますよ」
「いや、そういう意味ではなくて・・・」
「恋愛的な意味ですか?他国の人にこういうの、言っていいのか分かんないんですけど、まぁシキとはお友達みたいですし・・・一応他言無用にしてくださいね。以前、シキに好意を伝えられました。その時にも答えたんですけど、シキのことは確かに好きか嫌いかで言えば好きです。でも、その好きはシキが私に向けている好きとは違うと思うんです。この先、シキをそういうふうに見ることがないとは言えませんけど、私がそう思えるのをずっと待つわけにいかないだろうって」
私はかつてシキに答えたことを、そのままグレンとクラウドに伝えた。
「その頃と、全く気持ちは変わってない?」
「え?」
「その頃は、そのムカムカやイライラってあった?」
クラウドの問いに、考え込む。
ムカムカイライラを感じるようになったのは、ごく最近だ。
「ないですね」
「僕もグレンも、ティアちゃんにシキを好きになれって言うつもりはないよ。僕たちはシキをいい奴だと思ってるし、ティアちゃんのことも好きだけど、ティアちゃんが自由に生きたいっていうのは皇后になると難しいだろうなって思うからね。だけどさ、シキが他の女の人といてムカムカするっていうのなら・・・ほんのちょっとだけ、シキと一緒に生きる未来を考えてみてくれないかな?」
「・・・」
「今すぐどうこういうわけじゃない。ティア嬢がもう少し大人になるまでなら、シキも待てるだろう。ただ、少しだけ前向きに考えて欲しいんだ。皇后になることによる不自由と、シキと一緒にいられなくなること、どちらが嫌かをゆっくり考えてみて欲しい」
グレンもクラウドも、本当にシキのことが好きなんだろう。
友達思いというか、いい人たちなんだなって思う。
だから、素直に頷いた。
「わかりました」
皇后は私には荷が重いし、このムカムカが恋かどうかはわからないけど、これが恋かも?って考えながら過ごしてみるのも良いかもしれない。
もし恋でなくても、グレンもクラウドも・・・それからシキも誰も私を責めないと思うから。
「よし!じゃあ、魔獣狩りといくか」
「そうだね。早く帰らないと、シキがイライラしそうだからね。あ、そうだ。リミアとカーティ嬢がシキを手伝うって言ってたの、あれ嘘だから」
「は?」
「多分だけどね、ティアちゃんの反応が見たかっただけだよ。そもそも魔道具はカルディア帝国の国家機密だからね、他人に作ってるところを見せたりしないよ」
グレンの問いに首を傾げる。
シキのこと?
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「・・・」
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「は?」
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