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ま、念のため
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とりあえず、カタパルトたちも連れてカルディア帝国に戻ることにした。
触れていないと一緒に転移できないから、手を繋ぐことにしたんだけど・・・
カタパルトはなんだかもう、私とシキが何をしても全部「この二人ならできるだろう」的な感じで受け入れてるけど、マリアベルはさすがに驚いていた。
まぁ、ね。聖女としての力は知ってても、魔法を使えることは誰にも言ってなかったからね。
ちなみに、氷漬けの二人も目を見開いていた。
六人、ただし二人は氷漬け、で仲良く?転移してシキの執務室に戻ったら、アルヴァン様がいた。
「ヒッ!」
そのアルヴァン様を見て、マリアベルが変な悲鳴?を上げてカタパルトに抱きついている。
「どうかしました?ん?ああ!」
マリアベルの視線の先には、アルヴァン様に抱かれたナイトとクロの姿があった。
あ。そっか。
マリアベルは私の作った幻影のクロを傷つけて、同じ痛みを負ったわけだから。
「クロは私が癒やしましたから、死んでませんよ。隣は、クロの父親のナイトです」
「死んで・・・ない?」
「ええ。貴女が見たのは、私が作った幻影のクロです。自分のしたことは自分に返ってくるという、良い教訓になりましたね」
「・・・」
多分、思うところはあるのだろう。
私だって、クロを傷つけたことを全て許したかと言ったらそうじゃない。
マリアベルはしばらく俯いていたけど、結局は自分がしたことが正しくないことだったのだからと納得したようだった。
「おかえりなさいませ、陛下、ティア様」
「ああ。何もなかったか?」
「ただいま戻りました、アルヴァン様。ただいま、クロ」
ピョンと私の胸に飛び込んでくるクロの頭を撫でてやる。
本当、こんな可愛い存在を傷つけるなんて。
「今回は見逃しますけど、次はありませんよ?」
「ヒッ!わっ、分かってるわ!」
カタパルトは、マリアベルがクロにしたことを知らない。
だけど、マリアベルの様子から何となく何かあったことは分かったのだろう。
黙って、私に頭を下げた。
うーん、大人になったなぁ。このカタパルトなら、アントワナ様の元で暮らしても大丈夫でない?
「ティア。とりあえず二人には休んでもらおう。アルヴァン、客室の準備を。ああ。その二人はそのまま牢に放り込んでおけ」
「かしこまりました。誰か押し車を持って来なさい。それに乗せて、地下牢へ」
「「はっ!」」
口と手足は凍らせてるから、何も出来ないと思うけど・・・
「ん、念のため」
「どうした?ティア」
「何でもないです。それでは、お二人とも少しお休みください。これからのことは、アントワナ様や、アーバンラマとラプラスの方々をお招きしてからにしましょう」
私がそう言うと、アルヴァン様が二人を連れて退出して行った。
触れていないと一緒に転移できないから、手を繋ぐことにしたんだけど・・・
カタパルトはなんだかもう、私とシキが何をしても全部「この二人ならできるだろう」的な感じで受け入れてるけど、マリアベルはさすがに驚いていた。
まぁ、ね。聖女としての力は知ってても、魔法を使えることは誰にも言ってなかったからね。
ちなみに、氷漬けの二人も目を見開いていた。
六人、ただし二人は氷漬け、で仲良く?転移してシキの執務室に戻ったら、アルヴァン様がいた。
「ヒッ!」
そのアルヴァン様を見て、マリアベルが変な悲鳴?を上げてカタパルトに抱きついている。
「どうかしました?ん?ああ!」
マリアベルの視線の先には、アルヴァン様に抱かれたナイトとクロの姿があった。
あ。そっか。
マリアベルは私の作った幻影のクロを傷つけて、同じ痛みを負ったわけだから。
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「死んで・・・ない?」
「ええ。貴女が見たのは、私が作った幻影のクロです。自分のしたことは自分に返ってくるという、良い教訓になりましたね」
「・・・」
多分、思うところはあるのだろう。
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マリアベルはしばらく俯いていたけど、結局は自分がしたことが正しくないことだったのだからと納得したようだった。
「おかえりなさいませ、陛下、ティア様」
「ああ。何もなかったか?」
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ピョンと私の胸に飛び込んでくるクロの頭を撫でてやる。
本当、こんな可愛い存在を傷つけるなんて。
「今回は見逃しますけど、次はありませんよ?」
「ヒッ!わっ、分かってるわ!」
カタパルトは、マリアベルがクロにしたことを知らない。
だけど、マリアベルの様子から何となく何かあったことは分かったのだろう。
黙って、私に頭を下げた。
うーん、大人になったなぁ。このカタパルトなら、アントワナ様の元で暮らしても大丈夫でない?
「ティア。とりあえず二人には休んでもらおう。アルヴァン、客室の準備を。ああ。その二人はそのまま牢に放り込んでおけ」
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「ん、念のため」
「どうした?ティア」
「何でもないです。それでは、お二人とも少しお休みください。これからのことは、アントワナ様や、アーバンラマとラプラスの方々をお招きしてからにしましょう」
私がそう言うと、アルヴァン様が二人を連れて退出して行った。
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