119 / 134
あら?まだ使ってなかったの
しおりを挟む「それじゃあ…ん?仕事が入った。開始は十分後だ。5分ごとに送りつける。準備しておけ!」
リオンが自分勝手な言葉を残して転移した。
「……」
皆、少ない情報の中での早い展開に呆然としていた。
(これは…)
サイカはリオンが転移した後に何かの紙が落ちているのを見つけた。近づいて確認すると、それは指示がメモされた紙切れであった。
(『十分後』って、まさかコレやるってこと?)
「みんな、来てください!」
サイカはすぐに人を集めた。
メモのの内容は箇条書きで7つ書かれていた。
・5分ごとにモンスターを送る。旗を立ててある。
・送りつけるモンスターはお前らではやれない。罠に嵌めてアイテムで攻撃しろ
・家は安全
・周りは崖、落ちるな
・外付け倉庫に必要なものはだいたい入れてある
・トイレは玄関入って左に進め
・危なくなったら球を割れ
の以上である。
「旗?」
カイトが疑問に思って呟く。
「あそこだと思うよ」
リュートが答える。そこには、きの棒に白い布を括り付けただけの見窄らしい旗があった。
「アレか…」
「私はこっちの方が気になるのだけどアイテム?この魔道具のことかしら?」
サリアがリオンが残した武器を指して言った。
「ん、多分そう、しかも、機械タイプのお高いヤツ」
アヤメが答える。
「ちょっと!あなた達、そんなに集まったら他の人が見れなくなります!離れてください!」
サイカはギュウギュウに詰めてメモを見るリュート達を引き剥がした。
「そう言われてもな~、見ながら試したいし…」
カイトが名残惜しそうにメモを覗く。
「じゃあ、こうしよう!」
そこで、リュートがある提案をした。
ーーーーーーーー
「はーい、注目!」
『触媒魔法』で形成されたホワイトボード前でリュートが呼びかける。
「これから、メモの内容について話していこうと思います。リオンさんの話では十分後に訓練が始まるとのことです」
リュートは『闇魔法』で作られたチョークでメモの内容はをボードに書き連ねた。
「まず一つ目、見ての通りだね、シンプルだ。旗はあそこにある。トウカ先生の助言通りにラウド先生を嗾けよう」
説明を終えると文を射線で消した。
「二つ目、パワーレベリングです。今年は大変な年になりそうです」
リュートが線を引こうとした時、リョウカ質問をした。
「えっと、どう言うことなのです?」
申し訳なさそうに聞く。
「パワーレベリングの特徴は分かる?」
「それは分かるのです!」
この世界でのパワーレベリングとは遥か格上の相手を実力関係なしに倒す行為である。大量のマナを一気に吸収するため大幅な成長を可能にする。
しかし、一見やり得にも思えるパワーレベリングだが欠点がある。人が吸収できるマナの総量には限界があり、それは地道な訓練でしか増やすことが出来ない。
「そういう事だね」
「どう言う事です!?サイカっちは分かるのです?」
「…今は目の前のことを考えてください」
サイカが目を逸らして答える。
「何なのです!?意味わからなくて怖いです!」
「フフ…知らない方が良いものとは結構ございますよ」
ニナがリョウカの耳元で囁く。
「…ッ!いっそ教えるのです。覚悟できれば多少マシになるのです!」
(うぁー…)
サイカはニナの黒い本性を垣間見た。
「三つ目はそのままの意味だと思う。いないと思うけど戦いたく無い人は中に避難すればいい」
(?いないと思う?私、訓練で命掛けたく無いのです。皆んな分かってるのです?)
リョウカは一人理解できずに混乱する。
「アヤメーー!」
リュートが家の前に立つアヤメに声をかけた。
「ふんっ!」
アヤメが玄関の柱を殴る。
「この通り」
リュートが前を向く。
(どの通りなのです!?意味がわからないのです!意味がわからなすぎて…意味がわからないのです!)
リョウカの思考は混沌を極めた。
「四つ目、カリスに軽く調べてもらったところ、円形に出っぱった台地みたいになってる。安全装置みたいなの多分無いから」
リュートが線を引く。
(あっ、これは理解できたのです!)
「五つ目、倉庫はあそこ。魔道具のコアはおそらくそこにある」
「有ったわよー!」
サリアがコアを片手に手を振る。
(これも余裕なのです!)
リョウカに活力が戻る。
「六つ目はいいとして七つ目、球は使ってないサリアたちの班のを使えってことだと思う。ここで一つ問題がある。」
リュートが線を引き、真剣な表情で言う。
「何なのです?」
リョウカが声に出して聞く。
「時間がない、40秒で支度しろ!」
リュートが叫んだ。
(絶対終わらないのです!)
ーーーーーー
クラスメイト全員が魔道具を装備して旗を囲んでいる。
装備は多種多様であり大きく分けての近接、援護、遠距離の三種類がある。コアの構成は皆、機動と防御に特化させて攻撃を魔道具に頼る形となっている。
旗から近い順に近接部隊、援護部隊、遠距離部隊に分かれた。近接、援護の部隊は適当に、遠距離部隊はピクシーが担当した。
部隊の手前には申し訳程度の壁と家の前まで通じる塹壕が引かれている。
(ほ、本当に終わったのです。皆んな速いのです…)
皆が息を呑み標的を待つ。
5、4、3、2、1
旗の真上に丸々と太った齧歯動物が現れた。
(来たっ!)
リュート達はモンスターに一斉に襲い掛かる。
「え……」
カイトは呆気ない結果に思わず声を漏らした。
遠距離部隊の放った攻撃がモンスターの脳天を貫通したのである。
リオンが自分勝手な言葉を残して転移した。
「……」
皆、少ない情報の中での早い展開に呆然としていた。
(これは…)
サイカはリオンが転移した後に何かの紙が落ちているのを見つけた。近づいて確認すると、それは指示がメモされた紙切れであった。
(『十分後』って、まさかコレやるってこと?)
「みんな、来てください!」
サイカはすぐに人を集めた。
メモのの内容は箇条書きで7つ書かれていた。
・5分ごとにモンスターを送る。旗を立ててある。
・送りつけるモンスターはお前らではやれない。罠に嵌めてアイテムで攻撃しろ
・家は安全
・周りは崖、落ちるな
・外付け倉庫に必要なものはだいたい入れてある
・トイレは玄関入って左に進め
・危なくなったら球を割れ
の以上である。
「旗?」
カイトが疑問に思って呟く。
「あそこだと思うよ」
リュートが答える。そこには、きの棒に白い布を括り付けただけの見窄らしい旗があった。
「アレか…」
「私はこっちの方が気になるのだけどアイテム?この魔道具のことかしら?」
サリアがリオンが残した武器を指して言った。
「ん、多分そう、しかも、機械タイプのお高いヤツ」
アヤメが答える。
「ちょっと!あなた達、そんなに集まったら他の人が見れなくなります!離れてください!」
サイカはギュウギュウに詰めてメモを見るリュート達を引き剥がした。
「そう言われてもな~、見ながら試したいし…」
カイトが名残惜しそうにメモを覗く。
「じゃあ、こうしよう!」
そこで、リュートがある提案をした。
ーーーーーーーー
「はーい、注目!」
『触媒魔法』で形成されたホワイトボード前でリュートが呼びかける。
「これから、メモの内容について話していこうと思います。リオンさんの話では十分後に訓練が始まるとのことです」
リュートは『闇魔法』で作られたチョークでメモの内容はをボードに書き連ねた。
「まず一つ目、見ての通りだね、シンプルだ。旗はあそこにある。トウカ先生の助言通りにラウド先生を嗾けよう」
説明を終えると文を射線で消した。
「二つ目、パワーレベリングです。今年は大変な年になりそうです」
リュートが線を引こうとした時、リョウカ質問をした。
「えっと、どう言うことなのです?」
申し訳なさそうに聞く。
「パワーレベリングの特徴は分かる?」
「それは分かるのです!」
この世界でのパワーレベリングとは遥か格上の相手を実力関係なしに倒す行為である。大量のマナを一気に吸収するため大幅な成長を可能にする。
しかし、一見やり得にも思えるパワーレベリングだが欠点がある。人が吸収できるマナの総量には限界があり、それは地道な訓練でしか増やすことが出来ない。
「そういう事だね」
「どう言う事です!?サイカっちは分かるのです?」
「…今は目の前のことを考えてください」
サイカが目を逸らして答える。
「何なのです!?意味わからなくて怖いです!」
「フフ…知らない方が良いものとは結構ございますよ」
ニナがリョウカの耳元で囁く。
「…ッ!いっそ教えるのです。覚悟できれば多少マシになるのです!」
(うぁー…)
サイカはニナの黒い本性を垣間見た。
「三つ目はそのままの意味だと思う。いないと思うけど戦いたく無い人は中に避難すればいい」
(?いないと思う?私、訓練で命掛けたく無いのです。皆んな分かってるのです?)
リョウカは一人理解できずに混乱する。
「アヤメーー!」
リュートが家の前に立つアヤメに声をかけた。
「ふんっ!」
アヤメが玄関の柱を殴る。
「この通り」
リュートが前を向く。
(どの通りなのです!?意味がわからないのです!意味がわからなすぎて…意味がわからないのです!)
リョウカの思考は混沌を極めた。
「四つ目、カリスに軽く調べてもらったところ、円形に出っぱった台地みたいになってる。安全装置みたいなの多分無いから」
リュートが線を引く。
(あっ、これは理解できたのです!)
「五つ目、倉庫はあそこ。魔道具のコアはおそらくそこにある」
「有ったわよー!」
サリアがコアを片手に手を振る。
(これも余裕なのです!)
リョウカに活力が戻る。
「六つ目はいいとして七つ目、球は使ってないサリアたちの班のを使えってことだと思う。ここで一つ問題がある。」
リュートが線を引き、真剣な表情で言う。
「何なのです?」
リョウカが声に出して聞く。
「時間がない、40秒で支度しろ!」
リュートが叫んだ。
(絶対終わらないのです!)
ーーーーーー
クラスメイト全員が魔道具を装備して旗を囲んでいる。
装備は多種多様であり大きく分けての近接、援護、遠距離の三種類がある。コアの構成は皆、機動と防御に特化させて攻撃を魔道具に頼る形となっている。
旗から近い順に近接部隊、援護部隊、遠距離部隊に分かれた。近接、援護の部隊は適当に、遠距離部隊はピクシーが担当した。
部隊の手前には申し訳程度の壁と家の前まで通じる塹壕が引かれている。
(ほ、本当に終わったのです。皆んな速いのです…)
皆が息を呑み標的を待つ。
5、4、3、2、1
旗の真上に丸々と太った齧歯動物が現れた。
(来たっ!)
リュート達はモンスターに一斉に襲い掛かる。
「え……」
カイトは呆気ない結果に思わず声を漏らした。
遠距離部隊の放った攻撃がモンスターの脳天を貫通したのである。
72
お気に入りに追加
2,576
あなたにおすすめの小説

辺境伯聖女は城から追い出される~もう王子もこの国もどうでもいいわ~
サイコちゃん
恋愛
聖女エイリスは結界しか張れないため、辺境伯として国境沿いの城に住んでいた。しかし突如王子がやってきて、ある少女と勝負をしろという。その少女はエイリスとは違い、聖女の資質全てを備えていた。もし負けたら聖女の立場と爵位を剥奪すると言うが……あることが切欠で全力を発揮できるようになっていたエイリスはわざと負けることする。そして国は真の聖女を失う――

婚約破棄されたので、聖女になりました。けど、こんな国の為には働けません。自分の王国を建設します。
ぽっちゃりおっさん
恋愛
公爵であるアルフォンス家一人息子ボクリアと婚約していた貴族の娘サラ。
しかし公爵から一方的に婚約破棄を告げられる。
屈辱の日々を送っていたサラは、15歳の洗礼を受ける日に【聖女】としての啓示を受けた。
【聖女】としてのスタートを切るが、幸運を祈る相手が、あの憎っくきアルフォンス家であった。
差別主義者のアルフォンス家の為には、祈る気にはなれず、サラは国を飛び出してしまう。
そこでサラが取った決断は?

【完結】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と言っていた婚約者と婚約破棄したいだけだったのに、なぜか聖女になってしまいました
As-me.com
恋愛
完結しました。
とある日、偶然にも婚約者が「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言するのを聞いてしまいました。
例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃっていますが……そんな婚約者様がとんでもない問題児だと発覚します。
なんてことでしょう。愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。
ねぇ、婚約者様。私はあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄しますから!
あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。
※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』を書き直しています。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定や登場人物の性格などを書き直す予定です。

【短編】追放された聖女は王都でちゃっかり暮らしてる「新聖女が王子の子を身ごもった?」結界を守るために元聖女たちが立ち上がる
みねバイヤーン
恋愛
「ジョセフィーヌ、聖なる力を失い、新聖女コレットの力を奪おうとした罪で、そなたを辺境の修道院に追放いたす」謁見の間にルーカス第三王子の声が朗々と響き渡る。
「異議あり!」ジョセフィーヌは間髪を入れず意義を唱え、証言を述べる。
「証言一、とある元聖女マデリーン。殿下は十代の聖女しか興味がない。証言二、とある元聖女ノエミ。殿下は背が高く、ほっそりしてるのに出るとこ出てるのが好き。証言三、とある元聖女オードリー。殿下は、手は出さない、見てるだけ」
「ええーい、やめーい。不敬罪で追放」
追放された元聖女ジョセフィーヌはさっさと王都に戻って、魚屋で働いてる。そんな中、聖女コレットがルーカス殿下の子を身ごもったという噂が。王国の結界を守るため、元聖女たちは立ち上がった。
【完結】「神様、辞めました〜竜神の愛し子に冤罪を着せ投獄するような人間なんてもう知らない」
まほりろ
恋愛
王太子アビー・シュトースと聖女カーラ・ノルデン公爵令嬢の結婚式当日。二人が教会での誓いの儀式を終え、教会の扉を開け外に一歩踏み出したとき、国中の壁や窓に不吉な文字が浮かび上がった。
【本日付けで神を辞めることにした】
フラワーシャワーを巻き王太子と王太子妃の結婚を祝おうとしていた参列者は、突然現れた文字に驚きを隠せず固まっている。
国境に壁を築きモンスターの侵入を防ぎ、結界を張り国内にいるモンスターは弱体化させ、雨を降らせ大地を潤し、土地を豊かにし豊作をもたらし、人間の体を強化し、生活が便利になるように魔法の力を授けた、竜神ウィルペアトが消えた。
人々は三カ月前に冤罪を着せ、|罵詈雑言《ばりぞうごん》を浴びせ、石を投げつけ投獄した少女が、本物の【竜の愛し子】だと分かり|戦慄《せんりつ》した。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
アルファポリスに先行投稿しています。
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
2021/12/13、HOTランキング3位、12/14総合ランキング4位、恋愛3位に入りました! ありがとうございます!

契約破棄された聖女は帰りますけど
基本二度寝
恋愛
「聖女エルディーナ!あなたとの婚約を破棄する」
「…かしこまりました」
王太子から婚約破棄を宣言され、聖女は自身の従者と目を合わせ、頷く。
では、と身を翻す聖女を訝しげに王太子は見つめた。
「…何故理由を聞かない」
※短編(勢い)

聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!?
元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。
護国の聖女、婚約破棄の上、国外追放される。〜もう護らなくていいんですね〜
ココちゃん
恋愛
平民出身と蔑まれつつも、聖女として10年間一人で護国の大結界を維持してきたジルヴァラは、学園の卒業式で、冤罪を理由に第一王子に婚約を破棄され、国外追放されてしまう。
護国の大結界は、聖女が結界の外に出た瞬間、消滅してしまうけれど、王子の新しい婚約者さんが次の聖女だっていうし大丈夫だよね。
がんばれ。
…テンプレ聖女モノです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる