聖女の地位も婚約者も全て差し上げます〜LV∞の聖女は冒険者になるらしい〜

みおな

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決めるのは私

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 カタパルトが出て行った後、私はどうするか決めかねていた。

 教皇は許さない。

 それは変わらない。あの男を生かしていたら、また同じような思いをする人が必ず出てくる。

 国王が、教皇の行いを知らなかったとは思えない。

 率先したかはわからないけど、少なくとも知っていたはず。

 知らなかったら知らなかったで、それは国のトップとしてどうなんだと思う。

 それに、アントワナ様のお気持ちを思うと、国王が生きていることはプラスになると思えない。

 そんな個人的感情で、と思われるかもしれないけど、私は最初から自分の気持ち優先だ。

 だから・・・

 皇帝陛下であるシキの隣には相応しくない。

 シキはなんだかんだ言いながらも、皇帝としてカルディア帝国民のことを考えているから。

「ティア。とりあえずカタパルトを追いかけるか?それともあの、魔獣になった娘のところへ行くか?」

 シキは、私が迷っていることを理解っているんだろう。

 マリアベルのしたことは許せない。

 弱く物言えないクロに、あんな酷いことをしたのだから。

 もしあのままクロが死んでいたなら、私は絶対にマリアベルを殺しただろう。

 その気持ちは間違いなく今も、私の中にある。

 だけど、カタパルトの思いが・・・私を躊躇わせる。

 私は決して、カタパルトのことを好きではない。

 そもそも婚約者だからといって交流もしてなかったし、婚約自体が私を国に縛り付けるためのものだったから。

 私を養女にしたクリムゾン伯爵が、もう少し賢い人だったなら、私を伯爵令嬢のまま籍を抜かなかっただろう。

 それならば婚約者にしなくても、私はシンクレア王国から出ることが出来なかった。

 だけど、よほど孤児の私をクリムゾン伯爵家の名に連ねたくなかったのか、それとも国王や教皇に唆されたのか、私は教会預かりになった時点で、伯爵令嬢から平民に戻っていた。

 そういうところがカタパルトの気に障ったのだと思ってたけど、本気でマリアベルのことが好きだったんだ。

 私はまだまだ子供で、あれほどまでの気持ちを知らない。

 でも、私のことを好きだと言ってくれるシキは、もしかしたら私が同じ目にあったらカタパルトと同じようにしてくれるかもしれない。

 そう思ったら、カタパルトの思いを無視できなくなってしまった。

 カタパルトが馬鹿なおかげで、私が自由になれたことも事実だし。

 親として、苦渋の決断をしたアントワナ様のこともある。

「ティアの思うようにすれば良い。誰にもそれが間違いだと言わせない」

 シキの言葉に、私は自分が思うように・・・今まで通りに行動することにした。

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