114 / 134
決めるのは私
しおりを挟む
カタパルトが出て行った後、私はどうするか決めかねていた。
教皇は許さない。
それは変わらない。あの男を生かしていたら、また同じような思いをする人が必ず出てくる。
国王が、教皇の行いを知らなかったとは思えない。
率先したかはわからないけど、少なくとも知っていたはず。
知らなかったら知らなかったで、それは国のトップとしてどうなんだと思う。
それに、アントワナ様のお気持ちを思うと、国王が生きていることはプラスになると思えない。
そんな個人的感情で、と思われるかもしれないけど、私は最初から自分の気持ち優先だ。
だから・・・
皇帝陛下であるシキの隣には相応しくない。
シキはなんだかんだ言いながらも、皇帝としてカルディア帝国民のことを考えているから。
「ティア。とりあえずカタパルトを追いかけるか?それともあの、魔獣になった娘のところへ行くか?」
シキは、私が迷っていることを理解っているんだろう。
マリアベルのしたことは許せない。
弱く物言えないクロに、あんな酷いことをしたのだから。
もしあのままクロが死んでいたなら、私は絶対にマリアベルを殺しただろう。
その気持ちは間違いなく今も、私の中にある。
だけど、カタパルトの思いが・・・私を躊躇わせる。
私は決して、カタパルトのことを好きではない。
そもそも婚約者だからといって交流もしてなかったし、婚約自体が私を国に縛り付けるためのものだったから。
私を養女にしたクリムゾン伯爵が、もう少し賢い人だったなら、私を伯爵令嬢のまま籍を抜かなかっただろう。
それならば婚約者にしなくても、私はシンクレア王国から出ることが出来なかった。
だけど、よほど孤児の私をクリムゾン伯爵家の名に連ねたくなかったのか、それとも国王や教皇に唆されたのか、私は教会預かりになった時点で、伯爵令嬢から平民に戻っていた。
そういうところがカタパルトの気に障ったのだと思ってたけど、本気でマリアベルのことが好きだったんだ。
私はまだまだ子供で、あれほどまでの気持ちを知らない。
でも、私のことを好きだと言ってくれるシキは、もしかしたら私が同じ目にあったらカタパルトと同じようにしてくれるかもしれない。
そう思ったら、カタパルトの思いを無視できなくなってしまった。
カタパルトが馬鹿なおかげで、私が自由になれたことも事実だし。
親として、苦渋の決断をしたアントワナ様のこともある。
「ティアの思うようにすれば良い。誰にもそれが間違いだと言わせない」
シキの言葉に、私は自分が思うように・・・今まで通りに行動することにした。
教皇は許さない。
それは変わらない。あの男を生かしていたら、また同じような思いをする人が必ず出てくる。
国王が、教皇の行いを知らなかったとは思えない。
率先したかはわからないけど、少なくとも知っていたはず。
知らなかったら知らなかったで、それは国のトップとしてどうなんだと思う。
それに、アントワナ様のお気持ちを思うと、国王が生きていることはプラスになると思えない。
そんな個人的感情で、と思われるかもしれないけど、私は最初から自分の気持ち優先だ。
だから・・・
皇帝陛下であるシキの隣には相応しくない。
シキはなんだかんだ言いながらも、皇帝としてカルディア帝国民のことを考えているから。
「ティア。とりあえずカタパルトを追いかけるか?それともあの、魔獣になった娘のところへ行くか?」
シキは、私が迷っていることを理解っているんだろう。
マリアベルのしたことは許せない。
弱く物言えないクロに、あんな酷いことをしたのだから。
もしあのままクロが死んでいたなら、私は絶対にマリアベルを殺しただろう。
その気持ちは間違いなく今も、私の中にある。
だけど、カタパルトの思いが・・・私を躊躇わせる。
私は決して、カタパルトのことを好きではない。
そもそも婚約者だからといって交流もしてなかったし、婚約自体が私を国に縛り付けるためのものだったから。
私を養女にしたクリムゾン伯爵が、もう少し賢い人だったなら、私を伯爵令嬢のまま籍を抜かなかっただろう。
それならば婚約者にしなくても、私はシンクレア王国から出ることが出来なかった。
だけど、よほど孤児の私をクリムゾン伯爵家の名に連ねたくなかったのか、それとも国王や教皇に唆されたのか、私は教会預かりになった時点で、伯爵令嬢から平民に戻っていた。
そういうところがカタパルトの気に障ったのだと思ってたけど、本気でマリアベルのことが好きだったんだ。
私はまだまだ子供で、あれほどまでの気持ちを知らない。
でも、私のことを好きだと言ってくれるシキは、もしかしたら私が同じ目にあったらカタパルトと同じようにしてくれるかもしれない。
そう思ったら、カタパルトの思いを無視できなくなってしまった。
カタパルトが馬鹿なおかげで、私が自由になれたことも事実だし。
親として、苦渋の決断をしたアントワナ様のこともある。
「ティアの思うようにすれば良い。誰にもそれが間違いだと言わせない」
シキの言葉に、私は自分が思うように・・・今まで通りに行動することにした。
60
お気に入りに追加
2,572
あなたにおすすめの小説
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
【完結】もう結構ですわ!
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
恋愛
どこぞの物語のように、夜会で婚約破棄を告げられる。結構ですわ、お受けしますと返答し、私シャルリーヌ・リン・ル・フォールは微笑み返した。
愚かな王子を擁するヴァロワ王家は、あっという間に追い詰められていく。逆に、ル・フォール公国は独立し、豊かさを享受し始めた。シャルリーヌは、豊かな国と愛する人、両方を手に入れられるのか!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/11/29……完結
2024/09/12……小説家になろう 異世界日間連載 7位 恋愛日間連載 11位
2024/09/12……エブリスタ、恋愛ファンタジー 1位
2024/09/12……カクヨム恋愛日間 4位、週間 65位
2024/09/12……アルファポリス、女性向けHOT 42位
2024/09/11……連載開始

【完結】期間限定聖女ですから、婚約なんて致しません
との
恋愛
第17回恋愛大賞、12位ありがとうございました。そして、奨励賞まで⋯⋯応援してくださった方々皆様に心からの感謝を🤗
「貴様とは婚約破棄だ!」⋯⋯な〜んて、聞き飽きたぁぁ!
あちこちでよく見かける『使い古された感のある婚約破棄』騒動が、目の前ではじまったけど、勘違いも甚だしい王子に笑いが止まらない。
断罪劇? いや、珍喜劇だね。
魔力持ちが産まれなくて危機感を募らせた王国から、多くの魔法士が産まれ続ける聖王国にお願いレターが届いて⋯⋯。
留学生として王国にやって来た『婚約者候補』チームのリーダーをしているのは、私ロクサーナ・バーラム。
私はただの引率者で、本当の任務は別だからね。婚約者でも候補でもないのに、珍喜劇の中心人物になってるのは何で?
治癒魔法の使える女性を婚約者にしたい? 隣にいるレベッカはささくれを治せればラッキーな治癒魔法しか使えないけど良いのかな?
聖女に聖女見習い、魔法士に魔法士見習い。私達は国内だけでなく、魔法で外貨も稼いでいる⋯⋯国でも稼ぎ頭の集団です。
我が国で言う聖女って職種だからね、清廉潔白、献身⋯⋯いやいや、ないわ〜。だって魔物の討伐とか行くし? 殺るし?
面倒事はお断りして、さっさと帰るぞぉぉ。
訳あって、『期間限定銭ゲバ聖女⋯⋯ちょくちょく戦闘狂』やってます。いつもそばにいる子達をモフモフ出来るまで頑張りま〜す。
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結まで予約投稿済み
R15は念の為・・

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

似非聖女呼ばわりされたのでスローライフ満喫しながら引き篭もります
秋月乃衣
恋愛
侯爵令嬢オリヴィアは聖女として今まで16年間生きてきたのにも関わらず、婚約者である王子から「お前は聖女ではない」と言われた挙句、婚約破棄をされてしまった。
そして、その瞬間オリヴィアの背中には何故か純白の羽が出現し、オリヴィアは泣き叫んだ。
「私、仰向け派なのに!これからどうやって寝たらいいの!?」
聖女じゃないみたいだし、婚約破棄されたし、何より羽が邪魔なので王都の外れでスローライフ始めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる