109 / 134
何があった?
しおりを挟む
どうやらカタパルトは、人が入れないようにした上で、炎の魔石を王宮にばら撒いているようだった。
(理由を聞いてみませんか?)
何を目的にこんなことをしているのか聞きたい。
あれは発火装置みたいなものだ。
どれかひとつの魔石に魔力を流して発火させれば、ばら撒いた魔石に引火して王宮は火の海になる。
何故、結界に守られている王宮で、あのカタパルトがそんなことをしているのか知りたかった。
シキが頷いてくれたことで、私はカタパルトから少し距離を取った位置で、隠蔽魔法を解く。
「カタパルト」
声はシキがかけた。
ん?私、アレをなんで呼べばいいのかわからないのよ。
アレの前ではティアラでもティアでもなく、イアだから。
カタパルトは、姿を現したシキと私に目を一瞬丸くした。
だが、慌てたように周囲を見渡し、私たちを手招きした。
シキと顔を見合わせ、カタパルトが入った部屋に続いて入る。
危険がないとは言えないけど、今のカタパルトから悪意は感じなかった。
私たちが部屋に入ると、カタパルトは扉から外を確認して、急いで鍵を閉めた。
「どうしてここにいるんだ?」
「え、いや、えーと、お前が無事か気になって」
シキが珍しく返答に迷っている。
そりゃそうよね。カタパルトの中では私は聖女ティアラであってはいけないから、クロ襲撃の犯人に会いにきたとは言えないものね。
でも適当に答えた内容を、カタパルトは納得したみたいだった。
「そ、そうか・・・このとおり無事だ」
「あ、ああ。それで何をしてたんだ?」
「え?見ていたのか?あ、そうか。姿を消せると言っていたな」
カタパルトが、シキが言っていたことを覚えていたことに驚く。
いや、だって私の中ではカタパルトはお馬鹿さん認定されてるから。
カタパルトは少し考えたのちに、口を開いた。
「早くここから立ち去った方がいい。火魔法くらいで二人がやられるとは思わないが、怪我をするかもしれないぞ」
「火魔法とは、一体なにをするつもりだ」
「父上と・・・教皇を倒す」
「ちょっと待て。一体なにがあった?ちゃんと説明しろ。なんなら手を貸してやる」
シキがそんなことを言い出したのは、私が少なくとも教皇を倒したいと願っているから。
いい方法を考えようと言っていたけど、カタパルトのしてることが正当なら、それに乗っかるつもりなのかもしれない。
でも、本当に何があったんだろう?
私の知っているカタパルトは、馬鹿で身勝手で、常識がなくて、とにかく馬鹿で・・・
あれ?馬鹿を二回言った?
でも、本当に馬鹿としか表現しようがない人だったのに。
(理由を聞いてみませんか?)
何を目的にこんなことをしているのか聞きたい。
あれは発火装置みたいなものだ。
どれかひとつの魔石に魔力を流して発火させれば、ばら撒いた魔石に引火して王宮は火の海になる。
何故、結界に守られている王宮で、あのカタパルトがそんなことをしているのか知りたかった。
シキが頷いてくれたことで、私はカタパルトから少し距離を取った位置で、隠蔽魔法を解く。
「カタパルト」
声はシキがかけた。
ん?私、アレをなんで呼べばいいのかわからないのよ。
アレの前ではティアラでもティアでもなく、イアだから。
カタパルトは、姿を現したシキと私に目を一瞬丸くした。
だが、慌てたように周囲を見渡し、私たちを手招きした。
シキと顔を見合わせ、カタパルトが入った部屋に続いて入る。
危険がないとは言えないけど、今のカタパルトから悪意は感じなかった。
私たちが部屋に入ると、カタパルトは扉から外を確認して、急いで鍵を閉めた。
「どうしてここにいるんだ?」
「え、いや、えーと、お前が無事か気になって」
シキが珍しく返答に迷っている。
そりゃそうよね。カタパルトの中では私は聖女ティアラであってはいけないから、クロ襲撃の犯人に会いにきたとは言えないものね。
でも適当に答えた内容を、カタパルトは納得したみたいだった。
「そ、そうか・・・このとおり無事だ」
「あ、ああ。それで何をしてたんだ?」
「え?見ていたのか?あ、そうか。姿を消せると言っていたな」
カタパルトが、シキが言っていたことを覚えていたことに驚く。
いや、だって私の中ではカタパルトはお馬鹿さん認定されてるから。
カタパルトは少し考えたのちに、口を開いた。
「早くここから立ち去った方がいい。火魔法くらいで二人がやられるとは思わないが、怪我をするかもしれないぞ」
「火魔法とは、一体なにをするつもりだ」
「父上と・・・教皇を倒す」
「ちょっと待て。一体なにがあった?ちゃんと説明しろ。なんなら手を貸してやる」
シキがそんなことを言い出したのは、私が少なくとも教皇を倒したいと願っているから。
いい方法を考えようと言っていたけど、カタパルトのしてることが正当なら、それに乗っかるつもりなのかもしれない。
でも、本当に何があったんだろう?
私の知っているカタパルトは、馬鹿で身勝手で、常識がなくて、とにかく馬鹿で・・・
あれ?馬鹿を二回言った?
でも、本当に馬鹿としか表現しようがない人だったのに。
52
お気に入りに追加
2,575
あなたにおすすめの小説

【完結】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と言っていた婚約者と婚約破棄したいだけだったのに、なぜか聖女になってしまいました
As-me.com
恋愛
完結しました。
とある日、偶然にも婚約者が「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言するのを聞いてしまいました。
例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃっていますが……そんな婚約者様がとんでもない問題児だと発覚します。
なんてことでしょう。愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。
ねぇ、婚約者様。私はあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄しますから!
あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。
※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』を書き直しています。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定や登場人物の性格などを書き直す予定です。

契約破棄された聖女は帰りますけど
基本二度寝
恋愛
「聖女エルディーナ!あなたとの婚約を破棄する」
「…かしこまりました」
王太子から婚約破棄を宣言され、聖女は自身の従者と目を合わせ、頷く。
では、と身を翻す聖女を訝しげに王太子は見つめた。
「…何故理由を聞かない」
※短編(勢い)

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。

番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

聖女のわたしを隣国に売っておいて、いまさら「母国が滅んでもよいのか」と言われましても。
ふまさ
恋愛
「──わかった、これまでのことは謝罪しよう。とりあえず、国に帰ってきてくれ。次の聖女は急ぎ見つけることを約束する。それまでは我慢してくれないか。でないと国が滅びる。お前もそれは嫌だろ?」
出来るだけ優しく、テンサンド王国の第一王子であるショーンがアーリンに語りかける。ひきつった笑みを浮かべながら。
だがアーリンは考える間もなく、
「──お断りします」
と、きっぱりと告げたのだった。
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星里有乃
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる