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何があった?

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 どうやらカタパルトは、人が入れないようにした上で、炎の魔石を王宮にばら撒いているようだった。

(理由を聞いてみませんか?)

 何を目的にこんなことをしているのか聞きたい。

 あれは発火装置みたいなものだ。

 どれかひとつの魔石に魔力を流して発火させれば、ばら撒いた魔石に引火して王宮は火の海になる。

 何故、結界に守られている王宮で、あのカタパルトがそんなことをしているのか知りたかった。

 シキが頷いてくれたことで、私はカタパルトから少し距離を取った位置で、隠蔽魔法を解く。

「カタパルト」

 声はシキがかけた。
ん?私、アレをなんで呼べばいいのかわからないのよ。

 アレの前ではティアラでもティアでもなく、イアだから。

 カタパルトは、姿を現したシキと私に目を一瞬丸くした。

 だが、慌てたように周囲を見渡し、私たちを手招きした。

 シキと顔を見合わせ、カタパルトが入った部屋に続いて入る。

 危険がないとは言えないけど、今のカタパルトから悪意は感じなかった。

 私たちが部屋に入ると、カタパルトは扉から外を確認して、急いで鍵を閉めた。

「どうしてここにいるんだ?」

「え、いや、えーと、お前が無事か気になって」

 シキが珍しく返答に迷っている。
そりゃそうよね。カタパルトの中では私は聖女ティアラであってはいけないから、クロ襲撃の犯人に会いにきたとは言えないものね。

 でも適当に答えた内容を、カタパルトは納得したみたいだった。

「そ、そうか・・・このとおり無事だ」

「あ、ああ。それで何をしてたんだ?」

「え?見ていたのか?あ、そうか。姿を消せると言っていたな」

 カタパルトが、シキが言っていたことを覚えていたことに驚く。

 いや、だって私の中ではカタパルトはお馬鹿さん認定されてるから。

 カタパルトは少し考えたのちに、口を開いた。

「早くここから立ち去った方がいい。火魔法くらいで二人がやられるとは思わないが、怪我をするかもしれないぞ」

「火魔法とは、一体なにをするつもりだ」

「父上と・・・教皇を倒す」

「ちょっと待て。一体なにがあった?ちゃんと説明しろ。なんなら手を貸してやる」

 シキがそんなことを言い出したのは、私が少なくとも教皇を倒したいと願っているから。

 いい方法を考えようと言っていたけど、カタパルトのしてることが正当なら、それに乗っかるつもりなのかもしれない。

 でも、本当に何があったんだろう?

 私の知っているカタパルトは、馬鹿で身勝手で、常識がなくて、とにかく馬鹿で・・・

 あれ?馬鹿を二回言った?
でも、本当に馬鹿としか表現しようがない人だったのに。





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