聖女の地位も婚約者も全て差し上げます〜LV∞の聖女は冒険者になるらしい〜

みおな

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何が目的?

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 私は・・・
クロを傷つけたこの人を許せはしない。

 大怪我を負ったことも、自業自得だと思うし、回復してあげようとも思わない。

 だけど・・・

 終わりにしてあげたいとは思う。
だって魔獣になったのは、彼女の罪じゃない。

 罪は・・・目の前にいる男にある。

(シキ・・・姿を表そうと思う)

(危険だ!このまま殺してしまえばいい!ティアがやらなくても僕がやるから)

(シキ・・・私、ドラゴンの異常種を倒したことがあるの。教皇の言っている平民の聖女・・・もしかしたら私の友人だったかもしれない。もしそうなら・・・私は教皇を許せない。だから、確かめたい。確かめたいの)

 だけど、本当に姿を現しても大丈夫だろうか?

 私は、教皇より聖力は多いし、魔力もある。
 それにシキがいてくれるから、教皇に負けはしないと思う。

 でも、もし教皇が私の知らない力を持っていたら?

 現に今、目の前で聖女が魔獣にされてしまった。

 絶対に大丈夫だと、本当に言える?

 私の判断で、シキも危険に晒してしまうかもしれない。

 その不安で微かに震える私の手を、シキがギュッと握った。

(何か考える。だから少し待って欲しい。とりあえず、コイツが魔獣を放つ準備で部屋を出たら、一旦こかから離れよう。対策を考えるから)

(わかった)

 シキの言う通り、教皇はマリアベルの様子を見て再度結界魔法を構築すると、部屋から出てそれで部屋を封じる。

 私たちも教皇と共に外に出て、教皇が結界を張った後、慌ただしく去っていくのを見送った。

 もう、私の魔力の残滓は感じないけど、部屋の場所は分かったから、そのままどこか無難な場所を探すことにした。

 しばらく見ぽしい場所を探していると、見覚えのある背中を見つける。

(あれ、カタパルトか?)

(それっぽいですね。何してるんでしょう?)

 そう。
カタパルトらしき人は、さっきからキョロキョロと周囲を窺っては、部屋に入り、そしてすぐに出て来るを繰り返しているのだ。

(声をかけるわけにもいかないしな)

 シキとこっそりとカタパルトの後ろに回って、様子を窺う。

 カタパルトは無人の部屋に入ると、部屋の四隅に小さな石を置いていた。

 そして部屋を出ると施錠した上に鍵を壊していく、ということを繰り返していた。

(何をしてるんだ?それにあの石は魔石じゃないか?)

 カタパルトが置いている小石は、炎系の魔石のようだった。

 後ろから見ているだけだから、絶対とは言えないけど、おそらく炎の魔法を込めた魔石だと思う。

 鍵をかけた上に、部屋に入れないように鍵を壊している?
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