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聖女集め

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 カタパルトに出した提案とは、平民と下位貴族の聖女をカルディア帝国に連れて行くことを許可すること。

 平民に関しては、別に許可はいらないんだけど、貴族は別。

 勝手に国を出ることは認められない。

 私が勝手に出れたのは、聖女になった後で伯爵家の籍から抜けていたから。

 あの家は、聖女を差し出したという利益だけのために私を養女にしたから、事が終われば用はなくなったということだろう。

 カタパルトが私を嫌っていたことは有名な話で、多分だけど用無しだと言われて伯爵家に戻されるのを危惧したんだと思う。

 国王陛下からしたら、聖女ということが大事なのであって、貧乏伯爵家などどうでも良かったのだろう。

 王太子の婚約者という身分は、貴族籍と同じで他国に出ることが許されない。
 だから安心してあっさりと籍を抜くことを認めたらしい。

 ま、自分の息子が婚約破棄を衆人の前で宣言するとは思ってなかったんだろうな。

 本当に目の前の人がお馬鹿で良かった。

 カタパルトは深く考えずに、条件を了承した。

 いや、まぁ、いいんだけど・・・

 こんなのが一国の王太子?
あの聡明なアントワナ様の息子?

 これは国王陛下の血が大半なんだわ、きっと。

 浮気三昧のろくでなしだとアントワナ様も言ってた。

 つくづく婚約破棄してもらえて良かった。

 聖女の仕事の上に、王太子の仕事までやらなきゃならなくなるところだった。

 多分、下位貴族や平民の聖女なんて、カタパルトからしたら取るに足らない存在なんだろうな。

 でも、このことが国王や教皇にバレたらどうなるかすら考えつかないなんて。

 この魔獣だらけのシンクレア王国で、多分だけど王宮を守る結界石を作っているのは、その下位貴族や平民の聖女。

 逃げきれなかったのか、逃げなかったのか理由はわからないけど、彼女たちが守れるのはおそらく王宮程度のはず。

 その聖女を差し出すということは、結界石の効果が切れる一週間後は、王宮にも魔獣が現れるということ。

「土壇場で、条件はなしだと言い出したら・・・そうだな、転移でお前だけ連れ出して魔獣の群れの中に放り出す」

「ひぃ!そ、そんなことはしない!」

「だが、国王や教皇に反対されたらどうする?」

 シキの問いに、その可能性を考えたようだ。

「こっそりと連れ出して来い。国王や教皇の目を盗んでな。誰の目にも触れないように連れ出せ。それなら、お前が責任を問われることもない」

「わ、分かった。だが、見張りをどうしよう?」

 いや、何でシキに聞く?
自分で考え・・・無理か。

「そうだな。なら、姿を隠して俺がその見張りを倒してやる。なら、大丈夫だろう?」

「姿を隠して・・・そんなことも出来るのか!ああ。それなら大丈夫だ」

 いや本当に頭、大丈夫?
 



 
 
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