聖女の地位も婚約者も全て差し上げます〜ＬＶ∞の聖女は冒険者になるらしい〜

対策を考え中

　一旦、グレイ王国へと転移する。
結界石を置く話を、アントワナ様と国王陛下にしておきたいからだ。

「まぁ！ティアラ様？どうなさったの？」

　さすがに、カルディア帝国の皇帝陛下のお顔は知られているらしく、すぐにアントワナ様と会うことが出来た。

「突然すみません。実は、シンクレア王国で魔獣が大量発生していることもあり、グレイ王国に結界を張ろうと思うんです。実際には、カルディア帝国に置いてあるのと同じ結界石というものを置くのですが」

「それは有り難い申し出だけど、ティアラさんの負担になったりしないのかしら？」

「それは大丈夫です。ただ、シンクレア王国が私がいなくなったことで結界がなくなったように、結界石も聖力を込めなければただの石に変わります。一応対策は考えるつもりですが、永遠に続くものでないことだけご理解してもらえますか」

　グレイ王国だけの話ではなく、カルディア帝国やラプラス、アーバンラマにも関わってくる問題だ。

　対策は考え中ではある。
弱い魔獣を通す代わりに、時間を長く保たせる案。

　それか、シンクレア王国にいた下位貴族や平民の聖女を探して、各国に住んでもらい、聖力を込める案。

「かまいませんわ。元々、グレイ王国には結界などなかったのです。ですから、騎士団もシンクレア王国と違ってキチンと機能していますもの。ただ、シンクレアから流れてくる魔獣が最近増えていたので、正直言って助かりますわ。結界が効いている間に、騎士たちを休ませることが出来ますもの」

「ポーションをいくらか置いておきます。それと、グレイ王国に聖女の力を持つ方がいないか、探し出してください。本人が気づいていなくても、怪我をしにくいとか、病気をしないとか、それらしき兆候のある方を集めて欲しいのです。ええと、あ、これがポーションです。で、これが聖力の有無を調べる水晶球です」

　アイテムボックス(偽装)から、ポーションを各種と水晶球を取り出す。

　この水晶球、実はシンクレア王国の教会から持ち出したものだ。

　教会にやって来た聖女は、教皇が聖力の有無を確認していたけど、地方に聖女を探しに行く人間がこの水晶球で聖力の有無を見ていたのだ。

　ちなみに聖力の高い人間、つまり教皇とか私とかなら、相手の聖力の高さは視れば分かる。

「高位貴族の方はおすすめしません。まぁ、高位貴族でもちゃんとした人はいるでしょうから、アントワナ様にお任せしますけど。聖女は、ちゃんと徳を積まないと聖力が伸びないので、真面目にやる方を探して下さい」

　集めても、あの公爵令嬢とかみたいに、お祈りをサボるような人では機能しないしね。