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え、気持ち悪い

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「やるぞ?その岩の上に乗っていろよ?」

 地面に雷魔法を放つために、隣の岩の上に乗ったシキに頷く。

 多分大丈夫な気もするけど、私が感電したら笑い話にならないからね。

 シキが雷撃を流すと、しばらくしてボコボコと土が盛り上がって来た。

「来ますよ」

 ドゴッと大きな音を立てて土が抉れ上がる。

 そこに現れたのは・・・

「あれ、なんでしょう?」

「・・・ダンゴムシに似てるな」

 モシャモシャとたくさんの足が蠢いていて、確かにダンゴムシっぽい。

 ドラゴンに亀に、ダンゴムシ?
段々、見た目ランクが落ちてるんだけど。

 ちっとも強そうじゃないし。

 アレ、異常種かなぁ。
というか、ダンゴムシタイプの魔獣っているんだ。

 魔獣・・・獣じゃないじゃん。

 どうしよ、この先虫とかばっか出てきたら。

 私、ダンゴムシは平気だけど、毛虫とかムカデとか蜘蛛とか嫌いなんだよね。

 どのくらい嫌いかというと、見つけた途端に火魔法で消し炭にする程度?

 ダンゴムシは、私たちの姿を認めると、その体を丸めて・・・

 やっぱダンゴムシかぁ。

 ものすごい勢いで、こちらに転がって来た。

「気持ち悪ぅ」

 急いで、近くの木の上に飛び上がる。

 私が乗っていた岩が、ダンゴムシにぶつかられて粉々に砕け散った。

「見た目は愉快だが、力は馬鹿にならないぞ」

「ちっとも愉快じゃないですよ。あー、あのモシャモシャした足、気持ち悪い!」

 丸まってる時は見えないから良いけど、岩にぶつかったあと、仰向け?に転がるので、足がワサワサと動いているのが見えて、本気で気持ち悪い。

 イライラ指数が溜まりそう。

「燃やします」

「ちょ、ちょっと待て!ここでそんな火魔法を使えば、農作物も全て燃やし尽くしてしまうぞ」

「野焼きだと思えば」

「あれは早春にするものだろう!氷、氷魔法で凍らせるからちょっと待て」

 ええ~。消し炭にすれば早いのに。
あー、でも土壌は癒すにしても、残ってる農作物を燃やし尽くしたら、やっぱり駄目だよね。

 仕方ない。

「じゃあ、シキが凍らせて下さい。私、その後砕くので」

「・・・そんなに虫が嫌いか」

「虫が、というより、足がたくさんあるのと、足がないのが嫌いなんです」

 怖いとかではなくて嫌いなのだ、と続けると、シキが笑う。

「足がないとなると蛇か。たくさんあるのは蜘蛛やムカデとかだな。足は四本までか?」

「そうですね。蝶やトンボ、カエルやトカゲとかは平気です。あ。足はないですけど、魚は平気ですよ」

 というか、魚に足あったら逆に気持ち悪い。半魚人じゃん。

「分かった。今度からこの類の魔獣は率先して倒すとしよう」

 シキはそう言うと、ダンゴムシを氷漬けにした。
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