聖女の地位も婚約者も全て差し上げます〜LV∞の聖女は冒険者になるらしい〜

みおな

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何でも望みを叶えてくれるらしい

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 それからは、大騒動だった。

 医師たちが呼ばれて、王妃様を診察。

 体調が回復してることに驚かれたり。

 私の存在がバレないように緘口令が敷かれたり。

 大喜びした国王陛下に、もう神かと思われる勢いで拝まれたり。

「何でも望みを言って下さい、聖女様!このグレイ王国でできることは何でもさせていただきます!」

 国王陛下は、欲しい物でも何でも言ってくれれば準備すると言ってくれた。

 ありがたい事だと思う。
今のところ、欲しい物は異常種の魔石とかだけど。

 それに、アントワナ様がとても喜んでくれているのが何より嬉しいから・・・

「すぐにでなくてもかまいません。何でも思いついたら言って下さい」

「あ、はい。ありがとうございます」

「ティアラ様、本当にありがとうございます!私にできることなら何でもいたします」

「アントワナ様・・・お力になれて良かったです」

 私は、アントワナ様ににっこりと微笑み返した。

 そもそも、何かの見返りを求めてしたことじゃないし。

 あ。でも。
手伝ってくれたシキには何か返したいな。

 シキに何か欲しいものがあるか聞いてみてもいいけど、多分何もいらないというんだろうな。

 いや、私に婚約者にとかまた言い出すかも。

「アントワナ様。何かカルディア帝国に利益になることはないでしょうか?」

「カルディア帝国に利益・・・ですか?うちは特別な物は何もありませんから、カルディア帝国の欲しがるものがあるとは思えませんが、そうですわね・・・」

「うん?皇帝陛下なら、先ほど何か望みをとお話したら、聖女様が自由にグレイ王国に訪れることのできる通行証をと言われていましたよ。ご自分は何もいらないからとおっしゃって」

 国王陛下の言葉に、驚いた。

 シキは、私が他の国に行くことをあんなに嫌がっていた。

 今回付いてきたのも、私がそのまま他国に行くんじゃないかと思ったからに違いない。

 今回は、付いてきてもらって助かったけど。

 それなのに、私の通行証を褒美に望んだの?

 シキがどういう心境の変化で、そう言ったのかわからないけど、私は『自由』を望んでいるから、正直言ってありがたい、と思う。

 うん。
いつか旅に飽きて、落ち着きたいと思ったとき、カルディア帝国で暮らしてもいい。

 まぁ、皇后になるのは無理だけど、シキの統べる国を、陰ながら支えてあげるのもいいかなって思う。

「ああ。それから、シンクレア王国への対応はお任せください。聖女様を蔑ろにしたあの国には、一切手を貸しません。アントワナも離縁してこの国に戻ることですし、このまま縁を切ります」

 あれ?シンクレア王国、孤立するんじゃ・・・
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