聖女の地位も婚約者も全て差し上げます〜LV∞の聖女は冒険者になるらしい〜

みおな

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ちょっと恋愛は無理です

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「ええと、ちょっと確認しますけど、それって私のことを好きだって言ってます?」

 自惚れるわけじゃないけど、こないだからのシキの言動がそう言ってる気がする。

 シキは、多分否定しようとして、一旦口を黙み、だけど何かを振り切ったように顔を上げた。

 その紅い瞳と目が合う。

「ティアが好きだ」

「私、まだ十三歳ですよ?シキから見たら子供でしょう」

「分かっている。ティアがまだ恋にも興味がなく、僕のことをなんとも思っていないことは。ただ・・・それでもそばにいたい。そばにいて欲しい」

 私だって、一応・・・女の子だ。
かっこいい男の人に好きだと言われれば嬉しい・・・嬉しいかな?うーん、悪い気はしない程度だけど、うん。

 それに、シキのことは恋ではないけど、好きだとは思う。

 アルヴァン様やアルヴァン様の子供達、ナイトと同じくらいには好き。

 だけどクロとは違う。
クロみたいに、かけがえのない存在だとは、今のところ思えない。

「シキのことは嫌いじゃないです。アルヴァン様やアルヴァン様の子供達と同じくらいには、好意を持ってます。でもそれは、シキの言う好きとは違うと思います。もしかしたら明日突然、恋するかもしれないし、三年たっても今のままかもしれない。シキは皇帝陛下でしょ?いつまでも婚約者がいないままというわけにいかないでしょ?」

「・・・」

「もし、この国を出て旅に出たとしても、この国を見捨てたりしません。この国は、クロの家族が住む、クロの故郷だから」

 今の私は、シキの気持ちに応えることはできないし、シキもいつまでも私の気持ちが向くのを待つわけにもいかないだろう。

 シンクレア王国で、全く好意も持てない王太子の婚約者にされてたのを考えると、シキは何倍もマシだとは思う。

 でも、シキは皇帝陛下だ。
平民の私が隣に立つことは、シキにとってプラスにならないと思う。

 別にシキの婚約者にならなくても、この国には結界は施すつもりだ。

 私なりに誠実に答えたら、シキは少し泣きそうな表情をして・・・それから笑った。

 笑ってるのに、まるで親に捨てられた子犬みたいな顔だった。

「そうか。そうだな。悪い。変なことを言った」

「・・・」

「だが、国境に行くのは許可できない。危険過ぎる」

 私は、別に自分の力を過信してるわけじゃないけど、それなりに強いと思っている。

 力で来られると勝たないけど、魔法さえ使えればなんとかなると思う。

「異常種が出てる可能性があるなら、行きます。異常種の魔石を集めたいんです。カルディア帝国の結界石を強化するために」

「・・・ッ!分かった。だが、僕も行く。それ以外は許可できない」

 仕方ない。
まぁ、シキは間違いなく強いし、後でアルヴァン様に叱られよう。

 
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