聖女の地位も婚約者も全て差し上げます〜LV∞の聖女は冒険者になるらしい〜

みおな

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ギルドに行ってみよう

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 王宮にいても、魔物の発生に関する情報は私には入って来ない。

 一応、いないことになってるからね。
シキとアルヴァン様以外とは、基本的に接触しない。

 シキやアルヴァン様は私の実力を疑っているわけじゃないけど、進んで魔物の情報はくれない。

 多分だけど、年齢的な印象が影響してるんだと思う。

 別に年齢と強さは関係ないけど、ああ、でも思考とかは関係あるかな。
 判断とか、考え方とかが子供じみてる的な?

 とにかく、そういうわけで、こっそり隠し部屋から出てギルドへやって来た。

 ちなみにクロはお留守番。
シキがやって来た時のため。クロがいれば私が戻ってくると理解できるだろうから。

 置き手紙はして来たけどね。

「あ。久しぶりじゃない!ティアちゃん」

 声をかけてくれたのは、カルディア帝国帝都のギルド支部看板受付嬢?のミミさんだ。

 二十歳過ぎの(でも年齢は聞いてない。女性に年齢を聞くのはマナー違反だと思うから)鳶色のふわふわした髪をポニーテールにした、綺麗なお姉さん。

「こんにちは、ミミさん。ちょっと別件の用があって帰って来たところなんです。最近は何かありました?」

「最近?そうねぇ、そういえば北東のアーバンラマ帝国との国境の森に魔獣が出てて、アーバンラマのギルドとの共同戦線になってるわ」

 ミミさんからの情報に、目を丸くする。

 え?それ、国に戻ってるグレン様や、どのルートかわからないけどラプラスに戻るクラウド様は大丈夫なの?

 護衛の人だっているし大丈夫だと思うけど。

 見に行ってみようかな。国境までなら、三日もあれば着くだろう。

 貼られている依頼も、たいしたものはない。
 共同戦線になるほどなら、異常種が出てるかもしれない。

 うん。行ってみよう。
私は引きが強い。つまり行こうと思った時点で、異常種が出てる可能性が高い。

 帰りは転移で帰って来るにしても、さすがに三日も留守にするなら、クロのことを頼んでおかないと。

 仕方ないので、再び王宮へと戻った。

 シキはまだ政務中か、部屋には戻っていない。
 隠し部屋に入ると、眠っていたクロが擦り寄って来た。

「にゃーん」

「クロ、ちょっと三日ほど留守にするけど、大丈夫かな?この部屋だとご飯に困るから、ナイトと一緒にいる?」

「にゃー」

 当然ついて行きますと言っているのか、懐に入り込むクロに、思わず頬擦りしたくなるけど。

「クロを連れてっちゃうと、シキがうるさそうなんだよね。一緒に来るとか言いそう。あ、でも騎馬なら私、走んなくても大丈夫だから楽?」

「何が楽なんだ?」

 あ。シキがやって来た。
 
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