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恋愛的な意味じゃないですけど
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「あ。なら、今度アーバンラマとラプラスに行ってみたいので、通行証というか、そういうのが欲しいです」
特にアーバンラマ帝国は軍事国家だから、入国審査とかあるらしい。
平民に関しては、持ち物検査程度らしいけど。
あ。でも、魔力検査はするらしいから、それに引っかかる、かもしれない。
偽装はできるかもしれないけど、アーバンラマの検査の精度がわからないから、万が一ということもあるし。
でも、第二皇子のお墨付きがあれば、大丈夫な気がする。
「で、出ていくのか?」
「「そんなことでいいなら、喜んで」」
二人の王子様はにこやかに答えてくれ、シキは慌てたように私に詰め寄る。
「今すぐってわけじゃないですけどね。あの、私は確かにシキにお世話になってますけど、その分の働きはしてますよね?私はクロの家族であるナイトがこの国にいるから、気まずくなってクロとナイトを会わせてあげられなくなるのが嫌だから、ここにいるんです。それ以上を求められても困るんですけど」
最初の印象は最悪だったけど、シキがそんなに悪い人でないことは分かってる。
シキが不器用だけど優しいことも、何故だか私に執着してることもわかってる。
でも申し訳ないけど、私は今のところ恋愛に全く興味ないし、シキやアルヴァン様、アルヴァン様のお子様たちと会えなくなっても、多少寂しいと思う程度で、それだけでしかない。
「・・・シキ。気持ち理解るけどね。彼女は僕たち王侯貴族じゃなく平民だよ。政略結婚も婚約者も必要としない。好きな相手と出会い、恋をして、そして結婚できるんだ」
「・・・・・・わかっている」
「なら良いよ。ごめんねぇ、ティアちゃん。シキにも色々あるんだよ。嫌わないでくれると嬉しいなぁ」
クラウド様はニコニコとそう言った。
その笑顔を見て、ああ、シキは不器用なんだなぁと思う。
クラウド様は一見人当たり良さそうだし、にこやかでみんなに好かれそうな人。
でも、やっぱりラプラス王国の王太子殿下で、ニコニコ笑ってる顔の下では、色んなことを考えて、自分や自分の国に有利になることを考えることができてる人。
シキは皇帝陛下で、ちゃんといろんなことは考えているんだろうけど、私に対しては不器用で、言いたいこと伝えたいことが素直に言葉に出来てない感じがする。
それは、良いことじゃないのかもしれないけど・・・
「嫌いじゃないですよ?というか意外と好きかな、と思ってます。恋愛的な意味じゃないですけどね」
特にアーバンラマ帝国は軍事国家だから、入国審査とかあるらしい。
平民に関しては、持ち物検査程度らしいけど。
あ。でも、魔力検査はするらしいから、それに引っかかる、かもしれない。
偽装はできるかもしれないけど、アーバンラマの検査の精度がわからないから、万が一ということもあるし。
でも、第二皇子のお墨付きがあれば、大丈夫な気がする。
「で、出ていくのか?」
「「そんなことでいいなら、喜んで」」
二人の王子様はにこやかに答えてくれ、シキは慌てたように私に詰め寄る。
「今すぐってわけじゃないですけどね。あの、私は確かにシキにお世話になってますけど、その分の働きはしてますよね?私はクロの家族であるナイトがこの国にいるから、気まずくなってクロとナイトを会わせてあげられなくなるのが嫌だから、ここにいるんです。それ以上を求められても困るんですけど」
最初の印象は最悪だったけど、シキがそんなに悪い人でないことは分かってる。
シキが不器用だけど優しいことも、何故だか私に執着してることもわかってる。
でも申し訳ないけど、私は今のところ恋愛に全く興味ないし、シキやアルヴァン様、アルヴァン様のお子様たちと会えなくなっても、多少寂しいと思う程度で、それだけでしかない。
「・・・シキ。気持ち理解るけどね。彼女は僕たち王侯貴族じゃなく平民だよ。政略結婚も婚約者も必要としない。好きな相手と出会い、恋をして、そして結婚できるんだ」
「・・・・・・わかっている」
「なら良いよ。ごめんねぇ、ティアちゃん。シキにも色々あるんだよ。嫌わないでくれると嬉しいなぁ」
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その笑顔を見て、ああ、シキは不器用なんだなぁと思う。
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でも、やっぱりラプラス王国の王太子殿下で、ニコニコ笑ってる顔の下では、色んなことを考えて、自分や自分の国に有利になることを考えることができてる人。
シキは皇帝陛下で、ちゃんといろんなことは考えているんだろうけど、私に対しては不器用で、言いたいこと伝えたいことが素直に言葉に出来てない感じがする。
それは、良いことじゃないのかもしれないけど・・・
「嫌いじゃないですよ?というか意外と好きかな、と思ってます。恋愛的な意味じゃないですけどね」
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