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交流は続く
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「わぁ、綺麗。ね?クロ」
「にゃー」
私は底が見えるほど澄んだ湖を覗き込みながら、隣に座るクロに話しかける。
今日は、クロと皇帝陛下・・・シキとアルヴァン様、ナイトと共に皇族の静養地の別荘に来ている。
結界石を作ってから一ヶ月。
シキ・カルディア皇帝陛下との交流は続いている。
というか、昨日本人から
「いい加減、皇帝陛下はやめろ。名前教えただろう」
と言われた。
うん。聞いたけど、アルヴァン様だって「陛下」って呼んでるし、というか、カルディア帝国の皇帝陛下を名前呼びできるのって家族くらいじゃないの?
あ。ナイトは「シキ」って呼んでるらしいけど。
まぁ、本人が言うんだからと「シキ」って呼んだら、アルヴァン様が真っ青になってた。
まさか私が、皇帝陛下の名前を呼び捨てにするとは思わなかったらしい。
あ、そうか。
貴族の人たちって「~様」って呼ぶんだっけ。
シンクレア王国で婚約者であったカタパルトのことも、名前で呼ぶことなんかなかった。
大体、顔を合わせたこともほとんどない。
あの婚約破棄と国外追放の時くらいだったかな。
私は伯爵家の養女とはなったけど、それはあくまでもクリムゾン伯爵家が聖女を輩出したという利益を得るための養子縁組。
貴族としてのマナーも何も学んでいないし、なんなら伯爵家で過ごした時間もない。
シンクレア王国でも「国王陛下」「教皇様」「王太子殿下」もしくは「婚約者様」としか呼んでなかったから、頭から抜け落ちてたわ。
「てぃ、ティア様っ!」
「・・・かまわない、アルヴァン。僕が名で呼べと言ったのだ」
「あ、あー、すみません。私は貴族としての教養がないもので。シキ様と呼ぶべきでしたね」
「かまわない。僕もティアと呼んでるんだ。シキでいい」
他の人が聞いたら、文句を言われるかもしれないけど、陛下自身が良いと言ってるんだから、お言葉に甘えさせてもらおう。
「あまり覗き込んでると、落ちるぞ」
「それは困ります。私、多分泳げないので」
「なんだ、その多分ってのは」
私の返答に、シキが不思議そうに聞いてくる。
「だって、泳いだことないからわからないんですよ。そもそも教会と王宮以外に行ったことなかったですから」
「そう、なのか」
「だから、冒険者になって楽しいんですよね。いろんなところに行けるし。カルディア帝国ってご飯も美味しいし、来て良かったです」
シンクレア王国と交流のない国ということでカルディア帝国を選んだけど、やっぱり私のこういう引きは強かったってことだよね。
ボルダーの宿の女将さんも、アルプロの街の宿屋のご夫婦も、みんな親切だった。
何より、帝都でクロの親と会えたし。
うん。選んで正解だったわ。
「にゃー」
私は底が見えるほど澄んだ湖を覗き込みながら、隣に座るクロに話しかける。
今日は、クロと皇帝陛下・・・シキとアルヴァン様、ナイトと共に皇族の静養地の別荘に来ている。
結界石を作ってから一ヶ月。
シキ・カルディア皇帝陛下との交流は続いている。
というか、昨日本人から
「いい加減、皇帝陛下はやめろ。名前教えただろう」
と言われた。
うん。聞いたけど、アルヴァン様だって「陛下」って呼んでるし、というか、カルディア帝国の皇帝陛下を名前呼びできるのって家族くらいじゃないの?
あ。ナイトは「シキ」って呼んでるらしいけど。
まぁ、本人が言うんだからと「シキ」って呼んだら、アルヴァン様が真っ青になってた。
まさか私が、皇帝陛下の名前を呼び捨てにするとは思わなかったらしい。
あ、そうか。
貴族の人たちって「~様」って呼ぶんだっけ。
シンクレア王国で婚約者であったカタパルトのことも、名前で呼ぶことなんかなかった。
大体、顔を合わせたこともほとんどない。
あの婚約破棄と国外追放の時くらいだったかな。
私は伯爵家の養女とはなったけど、それはあくまでもクリムゾン伯爵家が聖女を輩出したという利益を得るための養子縁組。
貴族としてのマナーも何も学んでいないし、なんなら伯爵家で過ごした時間もない。
シンクレア王国でも「国王陛下」「教皇様」「王太子殿下」もしくは「婚約者様」としか呼んでなかったから、頭から抜け落ちてたわ。
「てぃ、ティア様っ!」
「・・・かまわない、アルヴァン。僕が名で呼べと言ったのだ」
「あ、あー、すみません。私は貴族としての教養がないもので。シキ様と呼ぶべきでしたね」
「かまわない。僕もティアと呼んでるんだ。シキでいい」
他の人が聞いたら、文句を言われるかもしれないけど、陛下自身が良いと言ってるんだから、お言葉に甘えさせてもらおう。
「あまり覗き込んでると、落ちるぞ」
「それは困ります。私、多分泳げないので」
「なんだ、その多分ってのは」
私の返答に、シキが不思議そうに聞いてくる。
「だって、泳いだことないからわからないんですよ。そもそも教会と王宮以外に行ったことなかったですから」
「そう、なのか」
「だから、冒険者になって楽しいんですよね。いろんなところに行けるし。カルディア帝国ってご飯も美味しいし、来て良かったです」
シンクレア王国と交流のない国ということでカルディア帝国を選んだけど、やっぱり私のこういう引きは強かったってことだよね。
ボルダーの宿の女将さんも、アルプロの街の宿屋のご夫婦も、みんな親切だった。
何より、帝都でクロの親と会えたし。
うん。選んで正解だったわ。
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