聖女の地位も婚約者も全て差し上げます〜LV∞の聖女は冒険者になるらしい〜

みおな

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協力するのは良いけれど

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 次の日から、聖女について皇帝陛下にお話することになった。

 ちなみにクロは、ナイトとすぐそばで遊んでいる。

 正確にいうと、寝ているナイトの周囲をクロがぐるぐると回り、ちょっかいを出して遊んでいるのだが。

「聖女の力には色々ありますが、筆頭は治癒です。切り傷などの怪我を癒すものから、欠損を回復させるものまでランクがあります。ただ、失われた命は救えません」

「ポーションで言えばどのランクなんだ?」

「切り傷を癒すのが、普通のポーションと同等。欠損回復に関しては、使える聖女はいません」

 私以外は。
上手く隠していたなら知らないけど。

「他には?」

「結界魔法ですね。シンクレア王国にギルドがないのは、聖女がこれを使えるからです。これにももちろんランクがあります。そうですね、一般的に聖女十人がかりで十日聖力を込めれば、オーガの侵攻くらいなら防げます」

 オーガっていうのは、鬼みたいなツノがある魔物。

 すごく力が強くて、冒険者ならBランク以上のチームでないと無傷では倒せない。

 基本的に聖女の力は、善行しキチンと神に祈りを捧げることで、維持できるとされている。

 その祈りすらちゃんと捧げていなかった高位貴族の聖女ばかりのシンクレア王国が、魔物の襲撃にあったら大変だと思うわ。

 教皇も国王も、みんな私の結界があるから大丈夫だとたかを括ってたものね。

「ティアのランクは」

「そうですねぇ、少なくとも今シンクレア王国にいる聖女よりはマシという感じですね」

 馬鹿正直に全てを話す必要はない。

 一応、聖女としての仕事をおしつけたないと言っていたけど、また囚われの身になるのは嫌だ。

 クロがここにいたいのなら・・・時々会わせてくれるというなら、少しくらいなら協力とかしても良いけど。

 クロが暮らす国が魔物に襲われたりとか嫌だし。

「その結界石とかいうのは、ここでも作れるのか?」

「あー・・・聖力を込めることは私も出来ますけど、その石が手持ちにないんですよね」

「シンクレア王国でないと取れないのか?」

「うーん、どうでしょうか。私、他の国を知らないので、なんとも言えませんが。教皇様が準備してたんですよね」

 聖女はそれに聖力を込めて、それを国境付近とかに送っていたはずだけど、どこから手に入れていたのかはわからない。

 自身で結界が張れる私が、結界石と触れ合う機会はほとんどなかったから。

 ただ、興味があって結界石を分解、成分を調査したことはあった。

 そういえばあの後、教皇に呼び出されて叱られたっけ。貴重な結界石を壊したからって。
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