聖女の地位も婚約者も全て差し上げます〜LV∞の聖女は冒険者になるらしい〜

みおな

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帝都カルディア

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 カルディア帝国の帝都カルディア。

 多くの人が行き交い、とても賑やかな雰囲気だ。

「あそこがギルドになります」

 騎士様、本当に皇帝陛下のお目付役らしい、が馬車の中から教えてくれた。

 現在私は、皇帝陛下と騎士のアルヴァン様、そして私の三人、とナイトとクロの親子で馬車に乗っている。

 帝都入口へ乗り合い馬車で入った私たちは、そのまま裏路地で待っていた紋章のない小さな、それでも小綺麗な馬車に乗って、帝都の中を宮殿へと向かっている。

 何故、皇帝陛下があの街にいたのか、何となく推測はできたけど、さすがに乗り合い馬車の中で聞くわけにもいかず、細かいことは宮殿についてから、という話になっていた。

 ちなみに、乗り合い馬車に乗っていた皇帝陛下とは実は知り合いで、ああいう場合の対処も打ち合わせ済みだったと説明した。

 でないと、とてもじゃないけど非難の目が厳しくて、馬車に乗れそうもなかったから。

 私はクロのために皇帝陛下と帝都に行くと決めたし、そのために彼を擁護した形になる。

 後で分かったことだけど、私がいなくてもアルヴァン様ならあの程度みんなを守りながら制圧出来たらしい。

 襲われると分かっていた、というよりは、襲われるかもしれないから用心していたところに、襲撃があることを察知したとか。

 そのあたりのことも、後で話してくれるらしいけど、私的にはどうでもいい。

 私が知りたいのは、クロが何故シンクレア王国にいたかということだけだ。

 私が弁明というか庇ったことで、何とか険悪にはならずに乗り合い馬車で帝都に向かうことが出来た。

 それどころか、幼い私の魔法の腕がいい事をみんな褒めてくれて、ちょっとむず痒い感じだった。

 私は自分が魔法を使えることを、シンクレア王国では隠していたし、あの国の人間は、聖女としての私の務めに関しても褒めてくれたことなどなかった。

 というか、むしろ王太子や高位貴族の聖女には叱責されていた。

 ギルドで冒険者登録してからも、ソロだから人に魔法を見られることもなかったし、力は見せすぎないように気をつけてもいた。

 人は規格外の存在に、嫌悪感というか恐怖を感じるものだから。

 だから褒められて、何だか変な感じだった。

「そろそろ宮殿に着く。裏から入ることになるが」

 帝都に入った時から遠くに見えていた宮殿は高い山のようで、よくまぁこんな大きな宮殿を作ったものだと感心してしまった。

 私はシンクレア王国の宮殿しか知らないが、さすが大国のカルディア帝国の王城だと思わず感心してしまった。
 


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