聖女の地位も婚約者も全て差し上げます〜LV∞の聖女は冒険者になるらしい〜

みおな

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叱責〜シンクレア王国王太子視点〜

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「それで、お前はどう責任を取るつもりだ」

 父上にそう問われても、答えようがなかった。

 ティアラの探索は続いているが、全くと言っていいほど目撃情報がない。

 そしてマリアベルは、強制的に教会に拘束されて聖力を結界石に込めさせられているらしい。

 それというのも、数人の平民の聖女がいなくなっているそうなのだ。

 残っているのは、貴族籍のある聖女のみ。

 国王陛下である父上の命令で、高位貴族でも家に戻ることは許されず、結界石へ聖力を込める作業をやらされている。

 だが教皇曰く、聖女としての祈りの務めすら疎かにしていた高位貴族の聖女にはわずかな聖力しかなく、また聖力の回復が思うようにいかず倒れる聖女たちも出ているそうだ。

 そして、結界石への聖力込めが間に合わなくなるということは、結界が消えるということを示している。

 そんな。
数人の平民の聖女もいなくなっているらしいが、数人だろう?

 今までそんなことはなかったではないか。

 そう言った僕を、教皇は蔑んだ目で見てきた。

「ティアラが筆頭聖女だったのは、アレにそれだけの力があったからです。アレを国外に逃さないために王太子の婚約者という枷を付けたというのに。同じ聖女でもマリアベルなどはティアラの足元にも及ばない。何故、婚約破棄などされたのですか?」

「ぼ、僕の、王太子の婚約者に元平民の・・・」

「ですが一応、伯爵家の養女としてあったでしょう?それに、殿下の言う通り、ティアラは元平民です。ですから、他の令嬢を娶りたいなら、結婚後に側妃にでも愛妾にでもすれば良かったでしょうに。そもそも、何故ひと言相談してくださらなかった?」

 マリアベルが口うるさい父上たちがいないうちに、と言うから。

 それに、ティアラは子供で。

「まぁ済んだことを、今更言ってもどうにもなりません。とにかく、聖女たちには結界石への聖力込めを続けさせますが、殿下たちは騎士達の訓練を強化してください。それから、周辺の各国へティアラらしき人物が入国していないか、調査を。何故足取りが掴めないのか分かりませんが、荷馬車か何かに潜り込んだのかもしれません。ああ!それから、マリアベルに会うのはお控えください」

「な、何故だ」

「マリアベルの聖力は、著しく下がっております。殿下との逢瀬を優先して聖女の務めを果たしていなかったからでしょう。これからは寝る間も惜しんで、祈りを捧げる必要があります。陛下にも許可はとってあります。いいですね!」

 僕は分かった、と言うしかなかった。
 こんなことになるのなら、ティアラを婚約者のままにして、マリアベルと付き合っていれば良かった。

 アイツは、僕が誰と何をしていようと無関心だったんだから。
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