14 / 134
すぐに見つけ出せ〜シンクレア王国国王視点〜
しおりを挟む
隣国での式典を終えて戻ると、教皇が王宮に乗り込んで来た。
教会と王家はあまり仲のいいものではなかったが、今の教皇と儂は竹馬の友というやつで、妙に気が合った。
「どうしたんだ?そんな慌てて」
「どうしたんだ、じゃない!カタパルト殿下はどこだ?お聞きしたいことがあるっ!」
「カタパルト?おい、誰かカタパルトを呼んでこい」
衛兵に指示を出し、マルチェロに座るように促した。
「それでカタパルトがどうしたんだ?」
「聖女であるティアラと婚約破棄をし、ティアラを国外追放にしたと!殿下は何を考えておられるんだっ?ティアラの聖力は他の聖女とは桁違いなんだ。なまじ孤児だから逃げられないように殿下との婚約で縛っていたのに、それを理解されていないのかッ!」
「国外・・・追放だと?」
確かにカタパルトは、事あるごとに聖女ティアラを疎んじていた。
だが、別にそれはかまわないから放置していたのだ。
必要なのは、ティアラが王太子の婚約者だという肩書きだけだった。
それがあれば、たとえ元孤児で伯爵家の養女だとしても、他国に無断で出る事が出来ないからだ。
だというのに、婚約破棄の上に国外追放にした?
あのバカ息子は何をやっているんだ!
「カタパルトはまだか!」
「も、申し訳ございません。で、殿下は、ガーディナー公爵令嬢様と出かけられていると・・・」
「ガーディナー公爵令嬢と?」
「今の時間は祈りの時間のはずだというのに!公爵令嬢であろうと聖女の務めを放棄して何をしているんだ!」
マルチェロが腹立たしげに叫ぶ。
基本的に聖女は教会で生活する。
家から通うことを認めているのは、高位貴族の令嬢だからだ。
政略結婚が関わってくるために、令嬢としての躾やマナーを学んでおかなければならない。
だが、だからといって聖女の務めを疎かにしていいわけではない。
シンクレア王国では、聖女の地位は高い。
平民の聖女でも、子爵令嬢より地位は上という扱いになる。
それだけ、聖女という存在が我が国にとって重要なのだ。
カタパルトにも、何度も何度も言って聞かせた。
なのに、その聖女をこともあろうに国外追放にしただと?
「すぐにカタパルトとガーディナー公爵令嬢を探して連れてこい!あと、ティアラを探せっ!あの容姿だ、すぐに目撃情報は集まるはずだ!」
ティアラは、この国では珍しい黒髪をしている。
どこに隠れるにしても、必ず目撃情報があるはずだ。
「・・・王都の防衛の強化をしておいてくれ」
「どういうことだ?」
「今、残っている聖女達に結界石に聖力を込めさせている。だが、聖力の回復が間に合わない。おそらく・・・結界は破れる」
なんだと?
教会と王家はあまり仲のいいものではなかったが、今の教皇と儂は竹馬の友というやつで、妙に気が合った。
「どうしたんだ?そんな慌てて」
「どうしたんだ、じゃない!カタパルト殿下はどこだ?お聞きしたいことがあるっ!」
「カタパルト?おい、誰かカタパルトを呼んでこい」
衛兵に指示を出し、マルチェロに座るように促した。
「それでカタパルトがどうしたんだ?」
「聖女であるティアラと婚約破棄をし、ティアラを国外追放にしたと!殿下は何を考えておられるんだっ?ティアラの聖力は他の聖女とは桁違いなんだ。なまじ孤児だから逃げられないように殿下との婚約で縛っていたのに、それを理解されていないのかッ!」
「国外・・・追放だと?」
確かにカタパルトは、事あるごとに聖女ティアラを疎んじていた。
だが、別にそれはかまわないから放置していたのだ。
必要なのは、ティアラが王太子の婚約者だという肩書きだけだった。
それがあれば、たとえ元孤児で伯爵家の養女だとしても、他国に無断で出る事が出来ないからだ。
だというのに、婚約破棄の上に国外追放にした?
あのバカ息子は何をやっているんだ!
「カタパルトはまだか!」
「も、申し訳ございません。で、殿下は、ガーディナー公爵令嬢様と出かけられていると・・・」
「ガーディナー公爵令嬢と?」
「今の時間は祈りの時間のはずだというのに!公爵令嬢であろうと聖女の務めを放棄して何をしているんだ!」
マルチェロが腹立たしげに叫ぶ。
基本的に聖女は教会で生活する。
家から通うことを認めているのは、高位貴族の令嬢だからだ。
政略結婚が関わってくるために、令嬢としての躾やマナーを学んでおかなければならない。
だが、だからといって聖女の務めを疎かにしていいわけではない。
シンクレア王国では、聖女の地位は高い。
平民の聖女でも、子爵令嬢より地位は上という扱いになる。
それだけ、聖女という存在が我が国にとって重要なのだ。
カタパルトにも、何度も何度も言って聞かせた。
なのに、その聖女をこともあろうに国外追放にしただと?
「すぐにカタパルトとガーディナー公爵令嬢を探して連れてこい!あと、ティアラを探せっ!あの容姿だ、すぐに目撃情報は集まるはずだ!」
ティアラは、この国では珍しい黒髪をしている。
どこに隠れるにしても、必ず目撃情報があるはずだ。
「・・・王都の防衛の強化をしておいてくれ」
「どういうことだ?」
「今、残っている聖女達に結界石に聖力を込めさせている。だが、聖力の回復が間に合わない。おそらく・・・結界は破れる」
なんだと?
109
お気に入りに追加
2,573
あなたにおすすめの小説

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。
修道女エンドの悪役令嬢が実は聖女だったわけですが今更助けてなんて言わないですよね
星里有乃
恋愛
『お久しぶりですわ、バッカス王太子。ルイーゼの名は捨てて今は洗礼名のセシリアで暮らしております。そちらには聖女ミカエラさんがいるのだから、私がいなくても安心ね。ご機嫌よう……』
悪役令嬢ルイーゼは聖女ミカエラへの嫌がらせという濡れ衣を着せられて、辺境の修道院へ追放されてしまう。2年後、魔族の襲撃により王都はピンチに陥り、真の聖女はミカエラではなくルイーゼだったことが判明する。
地母神との誓いにより祖国の土地だけは踏めないルイーゼに、今更助けを求めることは不可能。さらに、ルイーゼには別の国の王子から求婚話が来ていて……?
* この作品は、アルファポリスさんと小説家になろうさんに投稿しています。
* 2025年2月1日、本編完結しました。予定より少し文字数多めです。番外編や後日談など、また改めて投稿出来たらと思います。ご覧いただきありがとうございました!
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
黎
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。

【完結】婚約者様、王女様を優先するならお好きにどうぞ
曽根原ツタ
恋愛
オーガスタの婚約者が王女のことを優先するようになったのは――彼女の近衛騎士になってからだった。
婚約者はオーガスタとの約束を、王女の護衛を口実に何度も破った。
美しい王女に付きっきりな彼への不信感が募っていく中、とある夜会で逢瀬を交わすふたりを目撃したことで、遂に婚約解消を決意する。
そして、その夜会でたまたま王子に会った瞬間、前世の記憶を思い出し……?
――病弱な王女を優先したいなら、好きにすればいいですよ。私も好きにしますので。

現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。
和泉鷹央
恋愛
聖女は十年しか生きられない。
この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。
それは期間満了後に始まる約束だったけど――
一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。
二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。
ライラはこの契約を承諾する。
十年後。
あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。
そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。
こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。
そう思い、ライラは聖女をやめることにした。
他の投稿サイトでも掲載しています。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる