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番外編

if〜ありえたかもしれない世界〜

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「ルイス様っ」

 駆け寄ってきたルナティアを僕は抱き止めた。
 僕の名前はルイス・ランスフォード。
このランスフォード王国の王太子だ。

 彼女はルナティア・ブライト。ブライト公爵家の娘で、僕の愛しい婚約者だ。
 紫色の髪に菫色の瞳のルナティアは、とても美しい僕の女神。学園を卒業したら、僕の妻となる。

 僕は、10歳の時に出会ったルナティアに一目惚れした。

 母上のお茶会に招かれてきたブライト公爵夫人に連れられてきた天使。
 お茶会が終わってすぐに父上と母上にお願いした。ルナティアと婚約したいと。

 ルナティアは公爵家の娘だ。身分も問題なく、ブライト公爵家から了承の返事がきた。

 それから僕は、ルナティアを喜ばせることだけを考えて生きてきた。

 どんなプレゼントを贈ったら喜んでくれるだろう。
 花束も、ブローチやペンダントも、美味しいと有名な店のお菓子も、とにかく思いつく限りルナティアに贈った。

 お返しにと、ルナティアが刺繍したハンカチを贈られた時は、嬉しくて涙が出た。

 そのハンカチは今でも僕の部屋の壁に、額縁に入れて飾ってある。

 それから、毎年贈られる誕生日プレゼントも部屋に飾っていて、毎朝それを眺めるのが僕の日課だ。

 そんな部屋を見られるのは恥ずかしいから、まだルナティアを部屋には招いていない。
 婚約しているし、1週間後の卒業パーティーを終えたら婚姻することが決まっているから、その時には見られてしまうけど。

 ルナティアは、完璧な淑女だから、僕の部屋へ入りたいとは言わない。
 もちろん、僕も公爵家のルナティアの部屋には入ったりしていない。未婚のご令嬢の部屋に、いくら婚約者とはいえ異性が入るものじゃないからね。

 毎日、王妃教育のために王城に訪れてくれるルナティアとは、庭園や応接室でお茶を飲みながら話をする。

 ルナティアは優秀だから、学園に入る前に王太子妃教育は終えていて、今はもう王妃教育も終えていた。

「卒業パーティーに隣国セレニティ王国の王太子殿下がいらっしゃいますのね』

「うん。僕とルナの成婚パーティーにお祝いに来てくださるんだけど、その前に顔合わせというかご挨拶に来てくださるんだよ」

「そうですのね。セレニティ王国のクロード殿下は優秀な方だと伺いましたわ・・・ルイス様?どうかなさいまして?」

 僕がムッとした顔をしていたからだろう。ルナティアが不安そうな顔をしている。

 駄目だ。僕のせいで、愛するルナティアにこんな顔させちゃいけない。

「ごめん。クロード殿下はとてもかっこいい人だって噂だから、ルナが好きになっちゃうんじゃないかと不安になって」

 正直にそう吐露すると、ルナティアが抱きついて、僕の胸にグリグリと頭を擦り付ける。

「ルイス様ほどかっこいい方はいませんわ。それに、もしクロード殿下が神様ほど見目麗しい方だとしても、私はルイス様しか見えません」

 ああ。可愛い。
早く結婚したいな。

 これからもずっと、ルナティアの笑顔を守っていこう。
 そうしたら、僕はずっと幸せでいられるんだからー

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