17 / 19
立ち位置がおかしい!
しおりを挟む
「そう・・・」
イザベラ様が小さくため息をついた。
彼女の気持ちがなんとなく分かる。
素直に罪を認めていたら、許せたのにと思ったに違いない。
誰だって、誰かを裁きたいわけじゃない。そんなことをすれば、嫌な気持ちにだってなるし、相手のことを思えば許してやりたくなる。
だけど王族や高位貴族は、その身分に相応しい行動を求められる。
上の者が正さねば、下の者は愚かなままなのだ。
だから、イザベラ様は口を開く。
公爵家のご令嬢であり、第1王子の婚約者として。
「まず、アリア様のことを先ほど『さん』と呼ばれていましたわよね?確かにランスロー様は伯爵家のご令嬢ですけど、アリア様もローズレット伯爵家のご令嬢ですのよ?伯爵家のご令嬢としての礼儀がなっていないのではなくて?」
「え、あ、の・・・申し訳ありません」
ピリカ令嬢は、シルビア様の迫力に、戸惑いながらも渋々謝罪を口にした。
うん。まあ、私も脳内では呼び捨てだから構わないけど、貴族としてはアウトだよね。
「そして、これも問題なのですけど。シルヴァン様のお名前をどうしてお呼びしているの?もしかして、シルヴァン様からお許しを得たのかしら?」
「ひっ!!」
うん。にっこり笑っているけど、めっちゃ怖い。
そういえば、乙女ゲームだということと、現代の感覚でいたから気にしなかったけど、貴族の世界ではあり得ないことだったわ。
基本的に、家族か婚約者以外は名前呼びはしない。家名に様付けが基本だ。
同性同士なら、あり得るけど、それでも勝手に名前で呼ぶようなことはしない。相手の許しが出たら呼ぶことができる。
いくらなんでも、あの第1王子がピリカ令嬢に名前呼びを許しているようには思えない。
ちなみに、私は許してないけど名前で呼ばれたけど。王子相手だから文句が言えなかった。
「そして、これが1番の問題なのだけど、いつアリア様がシルヴァン様に纏わりついたとおっしゃるの?」
「えっ、あっ、いや、あの・・・」
「アリア様の側には、常にわたくし達がいましたのに、いつそんなことをしたと?」
どうしよう。イザベラ様が怖い。めっちゃ怒ってない?
というか、立ち位置おかしくない?
ヒロインを庇って文句言うのって、攻略対象よね?しかも自分の婚約者に言うのよね?
どうして婚約者のご令嬢が、無関係の人に文句言ってるの?
え?ざまあ?これ、ざまあなの?
え?でも、ざまあされるのってヒロインよね?いや、私は攻略も何もしてないから、ざまあされる謂れはないけど。
立ち位置がおかしい!どうしてヒロインが婚約者のご令嬢に庇われてるのかな?
イザベラ様が小さくため息をついた。
彼女の気持ちがなんとなく分かる。
素直に罪を認めていたら、許せたのにと思ったに違いない。
誰だって、誰かを裁きたいわけじゃない。そんなことをすれば、嫌な気持ちにだってなるし、相手のことを思えば許してやりたくなる。
だけど王族や高位貴族は、その身分に相応しい行動を求められる。
上の者が正さねば、下の者は愚かなままなのだ。
だから、イザベラ様は口を開く。
公爵家のご令嬢であり、第1王子の婚約者として。
「まず、アリア様のことを先ほど『さん』と呼ばれていましたわよね?確かにランスロー様は伯爵家のご令嬢ですけど、アリア様もローズレット伯爵家のご令嬢ですのよ?伯爵家のご令嬢としての礼儀がなっていないのではなくて?」
「え、あ、の・・・申し訳ありません」
ピリカ令嬢は、シルビア様の迫力に、戸惑いながらも渋々謝罪を口にした。
うん。まあ、私も脳内では呼び捨てだから構わないけど、貴族としてはアウトだよね。
「そして、これも問題なのですけど。シルヴァン様のお名前をどうしてお呼びしているの?もしかして、シルヴァン様からお許しを得たのかしら?」
「ひっ!!」
うん。にっこり笑っているけど、めっちゃ怖い。
そういえば、乙女ゲームだということと、現代の感覚でいたから気にしなかったけど、貴族の世界ではあり得ないことだったわ。
基本的に、家族か婚約者以外は名前呼びはしない。家名に様付けが基本だ。
同性同士なら、あり得るけど、それでも勝手に名前で呼ぶようなことはしない。相手の許しが出たら呼ぶことができる。
いくらなんでも、あの第1王子がピリカ令嬢に名前呼びを許しているようには思えない。
ちなみに、私は許してないけど名前で呼ばれたけど。王子相手だから文句が言えなかった。
「そして、これが1番の問題なのだけど、いつアリア様がシルヴァン様に纏わりついたとおっしゃるの?」
「えっ、あっ、いや、あの・・・」
「アリア様の側には、常にわたくし達がいましたのに、いつそんなことをしたと?」
どうしよう。イザベラ様が怖い。めっちゃ怒ってない?
というか、立ち位置おかしくない?
ヒロインを庇って文句言うのって、攻略対象よね?しかも自分の婚約者に言うのよね?
どうして婚約者のご令嬢が、無関係の人に文句言ってるの?
え?ざまあ?これ、ざまあなの?
え?でも、ざまあされるのってヒロインよね?いや、私は攻略も何もしてないから、ざまあされる謂れはないけど。
立ち位置がおかしい!どうしてヒロインが婚約者のご令嬢に庇われてるのかな?
43
お気に入りに追加
362
あなたにおすすめの小説

変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ
奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。
スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

気配消し令嬢の失敗
かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。
15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。
※王子は曾祖母コンです。
※ユリアは悪役令嬢ではありません。
※タグを少し修正しました。
初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
悪役令嬢アンジェリカの最後の悪あがき
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【追放決定の悪役令嬢に転生したので、最後に悪あがきをしてみよう】
乙女ゲームのシナリオライターとして活躍していた私。ハードワークで意識を失い、次に目覚めた場所は自分のシナリオの乙女ゲームの世界の中。しかも悪役令嬢アンジェリカ・デーゼナーとして断罪されている真っ最中だった。そして下された罰は爵位を取られ、へき地への追放。けれど、ここは私の書き上げたシナリオのゲーム世界。なので作者として、最後の悪あがきをしてみることにした――。
※他サイトでも投稿中
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。

『悪役』のイメージが違うことで起きた悲しい事故
ラララキヲ
ファンタジー
ある男爵が手を出していたメイドが密かに娘を産んでいた。それを知った男爵は平民として生きていた娘を探し出して養子とした。
娘の名前はルーニー。
とても可愛い外見をしていた。
彼女は人を惹き付ける特別な外見をしていたが、特別なのはそれだけではなかった。
彼女は前世の記憶を持っていたのだ。
そして彼女はこの世界が前世で遊んだ乙女ゲームが舞台なのだと気付く。
格好良い攻略対象たちに意地悪な悪役令嬢。
しかしその悪役令嬢がどうもおかしい。何もしてこないどころか性格さえも設定と違うようだ。
乙女ゲームのヒロインであるルーニーは腹を立てた。
“悪役令嬢が悪役をちゃんとしないからゲームのストーリーが進まないじゃない!”と。
怒ったルーニーは悪役令嬢を責める。
そして物語は動き出した…………──
※!!※細かい描写などはありませんが女性が酷い目に遭った展開となるので嫌な方はお気をつけ下さい。
※!!※『子供が絵本のシンデレラ読んでと頼んだらヤバイ方のシンデレラを読まれた』みたいな話です。
◇テンプレ乙女ゲームの世界。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる