ヒロインだと言われましたが、人違いです!

みおな

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立ち位置がおかしい!

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「そう・・・」

 イザベラ様が小さくため息をついた。
彼女の気持ちがなんとなく分かる。

 素直に罪を認めていたら、許せたのにと思ったに違いない。

 誰だって、誰かを裁きたいわけじゃない。そんなことをすれば、嫌な気持ちにだってなるし、相手のことを思えば許してやりたくなる。

 だけど王族や高位貴族は、その身分に相応しい行動を求められる。
 上の者が正さねば、下の者は愚かなままなのだ。

 だから、イザベラ様は口を開く。
公爵家のご令嬢であり、第1王子の婚約者として。

「まず、アリア様のことを先ほど『さん』と呼ばれていましたわよね?確かにランスロー様は伯爵家のご令嬢ですけど、アリア様もローズレット伯爵家のご令嬢ですのよ?伯爵家のご令嬢としての礼儀がなっていないのではなくて?」

「え、あ、の・・・申し訳ありません」

 ピリカ令嬢は、シルビア様の迫力に、戸惑いながらも渋々謝罪を口にした。
 うん。まあ、私も脳内では呼び捨てだから構わないけど、貴族としてはアウトだよね。

「そして、これも問題なのですけど。シルヴァン様のお名前をどうしてお呼びしているの?もしかして、シルヴァン様からお許しを得たのかしら?」

「ひっ!!」

 うん。にっこり笑っているけど、めっちゃ怖い。
 そういえば、乙女ゲームだということと、現代の感覚でいたから気にしなかったけど、貴族の世界ではあり得ないことだったわ。

 基本的に、家族か婚約者以外は名前呼びはしない。家名に様付けが基本だ。
 同性同士なら、あり得るけど、それでも勝手に名前で呼ぶようなことはしない。相手の許しが出たら呼ぶことができる。

 いくらなんでも、あの第1王子がピリカ令嬢に名前呼びを許しているようには思えない。
 ちなみに、私は許してないけど名前で呼ばれたけど。王子相手だから文句が言えなかった。

「そして、これが1番の問題なのだけど、アリア様がシルヴァン様に纏わりついたとおっしゃるの?」

「えっ、あっ、いや、あの・・・」

「アリア様の側には、常にわたくし達がいましたのに、そんなことをしたと?」

 どうしよう。イザベラ様が怖い。めっちゃ怒ってない?
 というか、立ち位置おかしくない?
ヒロインを庇って文句言うのって、攻略対象よね?しかも自分の婚約者に言うのよね?

 どうして婚約者のご令嬢が、無関係の人に文句言ってるの?

 え?ざまあ?これ、ざまあなの?
え?でも、ざまあされるのってヒロインよね?いや、私は攻略も何もしてないから、ざまあされる謂れはないけど。

 立ち位置がおかしい!どうしてヒロインが婚約者のご令嬢に庇われてるのかな?

 





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