ヒロインだと言われましたが、人違いです!

みおな

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ですから攻略対象はお呼びじゃありません

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「まぁぁ!なんて失礼なことを!!」

 私の言葉に、ピリカと呼ばれた伯爵令嬢が大袈裟に喚き散らす。

 失礼ねぇ。アンタらのしてることは失礼じゃないのかと聞きたい。

「大体、貴女方が言うご子息方にはご婚約者がいらっしゃいますよね?そんなご子息に懸想するわけないでしょう」

 婚約者でもないご令嬢方に、責められる意味がわからない。

 さすがにご令嬢相手に、護身術で蹴り飛ばしたりするわけにはいかない。
 一応、口でも負けてないつもりだけど、どうするべきかな。

 あー。本当にめんどくさい。どうしてヒロインなんかになったのかな。
 しかも、攻略してないのに、あれやこれやと言いがかりはやめて欲しい。

「たかが伯爵令嬢風情が、シルヴァン様に相手にされると思っていますの!」

「本当ですわ。セドリック様は誰にでもお優しいのよ」

「ギルベイン様は騎士としてお声をかけているだけなのに」

「ロメオ様のお優しさを勘違いするなんて、図々しいわ」

 だーかーらー、人の話を聞こうよ!
勘違いもしてないし、相手にもして欲しくないし、声もかけて欲しくないの!

 できることなら、半径1メートル以内に近づいて欲しくないくらいなの!

「マジで迷惑」

「今なんておっしゃったのっ!?」

 しまった。本音が漏れちゃった。
ピリカ令嬢が目を吊り上げる。

「何をなさっていますの?」

 本気で鬱陶しいと思ってたら、涼やかな声が聞こえて来た。

「あ。イザベラ様」

 ご婚約者のご令嬢方、勢揃いでご登場である。

「あ・・・あ・・、フィラデルフィア様・・・」

「聞こえませんでしたか?何をなさっているのかお伺いしたのですが」

「ふぁ、ファルネーゼ様・・・」

「黙っていてはわかりませんわ」

「テオドール様・・・」

「きちんとお答えくださいませ」

「アヴェイン様、いえ、あの・・・」

 ご令嬢方の迫力に、ピリカ令嬢たちは冷や汗たらたらで、さっきの勢いはどこへやらである。

「答えられませんの?」

 イザベラ様の問いかけに、ピリカ令嬢がキッ!と顔を上げた。

「そ、そこのアリア・ローズレットさんが、フィラデルフィア様のご婚約者であるシルヴァン様に馴れ馴れしく近づいていたので、注意していたのです」

「・・・シルヴァン様に、ですか?」

「シルヴァン様にだけではありません。セドリック様やギルベイン様、ロメオ様にも近づいているのです!」

 いや、だから近づいてないからね?
あっちから寄ってくるんだよ?こっちはいい迷惑なの!

 さすがに伯爵令嬢が、王族や自分より身分の高いご子息たちに「寄って来ないで下さい」とは言えないんだよ!
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