ヒロインだと言われましたが、人違いです!

みおな

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街へのお出かけ・・・デート?

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 イヴァンさんと一緒に、馬車で街へと向かった。

 ローズレット伯爵家は王都の東にあり、街まで馬車で30分ほどだ。
 ちなみに乙女ゲーム舞台の学園は、王都の中心にある王宮と伯爵家の中間地点くらいに位置している。

 当然、学園には馬車で通うことになる。学園に通うのは貴族ばかりなので、平民のように歩いて通うことなどない。

 イヴァンさんの手を借りて、馬車から降りると、賑やかな街並みがそこにはあった。

 (凄っ!原宿とかそんな感じ?高いビルがないだけで、すっごいお店たくさんあるんだ!)

 現代の日本の街並みというよりは、テレビで見たヨーロッパのストリートのようで、私はキョロキョロとしてしまう。

「お嬢。田舎者みたいに見えますから、キョロキョロするのやめましょうか」

「ゔっ」

 おのぼりさんみたいに見えたかな。だって、ゲームのイベントで見た時から、すっごいお洒落な街並みだな~って思ってたんだもん。

「さ。行きますよ。田舎者ははぐれたら困りますからね、手を繋ぎましょうか」

「ふぇっ?」

「まずは、ええと、ああ!あの小物店に入りましょうか。学園に付けていくリボン買うんでしたよね」

 イヴァンさんは、私の右手を繋ぐと、さっさと歩き出す。

 ええっ?使用人だよね?でも手を繋ぐなんて、違うの?わかんない。わかんないよ。

 イヴァンさんに手を繋がれたまま、小物店に入り、髪飾りやリボン、ハンカチと見ていく。

 最初は、男の人に手を繋がれたことに戸惑っていた私も、何軒かお店を巡るうちに、慣れてきたようで手を繋いでいることも気にならなくなって来た。

「楽しいですか?お嬢」

「うんっ!楽しい。・・・きゃっ!」

 私はずいぶんと浮かれていたんだと思う。イヴァンさんに向き直ろうとしたことで、すれ違う人にぶつかってしまった。

「ご、ごめんなさいっ!」

 急いで謝罪した私は、相手の顔を見て思わず固まってしまった。

「いや、こちらもよそ見をしていたから、申し訳ない。怪我はない?ご令嬢」

 キザなセリフと共に、キラキラした笑みを浮かべた金髪に金の瞳のその人はー

 (なんで?なんで、なんでこんなところにシルヴァン第1王子がいるのっ?)

 攻略対象の1人、シルヴァン・ラシュール第1王子その人がそこにいた。

 しかも。

「シルヴァン様。何してるんですか?か弱いご令嬢にぶつかるなんて」

「大丈夫ですか?お怪我はされていませんか?」

「シルヴァン様は注意力散漫だから、そういうことになるんですよ。ご令嬢の綺麗なお洋服を汚したりしたらどうするんですか」

 セドリックにギルベイン、ロメオまで、攻略対象勢揃いときた。

 (なんで?こんな出会いイベントなかったのにぃ!)

 突如現れた攻略対象に、私は脳内で叫びながら、イヴァンさんの手をキツく握りしめるのだった。


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