6 / 19
街へのお出かけ・・・デート?
しおりを挟む
イヴァンさんと一緒に、馬車で街へと向かった。
ローズレット伯爵家は王都の東にあり、街まで馬車で30分ほどだ。
ちなみに乙女ゲーム舞台の学園は、王都の中心にある王宮と伯爵家の中間地点くらいに位置している。
当然、学園には馬車で通うことになる。学園に通うのは貴族ばかりなので、平民のように歩いて通うことなどない。
イヴァンさんの手を借りて、馬車から降りると、賑やかな街並みがそこにはあった。
(凄っ!原宿とかそんな感じ?高いビルがないだけで、すっごいお店たくさんあるんだ!)
現代の日本の街並みというよりは、テレビで見たヨーロッパのストリートのようで、私はキョロキョロとしてしまう。
「お嬢。田舎者みたいに見えますから、キョロキョロするのやめましょうか」
「ゔっ」
おのぼりさんみたいに見えたかな。だって、ゲームのイベントで見た時から、すっごいお洒落な街並みだな~って思ってたんだもん。
「さ。行きますよ。田舎者ははぐれたら困りますからね、手を繋ぎましょうか」
「ふぇっ?」
「まずは、ええと、ああ!あの小物店に入りましょうか。学園に付けていくリボン買うんでしたよね」
イヴァンさんは、私の右手を繋ぐと、さっさと歩き出す。
ええっ?使用人だよね?でも手を繋ぐなんて、違うの?わかんない。わかんないよ。
イヴァンさんに手を繋がれたまま、小物店に入り、髪飾りやリボン、ハンカチと見ていく。
最初は、男の人に手を繋がれたことに戸惑っていた私も、何軒かお店を巡るうちに、慣れてきたようで手を繋いでいることも気にならなくなって来た。
「楽しいですか?お嬢」
「うんっ!楽しい。・・・きゃっ!」
私はずいぶんと浮かれていたんだと思う。イヴァンさんに向き直ろうとしたことで、すれ違う人にぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさいっ!」
急いで謝罪した私は、相手の顔を見て思わず固まってしまった。
「いや、こちらもよそ見をしていたから、申し訳ない。怪我はない?ご令嬢」
キザなセリフと共に、キラキラした笑みを浮かべた金髪に金の瞳のその人はー
(なんで?なんで、なんでこんなところにシルヴァン第1王子がいるのっ?)
攻略対象の1人、シルヴァン・ラシュール第1王子その人がそこにいた。
しかも。
「シルヴァン様。何してるんですか?か弱いご令嬢にぶつかるなんて」
「大丈夫ですか?お怪我はされていませんか?」
「シルヴァン様は注意力散漫だから、そういうことになるんですよ。ご令嬢の綺麗なお洋服を汚したりしたらどうするんですか」
セドリックにギルベイン、ロメオまで、攻略対象勢揃いときた。
(なんで?こんな出会いイベントなかったのにぃ!)
突如現れた攻略対象に、私は脳内で叫びながら、イヴァンさんの手をキツく握りしめるのだった。
ローズレット伯爵家は王都の東にあり、街まで馬車で30分ほどだ。
ちなみに乙女ゲーム舞台の学園は、王都の中心にある王宮と伯爵家の中間地点くらいに位置している。
当然、学園には馬車で通うことになる。学園に通うのは貴族ばかりなので、平民のように歩いて通うことなどない。
イヴァンさんの手を借りて、馬車から降りると、賑やかな街並みがそこにはあった。
(凄っ!原宿とかそんな感じ?高いビルがないだけで、すっごいお店たくさんあるんだ!)
現代の日本の街並みというよりは、テレビで見たヨーロッパのストリートのようで、私はキョロキョロとしてしまう。
「お嬢。田舎者みたいに見えますから、キョロキョロするのやめましょうか」
「ゔっ」
おのぼりさんみたいに見えたかな。だって、ゲームのイベントで見た時から、すっごいお洒落な街並みだな~って思ってたんだもん。
「さ。行きますよ。田舎者ははぐれたら困りますからね、手を繋ぎましょうか」
「ふぇっ?」
「まずは、ええと、ああ!あの小物店に入りましょうか。学園に付けていくリボン買うんでしたよね」
イヴァンさんは、私の右手を繋ぐと、さっさと歩き出す。
ええっ?使用人だよね?でも手を繋ぐなんて、違うの?わかんない。わかんないよ。
イヴァンさんに手を繋がれたまま、小物店に入り、髪飾りやリボン、ハンカチと見ていく。
最初は、男の人に手を繋がれたことに戸惑っていた私も、何軒かお店を巡るうちに、慣れてきたようで手を繋いでいることも気にならなくなって来た。
「楽しいですか?お嬢」
「うんっ!楽しい。・・・きゃっ!」
私はずいぶんと浮かれていたんだと思う。イヴァンさんに向き直ろうとしたことで、すれ違う人にぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさいっ!」
急いで謝罪した私は、相手の顔を見て思わず固まってしまった。
「いや、こちらもよそ見をしていたから、申し訳ない。怪我はない?ご令嬢」
キザなセリフと共に、キラキラした笑みを浮かべた金髪に金の瞳のその人はー
(なんで?なんで、なんでこんなところにシルヴァン第1王子がいるのっ?)
攻略対象の1人、シルヴァン・ラシュール第1王子その人がそこにいた。
しかも。
「シルヴァン様。何してるんですか?か弱いご令嬢にぶつかるなんて」
「大丈夫ですか?お怪我はされていませんか?」
「シルヴァン様は注意力散漫だから、そういうことになるんですよ。ご令嬢の綺麗なお洋服を汚したりしたらどうするんですか」
セドリックにギルベイン、ロメオまで、攻略対象勢揃いときた。
(なんで?こんな出会いイベントなかったのにぃ!)
突如現れた攻略対象に、私は脳内で叫びながら、イヴァンさんの手をキツく握りしめるのだった。
46
お気に入りに追加
357
あなたにおすすめの小説

所(世界)変われば品(常識)変わる
章槻雅希
恋愛
前世の記憶を持って転生したのは乙女ゲームの悪役令嬢。王太子の婚約者であり、ヒロインが彼のルートでハッピーエンドを迎えれば身の破滅が待っている。修道院送りという名の道中での襲撃暗殺END。
それを避けるために周囲の環境を整え家族と婚約者とその家族という理解者も得ていよいよゲームスタート。
予想通り、ヒロインも転生者だった。しかもお花畑乙女ゲーム脳。でも地頭は悪くなさそう?
ならば、ヒロインに現実を突きつけましょう。思い込みを矯正すれば多分有能な女官になれそうですし。
完結まで予約投稿済み。
全21話。

村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。

変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ
奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。
スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな

【完結】攻略を諦めたら騎士様に溺愛されました。悪役でも幸せになれますか?
うり北 うりこ@ざまされ書籍化決定
恋愛
メイリーンは、大好きな乙女ゲームに転生をした。しかも、ヒロインだ。これは、推しの王子様との恋愛も夢じゃない! そう意気込んで学園に入学してみれば、王子様は悪役令嬢のローズリンゼットに夢中。しかも、悪役令嬢はおかめのお面をつけている。
これは、巷で流行りの悪役令嬢が主人公、ヒロインが悪役展開なのでは?
命一番なので、攻略を諦めたら騎士様の溺愛が待っていた。

悪役令嬢ですが、どうやらずっと好きだったみたいです
朝顔
恋愛
リナリアは前世の記憶を思い出して、頭を悩ませた。
この世界が自分の遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気がついたのだ。
そして、自分はどうやら主人公をいじめて、嫉妬に狂って殺そうとまでする悪役令嬢に転生してしまった。
せっかく生まれ変わった人生で断罪されるなんて絶対嫌。
どうにかして攻略対象である王子から逃げたいけど、なぜだか懐つかれてしまって……。
悪役令嬢の王道?の話を書いてみたくてチャレンジしました。
ざまぁはなく、溺愛甘々なお話です。
なろうにも同時投稿

悪役令嬢なのかヒロインなのか、まずはそこからが問題だ
霜月零
恋愛
わたし、マルガレーテ・フォンディーヌ伯爵令嬢は、生死の境を彷徨った拍子に前世を思い出した。
わたしは、前世で好きだった乙女ゲームのヒロインに転生していたのだ。
だが、ちょっと待って欲しい。
わたしは、本当にヒロインなのか?
前世のわたしはweb小説も好きだった。
中でも悪役令嬢が主人公の物語が好きで、軽く三桁は読み漁ったと思う。
悪役令嬢が主人公の物語では、ヒロインは大抵お馬鹿で自業自得で悲惨な目に合う。
もしかしてわたしは、乙女ゲームのヒロインじゃなく、悪役令嬢の物語の当て馬ヒロインだったりしないかしら。
わたしは乙女ゲームのヒロインなのかそうじゃないのか、まずはそこから調べることが必要だと思う。
破滅の未来を引き寄せない為にね!
※小説家になろう様等、他サイト様にも掲載予定です


完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる