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最終章

近づく婚姻

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 まもなく学園卒業です。
15歳の卒業パーティーで成人を迎えたら、アル兄様との婚姻となります。

 最近は、卒業準備と婚姻のための準備に追われる毎日です。
 卒業パーティーはデビュタントを兼ねているので、ドレスは白と決まっています。

 結婚式も白のドレスなので、白のドレスだけで2着準備しなければなりません。
 皇太子の婚姻ですから、ドレスも宝石も一級品です。
 まぁ、私が嫁ぐ先がアル兄様でなくても、おそらく一級品を揃えて下さったと思いますけど。お父様もお母様も、私のことをとても大切にして下さっていますから。

 婚姻のドレスは、銀糸の刺繍が施されるので、卒業パーティーのドレスはシンプルなタイプにしました。

 宝石はサファイアです。
これは、代々皇太子が成婚する際につけることが決まっている物なのです。
 私もアル兄様も銀髪に銀の瞳ですから、お互いの髪や瞳の色を纏うということも出来ませんし、決まった石があってよかったと思います。

 学園生活は、何事もなく平穏に過ぎていきました。

 最初の頃こそ、メリッサ様の婚約解消騒動などありましたが、あの後は平穏そのものです。

 メリッサ様は、ケイト様のお兄様であるカイト様とご婚約されました。
 カイト様の粘り勝ちだと、アル兄様が笑っていらっしゃいましたわ。
 どうやら、カイト様はずっとメリッサ様のことをお好きだったみたいです。

 アル兄様のお友達ですが、私はほとんどお話したことがありません。
 でも、ケイト様のお兄様ですし、アル兄様のお友達ですもの、きっと素敵な方だと思います。

 メリッサ様の元婚約者であるテレンス様と、ラナナ・オットン子爵令嬢様は、公爵家で厳しくご指導されているみたいです。

 テレンス様は公爵様から毎週末に孤児院での奉仕活動を義務付けられたそうです。
 1度でもサボれば、平民に落とすと言われているそうですわ。

 奉仕活動は、貴族としての義務です。基本は夫人やご令嬢がなさることですけど、テレンス様には良い経験になるのではないでしょうか。

 ラナナ様には逃亡防止の魔道具が付けられているらしくて、厳しい淑女教育に随分と苦しまれているそうです。

 奔放な方みたいでしたので、大変でしょうね。
 高位貴族なら幼い頃から学んでいたことを短い間で詰め込まなければなりません。
 ですが、それはご自分が選んだ結果なのですから仕方ありません。

 それに、テレンス公爵夫人は厳しいですがとても素敵な方ですわ。夫人の教えに従っていれば、きっとラナナ様も素敵な淑女となれることでしょう。

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