拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

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閑話〜愚か者たちの最後②〜自称ヒロイン?視点〜

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 どうしてこんなことになったの?

 マキシミリオン王国の学園は、全ての貴族が通う。

 だから、男爵家に生まれた私も当然入学したわ。

 しばらく学園に通っていると、高位貴族のご令嬢たちがひとりのご令嬢に詰め寄っているのに遭遇した。

 艶やかな黒髪に黒い瞳をした、可愛らしいご令嬢。

 どうやら彼女は、他国の伯爵らしくて、マキシミリオン王国の第三王子殿下と婚約しているらしい。

 それを高位貴族のご令嬢たちは気に入らないみたいで、別れろって言ってるみたい。

 自分で生まれを選べるわけじゃないのに、どうして高位貴族の人たちって身分身分って言うのかしら。

 本人の能力や功績で、身分が決まってるわけでもないのに。

 だから「そういうことを言うのはおかしい」って言ったのよ。

 私は間違ってないのに、彼女たちは今度は私に謝罪しろって言い出した。

 そうしたら、その黒髪のご令嬢と公爵令嬢とかいう人が現れて、彼女たちをやっつけてしまったの。

 ちょっと面倒だったからあれだけど、そういうふうに身分をひけらかすのはどうかと思うわ。

 だから素直にそう言ったのに、何でそんな目で見るの?

 学園は平等を謳ってるのだから、私の言ってることは正しいことでしょ?

 この人たちも結局、あの人たちと同じなんだわ。

 女の子って嫌い。
私が男の子と話してるだけで、文句を言って来たり、仲間はずれにしたり。

 男の子はその点、みんな私に優しい。

 あの黒髪のご令嬢の婚約者って、第三王子殿下なのよね?

 婚約者に注意されたら、あの人も反省するかも。

 そう思って、王子殿下に話しかけようとするのに、全く相手にしてくれない!

 どうして?

 今まで、私を避ける男の子なんていなかったのに!

 いつのまにか、あのご令嬢を注意してもらうって目的は、王子殿下と仲良くなるって目的に変わっていた。

 この人に優しくされたい。

 この人が私を大切にしているのを見たら、きっと私に文句を言って来たご令嬢たちも、それから公爵令嬢や婚約者のご令嬢も、私を認めるわ。

 そう思って話しかけ続けていたら、少しずつそばにいることができるようになった。

 話はしてくれないけど、そばにいても誰も文句は言わない。

 それに、今度パーティーにエスコートしてくれるって!

 きっと王子殿下も、私のことを好きになってくれたんだわ!

 パーティーを楽しみにしてたのに、ある日突然、学園帰りに拘束されて、お城へ連れて行かれた。

 目隠しをされ、手にも何か付けられた。

 なに?何なのっ?

「王族に魅了魔法を使うなんて、タダで済むわけがないだろうに」

 は?なにそれ。

 
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