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見極めて来ます①

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 メルキオール帝国の釣書は、スカッシュ侯爵家の嫡男のアンドロ様。

 私の三歳年下。
さすがに三歳離れていると、お顔もはっきりとは覚えていないわ。

 大きなパーティーの時に、ご挨拶は受けていると思うけど。

 まだ十三歳の令息を、婚約者と思えない気はするけど、断るにしてもキチンとお会いしてからだと思う。

「急に押しかけてしまってごめんなさい」

「いえっ!お会いできて光栄です」

 スカッシュ侯爵家を訪れた私を、アンドロ様は緊張した面持ちで、出迎えてくれた。

 スカッシュ侯爵様と同じ深緑の髪と瞳をしていて、まだ少年ぽさを感じる。

 一週間前に前触れで、婚約者候補が三人いること。
 人となりを知りたいので、会って話したいことを伝えた。

 スカッシュ侯爵夫妻も、本人同士で話をした方が良いだろうと、最初の挨拶以降は席を外してくれた。

「スカッシュ様と、サンリツ伯爵家のミレーゼ様は幼馴染と伺いましたわ」

「・・・はい。ミレーゼとは仲良くしていました。でも彼女も一人娘で、婿を取って家を継がなければなりません。僕たちは別に恋人じゃないんだから、少し距離をおいたほうがいいって思って」

「スカッシュ様は、それでよろしいの?お家を継ぐ責任は分かるけれど、スカッシュ様のご両親もサンリツ伯爵夫妻様もまだまだお若いわ。お二人が婚姻なさって、二人以上お子を授かれば、後継問題は片付くのではなくて?」

 私は今回、ちゃんと釣書をくださった方々のことを調べた。

 慕われている方はいないか。

 ご両親との仲や、お家の経営状態。

 性格や、ご友人のことも。

 スカッシュ様は、とても素直で真面目な方。

 家族仲も良く、領地経営も問題なし。

 幼馴染のサンリツ伯爵令嬢様と仲はよろしいけど、お互い家の後継ということもあって踏みとどまっている、とがおっしゃっていた。

 今回、私への婚約の打診をしたのは、早いほうがいいという判断だったらしいわ。

 スカッシュ様はともかく、サンリツ伯爵令嬢様はご令嬢だから、少しでも早く婿入りしてくれる令息を探す必要があるものね。

「スカッシュ様、私・・・私にもね、幼馴染も言える方がいたの。私のことをずっと想ってくれていてね。でも、ほんの少し言葉がお互い足りなかったせいで、婚約関係は駄目になってしまったの。自分の立場や周囲のことも大切だけど、自分自身の気持ちにもっと素直になって話し合っていたら、きっと違った結末だったんじゃないかって、今は思うの。スカッシュ様にもサンリツ様にも、後悔しない決断をして欲しいと願うわ」
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