89 / 130
説明。
しおりを挟む
「あの・・・理解できているとは言えませんが、理由があることは分かりました。で、あの・・・アーゼル男爵令嬢が?」
リグレスト様の戸惑いが手に取るように分かった。
そうよね。単にまとわりつかれているとは思っても、何か問題があるとは思わないわよね。
あの男爵令嬢、どう見ても貴族としての常識がなさそうだし、常識がない上での行動と思うわよね。
それがいきなり、何か裏があるとか言われてもね。
私だって、魔法に長けているこの国で聞いたのでなければ、信じなかったわ。
「すまない。細かいことを説明することは出来ないが、そういうわけであの男爵令嬢は当分放置の傾向になる。明後日には担当が戻って来るから、戻れば調査も進むだろう。フェルゲン公爵令嬢もだが、リグレスト侯爵令嬢にも被害が及ぶようなことになっては困る。アレが纏わりついてきても、僕ならば問題ないから、くれぐれも近づかないようにして欲しい」
「リグレスト様。アーゼル男爵令嬢とどうしても関わらなければならない時は、私とご一緒して下さい。出来れば関わらずにいてくださるとよろしいのですが。私には防御の魔道具が付けられております。最悪の事態は防げると思いますから」
リグレスト様は私のことがお嫌いだから、一緒には居たくないと思うけれど、最悪の事態は想定しておかないといけないもの。
私に危害が及ぶことを危惧して、お父様が今回護衛を付けてくれている。
影と呼ばれる、表立ってでなく言葉通り影から守ってくれる存在。
マキシミリオン王国に影を入れることには賛否両論だったけど、さすがに帝国皇女にもしものことがあれば国家同士の問題になるもの。
シリルとルーファスお兄様が、マキシミリオン王国の国王陛下に話してくれた。
学園には、基本的に侍女や護衛は立ち入れない。
ただ、もしものことがあると困るから学園に一緒に通わせるために、王家や高位貴族は年齢の近い者を護衛や侍女として雇う。
シリルにもいるし、キャリーヌ様にもいる。
メルキオール帝国は、皇族が学園に通うことがないから、私にはそういう意味合いの護衛や侍女は居ないのよね。
「・・・分かりましたわ。アレを放置するのは耐えられませんが、数日の辛抱というのなら、近づかない様にいたしますわ」
「そうして欲しい。フェルゲン嬢も気をつけて欲しい。もちろん、クロエもだよ」
「理解っておりますわ」
「気をつけるわ」
私がシリルにあの男爵令嬢がまとわりつくのが我慢できなくて、無理を言ったのだもの。
これ以上、心配させるようなことはしないわ。
リグレスト様の戸惑いが手に取るように分かった。
そうよね。単にまとわりつかれているとは思っても、何か問題があるとは思わないわよね。
あの男爵令嬢、どう見ても貴族としての常識がなさそうだし、常識がない上での行動と思うわよね。
それがいきなり、何か裏があるとか言われてもね。
私だって、魔法に長けているこの国で聞いたのでなければ、信じなかったわ。
「すまない。細かいことを説明することは出来ないが、そういうわけであの男爵令嬢は当分放置の傾向になる。明後日には担当が戻って来るから、戻れば調査も進むだろう。フェルゲン公爵令嬢もだが、リグレスト侯爵令嬢にも被害が及ぶようなことになっては困る。アレが纏わりついてきても、僕ならば問題ないから、くれぐれも近づかないようにして欲しい」
「リグレスト様。アーゼル男爵令嬢とどうしても関わらなければならない時は、私とご一緒して下さい。出来れば関わらずにいてくださるとよろしいのですが。私には防御の魔道具が付けられております。最悪の事態は防げると思いますから」
リグレスト様は私のことがお嫌いだから、一緒には居たくないと思うけれど、最悪の事態は想定しておかないといけないもの。
私に危害が及ぶことを危惧して、お父様が今回護衛を付けてくれている。
影と呼ばれる、表立ってでなく言葉通り影から守ってくれる存在。
マキシミリオン王国に影を入れることには賛否両論だったけど、さすがに帝国皇女にもしものことがあれば国家同士の問題になるもの。
シリルとルーファスお兄様が、マキシミリオン王国の国王陛下に話してくれた。
学園には、基本的に侍女や護衛は立ち入れない。
ただ、もしものことがあると困るから学園に一緒に通わせるために、王家や高位貴族は年齢の近い者を護衛や侍女として雇う。
シリルにもいるし、キャリーヌ様にもいる。
メルキオール帝国は、皇族が学園に通うことがないから、私にはそういう意味合いの護衛や侍女は居ないのよね。
「・・・分かりましたわ。アレを放置するのは耐えられませんが、数日の辛抱というのなら、近づかない様にいたしますわ」
「そうして欲しい。フェルゲン嬢も気をつけて欲しい。もちろん、クロエもだよ」
「理解っておりますわ」
「気をつけるわ」
私がシリルにあの男爵令嬢がまとわりつくのが我慢できなくて、無理を言ったのだもの。
これ以上、心配させるようなことはしないわ。
1,213
お気に入りに追加
5,537
あなたにおすすめの小説
妹に婚約者を奪われたので、田舎暮らしを始めます
tartan321
恋愛
最後の結末は??????
本編は完結いたしました。お読み頂きましてありがとうございます。一度完結といたします。これからは、後日談を書いていきます。
あなたの妻にはなりません
風見ゆうみ
恋愛
幼い頃から大好きだった婚約者のレイズ。
彼が伯爵位を継いだと同時に、わたしと彼は結婚した。
幸せな日々が始まるのだと思っていたのに、夫は仕事で戦場近くの街に行くことになった。
彼が旅立った数日後、わたしの元に届いたのは夫の訃報だった。
悲しみに暮れているわたしに近づいてきたのは、夫の親友のディール様。
彼は夫から自分の身に何かあった時にはわたしのことを頼むと言われていたのだと言う。
あっという間に日にちが過ぎ、ディール様から求婚される。
悩みに悩んだ末に、ディール様と婚約したわたしに、友人と街に出た時にすれ違った男が言った。
「あの男と結婚するのはやめなさい。彼は君の夫の殺害を依頼した男だ」
[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで
みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める
婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様
私を愛してくれる人の為にももう自由になります
初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。
梅雨の人
恋愛
ハーゲンシュタイン公爵の娘ローズは王命で第二王子サミュエルの婚約者となった。
王命でなければ誰もサミュエルの婚約者になろうとする高位貴族の令嬢が現れなかったからだ。
第一王子ウィリアムの婚約者となったブリアナに一目ぼれしてしまったサミュエルは、駄目だと分かっていても次第に互いの距離を近くしていったためだった。
常識のある周囲の冷ややかな視線にも気が付かない愚鈍なサミュエルと義姉ブリアナ。
ローズへの必要最低限の役目はかろうじて行っていたサミュエルだったが、常にその視線の先にはブリアナがいた。
みじめな婚約者時代を経てサミュエルと結婚し、さらに思いがけず王妃になってしまったローズはただひたすらその不遇の境遇を耐えた。
そんな中でもサミュエルが時折見せる優しさに、ローズは胸を高鳴らせてしまうのだった。
しかし、サミュエルとブリアナの愚かな言動がローズを深く傷つけ続け、遂にサミュエルは己の行動を深く後悔することになる―――。
見捨てられたのは私
梅雨の人
恋愛
急に振り出した雨の中、目の前のお二人は急ぎ足でこちらを振り返ることもなくどんどん私から離れていきます。
ただ三人で、いいえ、二人と一人で歩いていただけでございました。
ぽつぽつと振り出した雨は勢いを増してきましたのに、あなたの妻である私は一人取り残されてもそこからしばらく動くことができないのはどうしてなのでしょうか。いつものこと、いつものことなのに、いつまでたっても惨めで悲しくなるのです。
何度悲しい思いをしても、それでもあなたをお慕いしてまいりましたが、さすがにもうあきらめようかと思っております。
王子は婚約破棄を泣いて詫びる
tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。
目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。
「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」
存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。
王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。
【完結】都合のいい女ではありませんので
風見ゆうみ
恋愛
アルミラ・レイドック侯爵令嬢には伯爵家の次男のオズック・エルモードという婚約者がいた。
わたしと彼は、現在、遠距離恋愛中だった。
サプライズでオズック様に会いに出かけたわたしは彼がわたしの親友と寄り添っているところを見てしまう。
「アルミラはオレにとっては都合のいい女でしかない」
レイドック侯爵家にはわたししか子供がいない。
オズック様は侯爵という爵位が目的で婿養子になり、彼がレイドック侯爵になれば、わたしを捨てるつもりなのだという。
親友と恋人の会話を聞いたわたしは彼らに制裁を加えることにした。
※独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる