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意外な味方と叱責。

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「な・・・キャリーヌ様には関係ないでしょう!」

 そう言って、キャリーヌ様にまで文句を言うミリー様に、本気で腹が立った。

 関係があろうがなかろうが、自国の筆頭公爵家のご令嬢に対して、なんて言い草かしら。

「いい加げ・・・「いい加減になさいっ!」」

 私が叱責しようとした声に重なるように声が聞こえ、私たちの前にリグレスト侯爵令嬢が立ち塞がった。

「キャリーヌ様は、マキシミリオン王国筆頭公爵家であるフェルゲン公爵家のご令嬢。立場で言うならば、貴女のお父上であるアーゼル男爵よりも上なのです!その方になんて口の利き方ですか!」

「ッ!こ、公爵家の人だとしても、学園で身分を振りかざすのは間違いだと思いますっ!」

「ねぇ、アーゼル様。貴女、ずーっと学園の中で暮らすつもり?学園から一歩出れば、貴族という身分格差のある世界なのよ。私はマキシミリオン王国のことはまだよく理解していないかもしれないけど、それでも貴女の態度は間違ってると思うわ。身分を振りかざすとおっしゃるけど、それなら貴女も平等という建前を振りかざすのはおやめなさい」

「!」

 リグレスト様に反論するミリー様に私がそう言うと、多勢に無勢だと思ったのか、ミリー様は不満そうにしたままその場から走り去っていった。

 謝罪もなく。

 あの方、やっぱり貴族として生きていくには常識が欠けすぎているのではないかしら?

 他国の私が言うのもあれだけど、一度ご両親である男爵夫妻に警告するべきでは?

「リグレスト様、ありがとうございました」

「ッ!あ、貴女にお礼を言われる筋合いはございませんわ。わ、私は、あの令嬢の思想が嫌いなだけです」

 私も、最初は妙な正義感を持ったご令嬢だと思ったわ。

 下位の身分の男爵令嬢が、侯爵令嬢になんて。

 それでも、一応私を庇っての発言だったし、集団でどうこうというのが気に入らなかったから、リグレスト侯爵令嬢に私も意見させてもらった。

 私が彼女たちみたいに私を下に見ている相手の言動を放置していたのは、確かに炙り出しの意味もあったけど、私もまだまだ未熟ね。

 私よりキャリーヌ様がシリルには相応しいと言ったからといって、彼女を排除対象として見てたなんて。

 どう見ても、無謀な正義の味方気取りの男爵令嬢の方が問題じゃない。

 皇女として、人を見る目がなさすぎるわ。
 こんなことでは、お母様やお姉様に叱られるわね。

「いや、すまない。僕がアーゼル男爵令嬢のおかしな言動に不審な気配を感じて、背景を調査するために放置していたんだ」

 
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