81 / 130
気持ちの変化。
しおりを挟む
ミリー様のおっしゃってることに、疑問しか感じない。
私だけじゃないわよね?
だって隣でキャリーヌ様も、呆れ顔を隠されていないもの。
確かに、平民ならわからないでもないけど、彼女って生粋の貴族令嬢よね?
アーゼル男爵が、平民の方に産ませた庶子とかじゃないわよね?
え?シリルって、そんな馬鹿げた話をずっとされてるの?
「あのご令嬢、ずっとそんなことをこともあろうに王族に言ってるの?」
不敬という言葉を知らないの?
「みたいですわ。でも、殿下は何か思うところがあって、令嬢に自由に発言させてるみたいですわね。何か目的があっての発言なのか、裏をとっているのではないでしょうか」
「私が尋ねても、何も教えてくれませんの」
「クロエ様に被害が及ぶのを避けたいのでしょうね。ああいう手合いには、常識が通じませんから。ふふっ。クロエ様、愛されてますわね」
確かにシリルは、私のことを大切に思ってくれている。
そのことは、私もちゃんと理解している。
そして常識の通じない相手は、本当に面倒だということも理解っているけど・・・
私がシリルを心配することは、必要ないの?
私はシリルの婚約者なのに、何も知らないまま守られていればいいの?
「クロエ様。言葉にしなければ、相手には通じませんわ。言いたいことがあるのなら、はっきりと殿下にお伝えになれば良いのですわ。だって、お二人は婚約者なのですもの。この先、婚姻して長い時を共に過ごすのなら、言いたいことを我慢したり、勝手にこうだと思い込んだりしているのでは駄目なのです。もちろん、相手を気遣うことは大切ですが、クロエ様自身のお気持ちも大切なのですよ」
「・・・キャリーヌ様がお母様みたい」
「まぁ!光栄ですわ。あのお美しくて聡明な皇帝妃様みたいだなんて」
ほほほと笑うキャリーヌ様に、彼女は私の何倍も大人なのだなと思った。
私は、政略結婚は務めだとか、恋愛感情はなくても敬愛し合おうとか、言葉では大人みたいなことを言ってたけど、結局はずっと周囲に守られてる子供だわ。
お父様にお母様、お姉様にお義兄様、伯母様にシリル。
みんなが私の好きなようにできるように、手を貸してくれていた。
そして、シリルも。
私が恋や愛を知らない子供だから、尊敬し合える相手という妥協に頷いてくれて、ずっと私が負担に思わないように一歩引いてくれていた。
まだ私には、恋とか愛とかは分からないけど。
ちゃんとシリルと話をしたい。
私だって、シリルを守りたいのだって伝えたい。
私だけじゃないわよね?
だって隣でキャリーヌ様も、呆れ顔を隠されていないもの。
確かに、平民ならわからないでもないけど、彼女って生粋の貴族令嬢よね?
アーゼル男爵が、平民の方に産ませた庶子とかじゃないわよね?
え?シリルって、そんな馬鹿げた話をずっとされてるの?
「あのご令嬢、ずっとそんなことをこともあろうに王族に言ってるの?」
不敬という言葉を知らないの?
「みたいですわ。でも、殿下は何か思うところがあって、令嬢に自由に発言させてるみたいですわね。何か目的があっての発言なのか、裏をとっているのではないでしょうか」
「私が尋ねても、何も教えてくれませんの」
「クロエ様に被害が及ぶのを避けたいのでしょうね。ああいう手合いには、常識が通じませんから。ふふっ。クロエ様、愛されてますわね」
確かにシリルは、私のことを大切に思ってくれている。
そのことは、私もちゃんと理解している。
そして常識の通じない相手は、本当に面倒だということも理解っているけど・・・
私がシリルを心配することは、必要ないの?
私はシリルの婚約者なのに、何も知らないまま守られていればいいの?
「クロエ様。言葉にしなければ、相手には通じませんわ。言いたいことがあるのなら、はっきりと殿下にお伝えになれば良いのですわ。だって、お二人は婚約者なのですもの。この先、婚姻して長い時を共に過ごすのなら、言いたいことを我慢したり、勝手にこうだと思い込んだりしているのでは駄目なのです。もちろん、相手を気遣うことは大切ですが、クロエ様自身のお気持ちも大切なのですよ」
「・・・キャリーヌ様がお母様みたい」
「まぁ!光栄ですわ。あのお美しくて聡明な皇帝妃様みたいだなんて」
ほほほと笑うキャリーヌ様に、彼女は私の何倍も大人なのだなと思った。
私は、政略結婚は務めだとか、恋愛感情はなくても敬愛し合おうとか、言葉では大人みたいなことを言ってたけど、結局はずっと周囲に守られてる子供だわ。
お父様にお母様、お姉様にお義兄様、伯母様にシリル。
みんなが私の好きなようにできるように、手を貸してくれていた。
そして、シリルも。
私が恋や愛を知らない子供だから、尊敬し合える相手という妥協に頷いてくれて、ずっと私が負担に思わないように一歩引いてくれていた。
まだ私には、恋とか愛とかは分からないけど。
ちゃんとシリルと話をしたい。
私だって、シリルを守りたいのだって伝えたい。
1,406
お気に入りに追加
5,537
あなたにおすすめの小説
[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで
みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める
婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様
私を愛してくれる人の為にももう自由になります
あなたの妻にはなりません
風見ゆうみ
恋愛
幼い頃から大好きだった婚約者のレイズ。
彼が伯爵位を継いだと同時に、わたしと彼は結婚した。
幸せな日々が始まるのだと思っていたのに、夫は仕事で戦場近くの街に行くことになった。
彼が旅立った数日後、わたしの元に届いたのは夫の訃報だった。
悲しみに暮れているわたしに近づいてきたのは、夫の親友のディール様。
彼は夫から自分の身に何かあった時にはわたしのことを頼むと言われていたのだと言う。
あっという間に日にちが過ぎ、ディール様から求婚される。
悩みに悩んだ末に、ディール様と婚約したわたしに、友人と街に出た時にすれ違った男が言った。
「あの男と結婚するのはやめなさい。彼は君の夫の殺害を依頼した男だ」
初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。
梅雨の人
恋愛
ハーゲンシュタイン公爵の娘ローズは王命で第二王子サミュエルの婚約者となった。
王命でなければ誰もサミュエルの婚約者になろうとする高位貴族の令嬢が現れなかったからだ。
第一王子ウィリアムの婚約者となったブリアナに一目ぼれしてしまったサミュエルは、駄目だと分かっていても次第に互いの距離を近くしていったためだった。
常識のある周囲の冷ややかな視線にも気が付かない愚鈍なサミュエルと義姉ブリアナ。
ローズへの必要最低限の役目はかろうじて行っていたサミュエルだったが、常にその視線の先にはブリアナがいた。
みじめな婚約者時代を経てサミュエルと結婚し、さらに思いがけず王妃になってしまったローズはただひたすらその不遇の境遇を耐えた。
そんな中でもサミュエルが時折見せる優しさに、ローズは胸を高鳴らせてしまうのだった。
しかし、サミュエルとブリアナの愚かな言動がローズを深く傷つけ続け、遂にサミュエルは己の行動を深く後悔することになる―――。
王子は婚約破棄を泣いて詫びる
tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。
目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。
「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」
存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。
王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。
見捨てられたのは私
梅雨の人
恋愛
急に振り出した雨の中、目の前のお二人は急ぎ足でこちらを振り返ることもなくどんどん私から離れていきます。
ただ三人で、いいえ、二人と一人で歩いていただけでございました。
ぽつぽつと振り出した雨は勢いを増してきましたのに、あなたの妻である私は一人取り残されてもそこからしばらく動くことができないのはどうしてなのでしょうか。いつものこと、いつものことなのに、いつまでたっても惨めで悲しくなるのです。
何度悲しい思いをしても、それでもあなたをお慕いしてまいりましたが、さすがにもうあきらめようかと思っております。
愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。
梅雨の人
恋愛
私にはイザックという愛しの婚約者様がいる。
ある日イザックは、隣国の王女が私たちの学園へ通う間のお世話係を任されることになった。
え?イザックの婚約者って私でした。よね…?
二人の仲睦まじい様子を見聞きするたびに、私の心は折れてしまいました。
ええ、バッキバキに。
もういいですよね。あとは好きにさせていただきます。
【完結】都合のいい女ではありませんので
風見ゆうみ
恋愛
アルミラ・レイドック侯爵令嬢には伯爵家の次男のオズック・エルモードという婚約者がいた。
わたしと彼は、現在、遠距離恋愛中だった。
サプライズでオズック様に会いに出かけたわたしは彼がわたしの親友と寄り添っているところを見てしまう。
「アルミラはオレにとっては都合のいい女でしかない」
レイドック侯爵家にはわたししか子供がいない。
オズック様は侯爵という爵位が目的で婿養子になり、彼がレイドック侯爵になれば、わたしを捨てるつもりなのだという。
親友と恋人の会話を聞いたわたしは彼らに制裁を加えることにした。
※独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる