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存在意義。

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「そう・・・リグレスト侯爵令嬢は家を潰したいのか。そうか・・・」

 何やらブツブツ言っているシリルが怖いのだけど。

 それに家を潰したいとか、何をするつもりなの?

 王族の力を私怨に使っては駄目よ。

「シリル、駄目よ」

「なんで?クロエを馬鹿にするということは、僕を馬鹿にするということだよ。そもそも、クロエは伯爵じゃない」

「言いたいことは分かるけど、駄目よ」

 別にあの程度の嫌味、なんでもないのだから、大事にして欲しくない。

 私的には、自分のことよりあの男爵令嬢の方が気がかりよ。

 あの子、あんなに常識がなくて大丈夫なの?

「シリルは、アーゼル男爵家のミリー様のことを知っていて?」

「アーゼル?ああ、話したことはないけど、噂は聞いてるよ。クロエ、ああいう子は常識が通じないから、関わっちゃ駄目だよ」

「関わりたいわけじゃないわ。でも、さすがに庇ってくれたから、口を出さずにいられなかっただけよ。それに、放っておけば、リグレスト侯爵令嬢様たちが激昂しそうだったんだもの。たかが嫌味程度で、大事にしたくなかったのよ」

 私も話してみて、じゃないと理解したわ。

 悪い子じゃないのかもしれないけど、異質すぎだわ。

「とにかく、シリルは手を出さないで。あの程度の嫌味、なんでもないの。むしろ、あのアーゼル男爵令嬢の方が問題だって知れたわ。シリルに話しかけたりしないと思うけれど、?」

「分かったよ。でも、今回だけだよ。次はない。僕の大切なクロエを貴族なんて、マキシミリオン王国には必要ない」

「シリル、リグレスト侯爵令嬢はある意味とても貴族らしいわ。彼女みたいに、安易に感情を相手に見せるタイプなら、御しやすいの。シリルが私を溺愛してるとキャリーヌ様がおっしゃったら、あっさりと引いたわ。悪意が見えにくいタイプの方が曲者よ。ためには、リグレスト侯爵令嬢みたいな人は必要なの」

 あのアーゼル男爵令嬢には無理だろうけど、良い人ぶって私の味方を装い、シリルに近づこうとする人間もいると思うわ。

 そういう、信用ならない人を把握したいの。

 リグレスト侯爵令嬢のような、分かりやすいタイプは逆に信用できるわ。

「・・・クロエには敵わないな」

「ふふっ。私はあのお母様の娘で、お姉様の妹なのよ?まだまだあの二人には敵わなくて、伯母様の手のひらの上で転がされたけれど、少しは成長してるのよ?」

 私はね、守られるだけの人間ではいたくないの。

 シリルが自慢できる、対等な存在でいたいのよ。
 



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