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新たな友人。

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「わたくし、シリル殿下は好みではありませんの」

 ある意味ものすごく不敬なことを、ハッキリと言い切ったフェルゲン公爵令嬢。

 まさか、本人の前でハッキリと断言するとは思わなかったわ。

 シリルは私を好きだと言ってくれてるけど、気にしないのかしら?

「彼女はね、上の兄上のような方が好みなんだよ」

 シリルによると、一番上のお兄様、王太子殿下はマキシミリオン王国国王陛下に似ていて、美丈夫。

 ルーファスお兄様とシリルは、王妃様似で女性的というか中性的な美貌なのよね。

 王太子殿下は、私たちより五歳年上のルーファスお兄様よりさらに五歳年上。

 ルーファスお兄様の結婚式には、国王陛下が参列されたから、王太子殿下は国に残られていたのよね。

 マキシミリオン王国でもお披露目はしたけど、私はそれには参加しなかったから、ほとんど面識がない。

「わたくしとお姉様は、男性の好みが同じなのですわ。もちろん、お姉様の旦那様に懸想するつもりはありませんけど。それに、我がフェルゲン家はすでに王家と縁付いています。ですから両親も政略的な関係を望んではいませんの」

「彼女は僕など歯牙にもかけないよ。容姿だけでなく、年齢も足りないと言われた」

「わたくし、せめて五歳は年上でないと。弟のようにしか見れませんの」

 それはなんとも・・・
公爵令嬢の婚約者になれる立場の方で、五歳年上の方などいるのかしら?

 普通なら、結婚されているか、そうでなくても婚約者がいると思うわ。

 フェルゲン公爵家の後継は、いらっしゃるのよね?

「フェルゲン様は・・・」

「わたくしのことは、キャリーヌとお呼びください。お友達になってくださると嬉しいですわ」

「ありがとうございます。でしたら、私のこともクロエと。出来れば家名ではなく名前で呼んでいただきたかったのです」

 ルーベンス伯爵の名も嘘にはならないけど、にはそのままの私で接したい。

 ルーベンスの名は、あくまでも私を殿と見下す相手を見極めるためのものだから。

「ふふっ。クロエ様は、我がフェルゲン家の後継のことを気にしてくださっているのですわね?確かに姉が王太子殿下に嫁ぎ、我が家にはわたくししか子供はおりません。ですが両親もわたくしが強情なことは理解してくれていますから、学園卒業までに婚約者が決まらなければ遠縁の親戚から養子を取ることになっています。その際は、わたくしは領地に下がることになっていますの」

 
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